飛行機で海外を訪れたとき、渡航先から日本に戻ってきたとき、「日中に強い眠気に襲われる」といった体の不調を感じた経験はありませんか?この不調を時差ぼけといいます。時差ぼけは基本的に時間がたてば解消していくとされていますが、できるだけ早く回復したいものです。今回は時差ぼけの原因や症状、そしてどうすれば症状を和らげることができるのか、その方法について紹介します。

目次

時差ぼけの原因

時差ぼけの原因は、簡単にいうと体内時計と外の環境とのズレです。

私たちは普段、約25時間を周期とする体内時計と外の環境を合わせて生活しています。具体的には朝起きて日光を浴びて生活を始め、夜暗くなってきたら眠れるように体内の環境を調整しています。約25時間の周期は概日リズム(サーカディアンリズム)といわれています。

しかし、時差が生じている地域へ飛行機など短時間で行ける乗り物で移動すると、出発地と到着先では、時刻や外の環境は異なってきます。例えば日本時間の深夜に出発し、アメリカ大陸といった東側の地域に到着したとすると、日本時間では朝でも現地は夕方になります。こうして体内時計と外の環境にズレが生じてしまいます。

この時差によって現れる症状を総称して時差ぼけといいます。このほか時差症候群ジェットラグ症候群などと呼ばれることもあります。時差は4~5時間以上ある地域に行く場合に起こりやすいとされています。

時差ぼけの症状

時差ぼけで代表的な症状は睡眠障害で、時差ぼけによる起こったケースは概日リズム睡眠障害に分類されます。

本来ならまだ起きている時間に眠らなければならないため、眠れない不眠、なかなか寝付けない入眠困難、寝ても途中で目が覚めてしまう中途覚醒といった症状があります。また、現地では朝でも体は出発前の夜の状態になっているため、日中に眠気が襲ってくる昼夜逆転も現れます。

そのほか、以下の症状が現れることがあります。

  • 体がだるい       
  • 集中力の低下    
  • 作業能力の低下
  • 消化不良
  • 食欲不振

症状は、東側に移動する場合よりも、西側に移動する場合の方が軽くなることが多いです。但し、帰国後の時差ボケは西向きフライトの後の方が強くなります。

これは人間の体内時計が約25時間で1日の24時間より長いため、西側に移動する「遅寝遅起」の方が順応しやすいためです。

時差ぼけの対策・解消法

対策

出発前に時差ぼけ対策を行うと、体内時計と外の環境とのズレが少なくなり、症状が軽くなったり、時差ぼけの解消が早くなったりするといわれています。それでも、完全に予防することは難しいです。

具体的な方法として、東方面へ向かう場合は出発の1週間前~数日前からいつもよりも早寝早起きし、食事の時間を早め、またしっかりと睡眠時間を確保して現地で睡眠不足に陥らないようにします。西方面へ向かう場合は、逆にいつもより起床や就寝、食事のタイミングを遅くしておきましょう。

解消法

実際に時差ぼけになってしまった時の解消法は、時差のある地域への滞在期間が関係していきます。

滞在期間が短期(2~4日)の場合

滞在期間が短い場合は、現地時間に無理に合わせてしまうと、今度は日本に戻ったときにまた時差ぼけに悩まされてしまう可能性があります。日本に帰国したときの症状を軽くしたい場合、日中でも日本時間で夜にあたる時間であれば、思い切って睡眠時間を確保するのも一つの手です。

上記の方法が難しいようであれば、日光をしっかり浴びた上で、日中に短い時間の仮眠を取るのも有効です。

滞在期間が長期の場合

どんなに眠くても朝になれば起きて日光をしっかり浴びて、生活を送るなどして体内時計を早く現地時間に合わせることです。うまく順応できた場合は、帰国後に同様の時差ぼけ対策を行う必要があります。

どうしても症状がひどい場合は、睡眠薬を内服して改善を図るケースもあります。ただ、基本的には薬に頼らない方法を目指しましょう。

まとめ

時差ぼけは出発前に対策を行ったり、太陽光をしっかり浴びて現地の生活に早く順応したりすることで症状を軽くできる可能性があります。行く地域や滞在日数を考慮して、自分に合った対応を心がけましょう。