昼の活動をメインとしている人にとって、昼間の眠気はかなりやっかいな存在です。考えられる睡眠障害を4つ紹介しますので当てはまる症状を探してみましょう。昼間の眠気が我慢できないほど強い、緊張するような状況で突然寝てしまう、慢性化(1ヶ月以上)している人は病院の受診をすすめますが、まずは「自分でできる改善法」も試してください。

目次

睡眠障害の原因疾患

1.不眠症

不眠症には、なかなか寝付けない入眠困難、夜中に何度も起きてしまう中途覚醒、朝早くに目が覚めて再度寝つけない早朝覚醒、眠りが浅いので長く寝ても熟睡感がない熟眠障害の4種類があります。

ただ、上記の睡眠障害があっても昼間元気な人は不眠症ではありませんし、早く目が覚めてもそのまま楽しく一日をスタートできているなら大丈夫です。日中のストレスから不眠になり、慢性化すると不眠自体がストレスになって日中のストレスが消えても不眠だけが残るパターンもあり、そうなると治療が必要になります。

不眠症は「自分でできる対処法」が一番効くタイプでもあります。記事の後半で紹介していますので、実行してみてください。

2.睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が繰り返し止まってしまう病気です。症状はいびきをかく、就寝中に目が覚める、寝汗をかく、寝像がひどい、日中の眠気、起床時の頭痛、倦怠感、集中力の低下などがあります。

寝ている時に気道が潰れることで起こり、首周りの脂肪、扁桃腺肥大、舌根の沈下が原因です。お子さんでこの病気になる人は扁桃腺肥大が大半であり、扁桃腺除去の手術で改善されます。

大人はマウスピースによる気道確保で改善されますが、肥満体型の方はまず、肥満を改善する努力が必要です。

朝、太陽の光を感じながら、軽く汗ばむくらいのランニングまたはウォーキングをすると良いでしょう。「自分でできる対処法」でも詳しくお伝えしますが、朝のうちに光を浴びるとメラトニンという睡眠ホルモンの分泌が止まり、不眠解消にもつながります。

この病気は放置すると高血圧や糖尿病、心不全、夜間突然死、脳梗塞、発育不全(小児の場合)につながります。気付いた段階で、病院を受診してください。

3.過眠症

ナルコレプシー、原発性過眠症、真性過眠症候群、反復性過眠症 周期性傾眠症、特発性過眠症という種類があります。

昼間、とてつもない眠気に襲われ、実際に試験中、会議中問わず寝むりこんでしまうことが毎日起こりますナルコレプシーでは大笑いや怒った時に突如全身の力が抜けて床に崩れてしまう情動脱力発作も起こります。若い人に多く、25歳未満、10代に多くみられます。遺伝によるものや、自律神経バランスの問題もありますが、原因ははっきり分かっていません。

日常生活に支障が出ている場合はすぐに受診しましょう。治療は覚醒効果をもつ精神賦活剤の使用が一般的で、朝と昼に服薬します。精神賦活剤が効かない一部の過眠症ではメタンフェタミン(中枢神経刺激剤)が処方されることもありますが、医師との十分なコミュニケーションが必要になります。

4.概日リズム睡眠障害

夜更かしや夜間勤務、交代勤務などがきっかけとなり、体内時計が狂ってしまっている状態です。明け方近くまで寝られないが、一度寝ると起きられず、結局昼間に寝てしまいます。

眠くないときに寝ることはできませんから、朝早く起きる事が早期解決に結びつきます。朝日が顔に当たるように、もしくは朝、強い電気の光が顔に当たるようにしましょう。高齢になって朝早く目が覚めてしまうことも概日リズム睡眠障害に含まれますが、本人が苦痛を感じていなければ特に治療する必要はありません。

自分でできる対処法

伸びをする女性-写真

1.寝室環境の改善

音が全くない方が寝られる人もいれば、穏やかなヒーリングミュージックがかかっている方が寝られる人もいます。同様に、寝るときの明るさも真っ暗の方が寝やすい人もいれば、足元あたりにほんのり明るさがあるとリラックスできる人もいます。自分が眠りにつきやすい環境を試してみましょう。

太陽の光が入る環境の人は、その日差しを利用して早起きすることも手です。ただ夏場は日の出も早くなりなりますので、起床が早くなりすぎないためにも遮光カーテンなどで部屋を暗くすることも大切です。

2.睡眠習慣

朝は太陽の光が入ると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まります。メラトニンの分泌は止まった15時間後から再分泌されて眠くなるので、夜11時までに寝たい人は、その日は遅くとも8時までには起床しましょう。

太陽の光は体内時計をリセットするための良い手段ですが、太陽の光が部屋に入らない環境の人は明るい蛍光灯でも充分効果があります。

なお、近年、地球温暖化対策として広く用いられているLEDもメラトニンの分泌を抑制することが分かっています。
テレビやスマートフォン、パソコンの液晶画面のバックライトとしても使われているLEDからは、多くの青色光が発されています。この青色光は特にメラトニンの分泌を抑える働きがあるのです。就寝前はこれらの使用を避けるか、明るさを中程度以下に設定し、モニターから目を離して使用しましょう。

3.食生活

空腹は良質な睡眠の妨げになりますので、寝る2~3時間前に食事をとるようにしましょう。特に炭水化物は睡眠の助けになることがあります。逆に睡眠前の食事内容が脂っこいものを食べると胃もたれの原因になります。

4.嗜好品の改善

夕食後のコーヒー、つまりカフェインで寝つきが悪くなる人がいます。一般的にカフェインの作用は4時間持続すると言われていますが(日本大学医学部附属板橋病院より)、カフェインの代謝に必要な時間は個人差が大きいことも知られています。

カフェインはコーヒーだけでなく、ココアやコーラ、紅茶、緑茶、チョコレートにも入っています。食後の飲料に気をつけてみましょう(日本中毒情報センターより)。特に子供は体が小さい分カフェインの許容量が少ないため、ココアを飲ませる場合は注意が必要です。

タバコに含まれるニコチンには精神刺激作用があり、喫煙することで良質な睡眠から遠ざかります。夜の喫煙は止めましょう。

アルコールを摂取すると寝つきは良くなりますが、眠りが浅いままになってしまい質の良い睡眠が得られません。寝るための飲酒は避けてください

まとめ

質の良い睡眠が得られないまま何ヶ月も放置すると、うつ病に進行してしまうことがあります。自力での対処が難しいと感じたら早めに受診しましょう。ただ、ちょっとした生活習慣の改善で睡眠の質も良くなることがありますので、無理のない範囲での自己改善も試してみてください。