心配事があって夜寝付けない、いつもイライラしている、細かいことを気にし過ぎてドキドキしてしまうといった症状、身に覚えはないでしょうか?
一時的なものならばよいのですが、このようなことが続くと日常生活に支障をきたしかねません。
高血圧の症状として現れることがあるほか、女性であれば更年期に上記のような症状が現れやすいとされます。ただ精神科や心療内科に行くとなるとハードルが高くなり、なかなか行けないですよね。
そこで今回はこのような症状に対応した、市販でも購入できる漢方「柴胡加竜骨牡蛎湯」について詳しく見ていきたいと思います。
柴胡加竜骨牡蛎湯とは?
柴胡加竜骨牡蛎湯は「さいこかりゅうこつぼれいとう」と読み、イライラや不眠などの精神不安などによく使われる漢方です。
漢方は様々な生薬が合わさって構成されており、柴胡加竜骨牡蛎湯は以下のような生薬かが含まれています。
- 柴胡【サイコ】
- 半夏【ハンゲ】
- 桂皮【ケイヒ】
- 茯苓【ブクリョウ】
- 黄芩【オウゴン】
- 大棗【タイソウ】
- 人参【ニンジン】
- 牡蛎【ボレイ】
- 竜骨【リュウコツ】
- 生姜【ショウキョウ】
- 大黄【ダイオウ】(ツムラ製剤には入っていない)
柴胡加竜骨牡蛎湯に含まれる「加」は加えるという意味で、生薬の柴胡に竜骨、牡蛎を加えた処方であることを表しています。
この主な生薬である柴胡には解熱鎮痛作用があり、身体の熱を冷ますことで鎮静効果が得られます。また竜骨や牡蛎の主成分は炭酸カルシウムであり、このカルシウムが気持ちを落ち着かせて精神不安を改善する働きを担っています。
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果
それでは柴胡加竜骨牡蛎湯は具体的にどのような効能効果が期待されるのでしょうか?
主に以下のような症状に効果的であるとされています。
- 精神不安(イライラ・不安・不眠・心配性)
- 高血圧による次の症状(動悸・不眠・不安)
- 神経症
- 子供の夜泣き
- 更年期障害
柴胡加竜骨牡蛎湯はどのような人に向いているのか
体力中等度以上で、動悸や不眠などを伴う精神不安がある方に向いています。
また注意してほしいのが柴胡加竜骨牡蛎湯といっても販売されている製薬会社によって、含有されている生薬の種類が少し異なるということです。
ツムラの柴胡加竜骨牡蛎湯では、大黄という生薬が含まれていません。
この大黄は主に便秘に効く生薬とされていますので、もしおなかがゆるい方が柴胡加竜骨牡蛎湯を使用するのであればツムラ製剤を、また便秘気味の方が使用するのであればツムラ以外のメーカーが販売されている柴胡加竜骨牡蛎湯を選ぶといいでしょう。
また購入する際にどのような生薬が入っているか薬剤師などに確認してみましょう。
また病院にかかられている方、他の薬を服用中の方や、妊娠中の方は服用前に必ず医師に確認してください。持病が悪化したり副作用が出たりする可能性があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯はどのようにして精神不安に効くのか?
漢方では不眠や精神不安はストレスや疲労などで体内の「気(体を支えるもの、エネルギー)」の流れが悪くなり、滞った気が体内に熱を発生させて脳を疲れさせた結果起こるものとされています。
そのため柴胡加竜骨牡蛎湯では、滞った「気」の流れをよくして熱を冷ますことで精神不安や精神不安からくる不眠などを改善させる効果があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯の副作用
ツムラ以外の製品では「大黄」が入っているため、下痢などの副作用に注意が必要です。
また飲み始めに胃部不快感などの症状が現れる場合がありますが、飲み続けることで軽減することが多いので、様子見しながら服用を続けてください。
また重大な副作用として
- 間質性肺炎(呼吸困難や発熱などが生じる)
- 肝障害(白目が黄色くなる、だるくなる)
が報告されています。
上記のような症状が現れた場合はすぐに医師に相談してください。
まとめ
現代の日本ではストレスを溜めることは避けては通れなくなってきています。
そんな中で不眠や精神不安などの症状を訴える人も少なくありません。
しかし病院にかかるにはハードルが高く、時間を取れない方も多いでしょう。
そんなときは一度漢方の「柴胡加竜骨牡蛎湯」を試してみてはいかがでしょうか。
もちろん今回ご紹介した症状がある方でも、また体力の有無などで使用する漢方は変わってきますので、ご自身の体質・症状に合っているかの確認は必要です。
そんな時はドラッグストアにいる薬剤師、できれば漢方を専門にしている薬剤師か、漢方専門医に相談して選んでもらいましょう。