夜になかなか寝付けず、朝も希望の時間に起きることができない、倦怠感や頭痛が続くなどの症状で悩んだ経験はありませんか?
体内時計が乱れてしまい、睡眠の質に支障が出ていることを概日リズム睡眠障害といいます。

この記事では、概日リズム睡眠障害について詳しく見ていきます。

目次

 

概日リズム睡眠障害とは

体内時計が調節できておらず、起きるべき時間に起きれない、寝るべき時間に寝れないような状態を概日リズム睡眠障害と呼びます。

人の1日の睡眠・覚醒のリズムは体内時計によってコントロールされ、夜に眠りやすく、昼間には眠りにくい状態になっています。このリズムを概日リズムと言います。
しかし本来、地球の周期は1日24時間である一方、人の体内時計の周期は約25時間です。
双方の間にある1時間のズレは、毎日の光や食事、運動、社会生活の影響によって微修正されています。
その周期のズレが何らかの理由で修正できずに睡眠・覚醒のリズムに乱れが生じると概日リズム睡眠障害となります。

概日リズム睡眠障害の症状

概日リズム睡眠障害になると、必要な時間に入眠・起床することができなくなります。
そのほか、睡眠障害による不眠、眠気、頭痛、倦怠感、ぼーっとする、食欲低下などの身体症状が現れることがあります。

概日リズム睡眠障害のタイプ

概日リズム睡眠障害は原因や特徴によって、いくつかのタイプに分けることができます。

睡眠相後退症候群

朝方まで入眠できず、昼近くまで起きられないタイプです。

概日リズム睡眠障害の中で最も頻度が高いとされており、夜型の生活をすることによって通常の生活から3~4時間遅いリズムになってしまっています。

10~20歳代に発症することが多く、有病率は一般人口の0.17%、高校生の0.4%と推定されています(厚生労働省より)。

起床直後に高照度光(太陽光)を浴び、少しずつ概日リズムを早めていく治療方法で改善することがあります。

睡眠相前進症候群

睡眠の時間帯が大きく前にずれ、夕方になると眠気を生じ、明け方早くに覚醒するようになるタイプです。

高齢者に多く見られ、中高年の有病率は約1%とされています(厚生労働省より)。

入眠前に高照度光(太陽光に匹敵するような強い光)を意図的にあびて概日リズムを遅らせたり、サングラスなどで朝の一定の時間まで光を避けたりすることが治療につながると考えられています。

非24時間睡眠覚醒症候群(自由継続型)

入眠する時間、起きる時間が毎日1時間ずつ遅くにずれていくタイプです。

夏休みなどの長期休暇や、長期間続く昼夜逆転生活によって起きることがあります。体内リズムも入眠時間と同じように少しずつ遅れることがあります。

治療は睡眠相後退症候群と同じく、起床後に高照度光を浴び、少しずつ概日リズムを早めていくと良いとされています。

交代勤務による睡眠障害

夜勤の交代勤務がある方では、概日リズムに逆らって、夜間に働いて日中に睡眠をとらなければならないために夜間の不眠や日中の眠気、倦怠感、食欲低下などの睡眠障害が生じます。

1~2週に1回の交代勤務の方は、普段の日中活動するリズムを中心として、夜勤終了後は朝の光が目に入らないようにサングラスなどをかけて早めに入眠することなどが対策として挙げられます。
一方、夜勤が連続する固定シフトの方は、夜間に明るい照明を浴びるようにし、日中はサングラスや遮光カーテンなどで太陽光が目から入らないようにすることで日中の睡眠が安定すると言われています。

不規則型睡眠覚醒パターン

昼夜問わず眠ったり起きたりを繰り返すなど、睡眠と覚醒のリズムがほとんどなくなっている状態です。

認知症などの脳の病気によって、脳の体内時計がうまく機能しにくい状態となった際、さらに寝たきりの生活や引きこもりの生活が続いたケースで生じやすいとされています。

まとめ

概日リズム睡眠障害は必要な時間に入眠・起床する概日リズムが崩れてしまった状態です。
睡眠に支障が出ることによって、身体の不調がみられることもあります。
どうしても睡眠・覚醒のリズムが戻らず、日常生活に支障をきたすような場合には睡眠外来のある病院を受診しましょう。