鼻水を放っておいたらなんだか頭が痛い、顔が痛い。といった経験をした方はいらっしゃいませんか?これは蓄膿症といって鼻の奥の副鼻腔というところに膿がたまった状態であることを言います。
蓄膿症になると頭痛や顔面痛、異臭、鼻が詰まって息苦しいなどの症状が現れとてもつらいです。風邪や花粉症が原因となって生じるため、まだなったことがない皆さんも蓄膿症になる可能性は十分あります。
そんな蓄膿症に良く使われる漢方が「荊芥連翹湯」です。
今回はこの「荊芥連翹湯」について詳しく見ていきたいと思います。
荊芥連翹湯とは?
荊芥連翹湯とは「けいがいれんぎょうとう」と読み、蓄膿症やにきびなどに用いられる漢方です。
漢方は何種類もの生薬が組み合わさって構成されており、荊芥連翹湯では以下のような生薬が含まれています。
- 荊芥【ケイガイ】
- 連翹【レンギョウ】
- 黄芩【オウゴン】
- 黄柏【オウバク】
- 黄連【オウレン】
- 桔梗【キキョウ】
- 枳実【キジツ】
- 柴胡【サイコ】
- 山梔子【サンシシ】
- 地黄【ジオウ】
- 芍薬【シャクヤク】
- 川芎【センキュウ】
- 当帰【トウキ】
- 薄荷【ハッカ】
- 白芷【ビャクシ】
- 防風【ボウフウ】
- 甘草【カンゾウ】
荊芥連翹湯の中には黄連解毒湯と四物湯という二種類の漢方処方が入っています。
黄連解毒湯は炎症を取る、四物湯は補血(足りない血分を補う)と血行を良くするといった効果があり、そこに荊芥・連翹といった生薬を加えることでより解毒作用を強めたものが荊芥連翹湯です。
荊芥連翹湯の効能効果
それでは荊芥連翹湯が具体的にどのような症状に効くのか見ていきましょう。
荊芥連翹湯の効能効果は以下のようになっています。
- 蓄膿症
- 慢性鼻炎
- 慢性扁桃炎
- にきび
蓄膿症だけではなくニキビや扁桃炎などにも用いることができることからも、荊芥連翹湯は炎症を抑え、解毒作用に優れているといったことがわかります。
荊芥連翹湯はどのような人に向いているのか
体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすい方に向いています。
そのため胃腸が弱い方、食欲不振・吐き気などがある方に用いると、下痢や悪心などの症状が悪化することがあるので控えた方が良いでしょう。
荊芥連翹湯はどのようにして蓄膿症に効くのか?
漢方では鼻炎は体内に過剰な「水(体を潤す水分)」が存在するために引き起こされるといわれています。何らかの原因で水が排泄しにくくなり鼻に過剰な水が存在し、その結果鼻詰まりが起きます。この鼻詰まりが鼻の「気(エネルギーのようなもの)」や「血(栄養を与えるもの)」の流れも遮り、たまった「気」が熱に変わり水分を飛ばした結果、鼻水に粘りが出て蓄膿症へと進行させます。
荊芥連翹湯はこの生じた熱を冷まし、炎症を抑えることで鼻の通りをよくし、症状を緩和させます。首から上の炎症に効果的なのでニキビや扁桃炎にも用いられるのです。
荊芥連翹湯の副作用
眠気などの副作用はありませんが、飲み始めにむかつきなどの胃の症状が現れることがあります。次第に慣れていくことが多いですが、ひどいようなら医師に相談してください。
そのほか、山梔子も含まれているため腸の調子が悪くなる可能性があります。
また、甘草が入っていることで偽アルドステロン症といった高血圧・むくみなどの症状が現れる可能性があります。
副作用は、他にも漢方を服用していて、甘草の服用量が多い人に見られやすいです。
他にもお薬を服用している場合は医師・薬剤師に相談してください。
また肺胞が炎症を起こしうまく呼吸できなくなる間質性肺炎や肝機能障害などの副作用も報告されていますので、息苦しさや発熱・咳、だるさや白目が黄色くなるなどの症状が現れたら病院に行って下さい。
まとめ
花粉症の時期などは鼻水で困っている方は多いと思います。いつものことだから…と放っておくと蓄膿症などにかかってしまう恐れがあります。
蓄膿症になると日常生活に支障を起こす方も多いため、なるべく蓄膿症になる前に予防をすることが大事です。鼻の中の雑菌などを洗い流す鼻うがいも効果的とされています。また不規則な生活や偏った食事は免疫力を下げてしまい、蓄膿症になりやすくなってしまうため、日ごろから規則正しい生活・バランスの良い食事などを心がけることも予防策の一つです。
しかしそれでもなってしまった場合は今回ご紹介した漢方を試してみてもよいでしょう。
ただし自分に合う薬を見つけるためには、一度は漢方を専門にしている医師や薬剤師に診てもらった方が良いでしょう。