ホットフラッシュって聞いたことがあるでしょうか?ホットフラッシュとはいわゆる、のぼせ、ほてりのような症状のことをいい、更年期障害が始まると見られる症状の一つになります。

このようなホットフラッシュや更年期障害には、漢方薬の使用が症状緩和に有効と言われています。今回は、こうした症状に有効な漢方薬をご紹介していきます。漢方以外を含む詳しい薬物治療については、「更年期障害の薬物療法とは?」をご覧ください。

目次

更年期障害の症状(女性)に有効な漢方薬

更年期障害等の婦人病に使用される代表的な処方として「当帰芍薬散」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」の3つがあり、それぞれ、体力程度や症状等に合わせて使い分けられます。

1.当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

もともとは妊婦さんの腹痛用の処方で不妊や月経不順でも用いられます。瘦せ型で比較的体力のない方に向いています。特に冷え症、貧血むくみに効果があり肩こり頭重感、下腹部の痛み腰痛などに効果が期待できます。

2.加味逍遙散(かみしょうようさん)

基本的に瘦せ型で虚弱な体質に向いてます。効能は当帰芍薬散と似ていますがイライラ、不眠、カッとなりやすい、などの精神症状を伴う場合に特に有効です。他にもめまい、頭痛、冷え、むくみ、動悸多愁訴などに効果が期待できます。

3.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

比較的体力がある方に向いています。のぼせ、ほてり、便秘といった症状のほか、肩こり、手足の冷え、腰痛などに効果が期待できます。また薏苡仁(よくいにん)を配合する事で生理前後のニキビ等の皮膚疾患にも応用できます。

以下は、一般には馴染みが薄いですが、婦人病を中心として臨床現場でよく使用される処方です。

4.女神散(にょしんさん)

加味逍遙散に近い処方ですが体力は中程度あるいはそれ以上で、比較的胃腸が強い方に向いています。めまい、のぼせを目標とすることが多く、ほてり、肩こり、胸の張り、動悸、気分が沈む、便秘、頭痛などに効果が期待できます。

漢方

5.温経湯(うんけいとう)

体力は中程度以下の方に向いています。下腹部や腰の冷えに有効です。身体を温め血行を促進する処方であり、手足のほてり、口唇の乾燥、冷え、のぼせ、月経困難症などに効果が期待できます。生理中の下痢にも有効な時があります。

6.当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

体力は中程度以下の方に向いています。主に四肢末端の冷えに有効です。冷えによる腰痛、頭痛、腹痛、しもやけなどにも効果が期待できます。

7.五積散(ごしゃくさん)

体力は中程度以下で、体の表面と内部を温める処方です。冬場に冷えにより腰や下腹部・下肢の痛みやしびれが生じたときや、夏場のクーラー病等に有効です。冷えによる月経困難症や頭痛、のぼせ、関節痛、腰痛、肩こりなどに効果が期待できます。

8.苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

体力が中程度以下でめまい、息切れ、動悸、頭痛、のぼせなどの症状に有効です。たちくらみやパニック発作にも使われることがあります。

9.苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

体力が中程度以下の方に向いています。特に腰から大腿部周辺の水に浸かったような冷え症状に有効です。

10.八味地黄丸(はちみじおうがん)

どちらかと言うと男性更年期に使われることが多い処方です。体力が中程度以下の方に向いています。主に下半身の冷えや夜間頻尿に効果があり、疲れやすく、膝から下の冷え、むくみ、口の渇き、残尿感、頻尿、しびれなどに効果が期待できます。

11.温清飲(うんせいいん)

基本的に体力は中程度の方に向いています。月経過多等で出血が多く皮膚のカサつきもあるような方で、特にのぼせ、イライラ、不眠などの興奮症状が目立つ方に効果が期待できます。乾癬(表面に銀白色の皮膚の粉をともなう盛り上がった発疹)等の皮膚疾患にも応用できる処方です。

12.桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

体力が中程度以上で、便秘がちで月経困難やのぼせ、肌荒れなどの症状がある場合に効果があります。生理前後に狂ったように暴れたりする時にも効果があるようです。

13.芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)

体力が中程度以下で産後の様々なトラブル(疲れ、冷え、食欲不振、めまい、耳鳴り、貧血)などに効果が期待できます。特に気鬱を伴う場合に効果的です。

 ホットフラッシュに効果が期待できる漢方薬について

上記の漢方処方のうち、ホットフラッシュに特に効果が期待できるものは加味逍遥散、桂枝茯苓丸、女神散、温経湯、桃核承気湯になります。

「女神散」「桃核承気湯」「桂枝茯苓丸」は体力が中程度以上あるタイプの女性に向いています。体力に自身のない方は「当帰芍薬散」「温経湯」「加味逍遥散」が良いかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?更年期障害の症状は多岐にわたり、使用する女性の目的も様々ですよね。

漢方薬の使用には、本来であれば漢方専門医の診察と処方を受けていただいた方が良いのですが、なかなか受診できない方の場合は薬局・薬店の薬剤師、登録販売者によくご相談の上、使用されてみては如何でしょうか

また、症状があまりにひどい場合は、あまり市販薬で我慢せず、漢方専門医に受診するか婦人科へ訪れ、検査などを受けてより適した治療を受けてくださいね。