骨粗鬆症の治療とはどんなものがあるのでしょうか。骨粗鬆症は治療をしても100%よくなるというものではありません。しかし継続的な治療で骨がこれ以上弱くならないようにして、骨折を少なくすることはできます。ここでは骨粗鬆症の治療法について説明していきます。骨粗鬆症については「50歳以降は注意!骨粗鬆症の検査方法は?原因と予防策6つも解説」をご覧ください。

目次

骨粗鬆症の治療法3種類

骨粗鬆症の治療法には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあります。

どの治療法も、目的は骨密度がこれ以上減らないようにすること、骨の質の向上です。そして、治療をやめるとまた骨量の低下が進んでしまうので、継続することが大切になってきます。

1.食事療法

摂取した方がよいもの

以下のような成分を摂取することによって、骨を丈夫にすることができます。

  • カルシウム:牛乳、乳製品、小魚、干しエビ、小松菜などに含まれます。
  • タンパク質:肉類、魚、卵、乳製品、大豆製品などに含まれます。
  • ビタミンD:サケ、ウナギ、サンマ、シイタケ、キクラゲなどに含まれます。
  • ビタミンK:納豆、ホウレン草、ニラ、ブロッコリー、キャベツなど含まれます。

摂りすぎは良くないもの

厳しい食事制限をかけるほどではないのですが、摂りすぎると骨によくないとされている成分です。

  • カフェイン
  • アルコール

このほか、タバコも骨の形成に良くないとされています。
以上の栄養素を気にしながら、バランスのよい食生活を送ることが大切です。

2.運動療法

多少の負荷をかけることで、骨は強くなります。また、筋肉を付けることで転倒による骨折の防止にもなります。

運動療法というと激しい運動を想像してしまう方もいるかもしれませんが、実際には散歩を週に数回するだけでも効果があります。とにかく長く続けることで、骨に良い影響を与える療法です。

3.薬物療法

薬の山-写真
骨粗鬆症の薬には、内服(飲むタイプ)の薬と、注射タイプの薬があります。注射は、自分でするものと診療所で打ってもらうものがあり、薬の種類によって頻度も変わります。

腸からのカルシウムの吸収を強化する薬

活性型ビタミンD3製剤

食べものから摂取したカルシウムの腸内からの吸収を増す働きがあります。骨密度を上げる効果は少ないようですが、骨折を減らすという研究結果があります。

一般名はアルファカルシドールといい、商品名はアルファロールワンアルファなどとして医師から処方されます。

骨が形成されるのを強化する薬

活性型ビタミンD3製剤

先述したカルシウムの吸収を増す働きがあります。骨の形成を促す効果もあります。

ビタミンK2製剤

骨のタンパク質の働きを上げることで、骨質を改善する効果があります。一般名はメナテトレンといい、商品名はグラケーカプセルなどがあり、こちらは飲み薬です。

テリパラチド(副甲状腺ホルモン)

フォルテオ皮下注テリボンという商品名で販売されています。フォルテオ皮下注は自分で注射をするように開発されたものです。使用量と回数は医師が決めますが、通常1日1回、注射することが多いです。テリボンは週に1回通院をして注射をするタイプの薬です。

骨吸収を抑えて骨を強化するタイプの薬

骨は、他の細胞と同じように代謝があります。ですので骨を作る動きだけでなく、骨を壊す動きもあるのです。骨吸収とは骨の中のカルシウムを吸収してしまう、骨を壊す働きのことです。

女性ホルモン製剤(エストロゲン)

女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをする薬で、骨からカルシウムが吸収されるのを防ぎます。エストラジオールエストリオールという商品名で販売されています。

ビスフォスフォネート製剤

エチドロン酸アレンドロン酸リセドロン酸など数種類あり、これらは強力に骨吸収を抑えます。内服するものから注射で使用するものなどさまざまな種類があります。使用頻度も1日1回のタイプから月に1回のタイプのものまで様々です。

ビスフォスフォネート製剤の薬を飲む日は朝起きたらすぐに、1錠をコップ1杯の水で服用します(胃の中に食べ物が入っていない状態のときに最も効果を発揮する薬です)。服用後は30分間、水以外の飲食や他の薬の服用は控えましょう。加えて、服用後は少なくとも30分間、横になるのを控え、身体を起こした状態で過ごします(すぐに横になった場合、薬が食道に残ったり、胃から戻ったりすることがあるためです)。詳しい服用方法については、医師や薬剤師の指示によく従ってください。

カルシトニン製剤

エルシトニンとして販売されています。骨粗鬆症の治療というよりは骨粗鬆症が原因で起こる痛みの治療に用いられることがあります。

最後に

骨粗鬆症の治療は現在もたくさん開発や研究が行われています。たくさんの種類があるのですが、なかには持病があると使えない薬剤や副作用が強いものもあります。そのため必ず医師と相談することが必要になります。気になる場合はお近くの整形外科を受診して相談してみましょう。