風邪が長引いているのか鼻づまりがなかなか治らない、夜に眠るときに鼻がつまって息をしにくい、どろっとした鼻水が出る。こんな症状が続いているのであれば、蓄膿症かもしれません。風邪やアレルギー性鼻炎と紛らわしい蓄膿症ですが、一体どのような病気なのでしょうか。

今回は蓄膿症の症状他の病気との違いについてご説明します。

目次

蓄膿症ってなんのこと?

蓄膿症とは、副鼻腔炎のことです。

副鼻腔炎は、ほとんどの場合は急性鼻炎(鼻かぜと呼ばれるもの)が長引いたことで起こります。細菌やウィルスによって副鼻腔の粘膜に炎症が起きて、細菌などを鼻水と一緒に外に出す力が弱まり、膿が副鼻腔の中に溜まってしまった状態です。
溜まった鼻水、膿や細菌などが副鼻腔の粘膜を傷つけ炎症を起こし、それが原因で病原体も増えてさらに炎症が治りにくくなるというように悪循環に陥ります。

副鼻腔ってどこにあるの?

ほほ、両目の間、額の下の骨の中にあります。粘膜でおおわれた空洞で、普段はからっぽの状態です。それぞれが鼻の中と繋がっています。

副鼻腔が炎症を起こすことを、「副鼻腔炎」といい、副鼻腔に膿がたまると「蓄膿症」と呼ばれます。

何が原因で蓄膿症になるの?

悪者

1.風邪

風邪がきっかけで急性副鼻腔炎になり、症状が3カ月以上続くと慢性副鼻腔炎を発症することが多くなります。

風邪の症状が長引くことで、鼻の粘膜が腫れて鼻腔へ空気が流れづらくなり、分泌物が外に出にくくなり、副鼻腔に膿や菌が溜まり蓄膿症が起きます。

2.カビ

どこにでもいるカビ(真菌)によって副鼻腔炎が起きることもあります。

身体が健康であれば問題ないのですが、抵抗力が弱っているとカビに感染しやすくなり、副鼻腔に菌が増殖して炎症の原因になります。

3.虫歯

副鼻腔の頬の左右にある空洞と歯の根の先が近くにあるため、歯の炎症が副鼻腔に移りやすくなります。

奥歯の虫歯を治療しないで放っておくと、菌が副鼻腔に入って炎症を起こします。

どんな症状があるの?

鼻の粘膜が腫れるため鼻がつまり、口で呼吸をするようになります。

粘膜の下からの分泌物が増えて黄色~黄緑色の粘つく鼻水がたくさん出ます。鼻水はのどに回ることもあります。

また、頭が痛くなったり重くなったりすることによって、集中力が低下し、身体が疲れやすくなったり、嗅覚異常が起きたりと日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

蓄膿症セルフチェック

以下のような症状があれば、単なる鼻づまりではなく蓄膿症かもしれません。

  • 鼻づまりが長い間続いて息がしにくい
  • どろっとした黄色~黄緑色の鼻水が出る
  • 鼻をかんでも奥に残っている感じがする
  • 鼻水が喉に回る
  • 鼻がつまって眠れない
  • 口や鼻から嫌なにおいがする
  • 鼻声になったり声が上手に出せない
  • 頭が痛い、重い
  • 集中力がなくなる
  • においや味が分からない

アレルギー性鼻炎と蓄膿症の違いって?

風邪などの急性鼻炎も花粉症などのアレルギー性鼻炎も蓄膿症も主な症状は同じで、くしゃみ鼻水、鼻づまりです。

そのために、「症状が長引くので花粉症かと思ったら蓄膿症だった」と言うことも起こりうります。

表で違いを見てみましょう。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症) 急性鼻炎(風邪など) アレルギー性鼻炎花粉症など)
原因 細菌やウィルスなどの病原体 細菌、ウィルスなどの病原体 花粉やダニなど
症状 どろっとした鼻水
鼻づまり
嗅覚異常
頭痛
集中力の低下
くしゃみ
鼻水
鼻づまり
発熱
くしゃみ
さらっとした鼻水
鼻づまり
目やのどのかゆみ
場所 主に副鼻腔 主に鼻腔 主に鼻腔
期間 症状が長引き治りにくい 症状は徐々に軽くなりやがて治る 症状が繰り返し起こり、原因がある限り治りにくい

蓄膿症もアレルギー性鼻炎も症状が長引くのですが、原因が異なるために症状に若干の違いがあります。

蓄膿症は、どろっとした鼻水が出て、鼻づまりや集中力の低下につながります。

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状に加えて、目やのどのかゆみなど鼻以外の症状が見られます。アレルギー性鼻炎から蓄膿症が引き起こされることもあるので、重症化しないうちに早めに耳鼻科を受診しましょう

アレルギー性鼻炎については、「鼻水、鼻詰まりを解消!アレルギー性鼻炎の治療法」にて詳しく説明しています。

蓄膿症と関連してどんな病気が起こりやすい?

1.鼻ポリープ

副鼻腔の粘膜から炎症性増殖性の腫瘤が鼻の中にできることがあります。

数が増えたり大きくなると、鼻づまりの原因となって、鼻水や嗅覚に異常が現れたり、頭が痛くなったり重くなったりと不快な症状が起きます。

2.中耳炎

耳と鼻は耳管という管で繋がっているため、副鼻腔炎の原因となった菌が耳管を通って中耳までいきます。

副鼻腔の炎症が耳管のはたらきを悪くしたり、菌が耳管を通って中耳に感染したりして、中耳炎が引き起こされることがあります。

子どもの副鼻腔炎に早く気付くには?

子供

発熱、鼻水、といった風邪の症状が長く続くようだったら注意してください。

子どもの風邪は、普通は3~4日程度で症状が改善します。1週間~10日以上続くようなら副鼻腔炎を疑いましょう。

症状は大人と同じで、どろっとした黄色い鼻水が出る、鼻がつまる、口呼吸のためいびきをかく、などです。

まとめ

蓄膿症はほとんどが鼻かぜを放っておいて長引いたことが原因で起こります。痛みがないからと放っておかず、鼻に異常があれば早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。

アレルギー性鼻炎と見分けがつきにくいですが、自分で分かる一番の違いは、鼻水の粘性です。蓄膿症はどろっとして粘度が高く、アレルギー性鼻炎はさらっとして粘度が低いので、どちらに当てはまるか確かめてみましょう。