骨粗鬆症は高齢者、特に女性に大きく関係する病気です。その名の通り、骨がもろく骨折しやすくなる病気ですが、なぜ女性に多いかご存知でしょうか?
女性には閉経というホルモンバランスが急激に変わる時期があり、それが骨粗鬆症に大きく関係しています。ここでは、閉経と骨粗鬆症の関係と予防法についてお話ししていきます。

目次

骨粗鬆症とは

WHO(世界保健機関)では、骨粗鬆症を「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています。
つまり、骨粗鬆症は骨がもろくなる病気で、骨折が起こりやすくなっている状態と言えます。骨粗鬆症の患者は女性のほうが圧倒的に多く、男性300万人に対して女性980万人ともいわれ、男性の3倍以上となっています(骨粗鬆症 予防と治療のガイドラインより)。

なぜ女性は骨粗鬆症になりやすいのか

骨も、皮膚などと同じように新陳代謝を繰り返しているのをご存知でしょうか?
古い骨を吸収する破骨細胞と、新しい骨を作る骨芽細胞という2種類の細胞の働きのバランスが、骨の健康を維持しています。
このバランスが崩れ、破骨細胞の働きが活発になると、骨の再生が間に合わず、骨の強度が低下して骨粗鬆症となります。

女性は通常、50歳前後で閉経します。閉経とは卵巣の活動性が低下し、生理が永久に停止することを言いますが、一般的に12か月以上生理が来ないと閉経とされます。
閉経すると、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が少なくなり、破骨細胞の活性化に繋がっていきます
さらに閉経を迎える時期は、加齢に伴うカルシウムの吸収能力の低下や、更年期障害などによるストレスも相まって、新しい骨を作る働きが間に合わず、骨密度の低下をさらに加速させます。

骨粗鬆症の予防法

骨粗鬆症の最大の予防ポイントは、高い最大骨量を獲得することです。骨密度は1~4歳と12~17歳の2つの時期に大きく上昇し、およそ20歳で最大値に達します。
その状態が40歳代前半まで持続し、以後徐々に低下します。このため、若い時期にどれだけ骨量の最大値を高くし、それを維持できるかが非常に重要です

骨量を高くするためにすべき具体的な方法

カルシウムとビタミンD、ビタミンKをしっかり摂る

高い骨量を獲得するためには、カルシウムとビタミンD、ビタミンKの摂取が重要です。
骨はカルシウムの貯蔵庫ですが、貯めるばかりではなく、血中のカルシウム濃度が下がれば、血中にカルシウムを放出する役割があります。カルシウムの摂取量が少ないと、骨にカルシウムを貯蔵できないだけでなく、血中のカルシウム濃度を保つために骨のカルシウムがどんどん使われて、骨がすかすかになっていきます。

女性の場合、カルシウムは、12~14歳は1日に800mg、15歳以上は650mg必要と言われています(ガイドラインP79より)。カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品に多く含まれていますので、積極的に摂るようにしましょう。

さらに、カルシウムの吸収に必要なのがビタミンDです。ビタミンDは日光を浴びると体内で合成されます。日焼け対策をし過ぎると、ビタミンDの合成を妨げてしまいますので、1日15分程度の日光浴をすることをお勧めします。また、ビタミンDは、サケ、干しシイタケやきくらげなどに多く含まれています。

ビタミンKは、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成を促す働きがあります。ビタミンKは納豆に非常に多く含まれ、緑黄色野菜などにも多く含まれています。

運動する習慣をつける

骨は一定の負荷をかけることで丈夫になります。特に、中学・高校のクラブ活動などでしっかり運動を行うことは、骨粗鬆症予防に最も効果的とされています
高い骨密度を維持するためにも、適度な運動は不可欠です。女性の場合、閉経後は骨密度がどんどん下がってしまいますが、歩行や太極拳などの軽い荷重運動で腰椎の骨密度が、ジョギングやダンス、ジャンプなどの強い荷重運動で大腿骨近位部(骨折の起きやすい部分)の骨密度が上昇することがわかっています。

まとめ

骨粗鬆症にならないためには、食生活と運動習慣が非常に重要です。10・20代の方は今のうちに高い骨量を目指し、それ以降の方は今の骨量をキープできるように今の生活を見直してみましょう。
カルシウムやビタミンD・Kが豊富な食事を摂り、日光浴を行い、運動する習慣を身につけることが、骨粗鬆症の予防に効果的です。お子様がいる方は、小さいうちからの食生活・運動習慣に気を配り、高い骨量を目指してください。