熱性けいれんは、子供によく見られるけいれんです。でも、初めて子供がけいれんを起こしたのを見ると、近くにいる保護者の方はパニックになりがちです。しかし、まずは親御さんが落ち着いて、冷静に対処しなければいけません。熱性けいれんの症状について、医師・武井 智昭先生の監修記事で説明していきます。6歳くらいまでのお子さんをお持ちの方は、熱性けいれんについて知っておいてください。
熱性けいれんとは?
発熱に伴って起きるけいれんのことを熱性けいれんと呼びます。発熱は38℃以上で、生後6ヶ月から6歳くらいまでの乳幼児に多く見られます。意識障害を起こすこともありますが、原因がはっきり分かっている脳炎・脳出血・てんかんとは区別されています。
けいれんは突然起こることが多く、身体を硬くして手足がガタガタ震えるものです。目は上向きになり白目をむき、意識障害(呼びかけに反応せず、顔色が悪くなる)を起こしたりするので、初めてお子さんがけいれんを起こすとパニックを起こしてしまう人もいます。
ですが、生後6ヶ月から6歳くらいまでの子供100人に数人起きるもので、珍しい症状ではありません。また、熱性けいれんで後遺症が残ったり、死亡してしまったりすることはほとんどありません。
熱性けいれんが起こるメカニズムや原因は?

熱性けいれんのメカニズムはまだはっきり分かっていません。ただ、脳が未熟であるために起こるのではないかと考えられています。
脳は、微弱な電流を使って指令を出します。しかし、熱の刺激に弱い乳幼児は、高い熱を出すと上手く電流の調整ができなくなります。すると筋肉に勝手な指令が出てしまい、けいれんが生じてしまうのです。
また、熱性けいれんは遺伝とも関係があり、親や兄弟に熱性けいれんが起きたことがあれば、起こす可能性が高くなります。ただし、遺伝がなくても起こることはあります。
熱性けいれんではなくても、何らかの刺激が脳に起こり、電流の調節ができなくなればけいれんは起こります。熱性けいれんと鑑別が必要になるものもあります。
熱性けいれん以外のけいれん
熱がない場合
- てんかん
- 胃腸炎など脱水による電解質・低血糖など
- テオフィリンなどの薬物によるものなど
熱がある場合
- 脳炎や髄膜炎など
熱性けいれんの症状は?
高熱が出ている上でけいれんが起こります。けいれんは、状態によりいくつか分類されています。
熱性けいれんで起こるのは、強直性と間代性という2種類のけいれんです。強直性と間代性の両方が見られる場合と、強直性のみの場合、間代性のみの場合があります。
強直性けいれんとは
- 身体が急に強張り、手足をピーンと突っぱねる
- 白目をむいて口から泡を吹き息が止まることがある
間代性けいれんとは
- バタバタと手足をばたつかせる
- 顎がガクガク震える
また、熱性けいれんは単純型と複合型に分けられます。単純型は後遺症の心配がほとんどないものと分類されます。その一方で、複合型は一回の発熱で何度もけいれんを起こす(群発)、発作後の意識が戻りにくい、37℃台の発熱でもけいれんを起こしやすい、年齢が高くなってもけいれんを起こすことがあるといった特徴があります。
単純型熱性けいれん
- 全身のけいれんが5分以内
- けいれんは左右対称に起こっている
- 発症年齢は6ヶ月から6歳まで
- 意識障害や麻痺が残っていない
- 24時間以内に2回以上けいれんが起きていない
- 親や兄弟にてんかんの家族歴がない
- 熱性けいれんを起こすまでに、神経症状や知的な障害がない
複合型熱性けいれん
- 単純型の条件に当てはまらないもの
まとめ
自分の子供がいきなり白目をむいてけいれんし始めたら、びっくりするのは当たり前です。でも、5分間は冷静に症状を見てください。そして、適切な対処法を取ってください。