日本人女性の約半数に便秘の症状があると言われています(第一三共ヘルスケアより)。しかし、どうして女性は便秘になりやすいのでしょうか?

ここでは、便秘の定義や原因、女性と便秘の関係、便秘改善法などについてお話ししたいと思います。

目次

何日お通じがなければ便秘と言える?

一般的には3日以上お通じのない場合に便秘と言われますが、排便の回数は個人差が大きく、この限りではありません。毎日お通じのある人にとっては2日で便秘と言えるかもしれませんし、普段から2〜3日に1回の頻度の人はもっと日数が経たないと便秘だと認識すらできないのではないでしょうか。お通じがないことを苦痛と感じた時点で、便秘症となります。

便秘の種類と原因

便秘は、原因によって大きく4タイプに分類されます。

機能性便秘

大腸や直腸・肛門の働きが乱れることで起きる便秘です。最も多いケースの便秘で、生活習慣やストレス、加齢などが原因と言われています。さらに下記の3つに分類されます。

弛緩性便秘

腸を動かす筋肉が緩んだ状態で、排便を促すための蠕動運動が弱まり、便が滞った状態です。高齢者に多いほか、朝食を抜いたり、運動不足なども原因となります。

痙攣性便秘

腸の蠕動運動が過剰になり腸の壁が大きく動けなくなることで、便が滞った状態です。ストレスが大きな原因となります。

直腸性便秘

大腸から直腸に便が運ばれてくると、直腸のセンサーが反応して便意を催します。ところが習慣的に排便を我慢していると、このセンサーが鈍り、便意を感じなくなってしまいます。トイレを我慢しがちな、女性に多いタイプです。

器質性便秘

便の通り道がなんらかの理由で妨げられることで起こる便秘です。大腸がんや手術後の癒着、潰瘍性大腸炎やクローン病などが原因となります。

症候性便秘

甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症などの病気の症状として起こる便秘です。神経損傷や糖尿病になった場合もこのタイプの便秘になる場合があります。

薬剤性便秘

薬の作用で起こる便秘です。抗うつ薬や抗コリン薬(ぜんそくや頻尿、パーキンソン病の治療に使う薬)、咳止めの薬などに、大腸の蠕動運動を抑える作用があります。

女性が便秘になりやすい理由

女性が便秘になりやすい原因として、下記の4つが挙げられます。

筋肉量が少ない

男性と比べると、女性は腹筋が弱く、大腸が便を送り出す力が弱いとされています。

女性ホルモンの作用

女性のからだはホルモンの影響を大きく受けます。女性ホルモンの1つであるプロゲステロンは、腸の蠕動運動を抑制する作用があるため、便秘の原因となります

プロゲステロンは、生理周期後半や妊娠中に多く分泌されるため、生理前や妊娠中の便秘の原因となります。

無理なダイエット

近ごろ、特に若い女性では痩せたいという欲求が強く、必要のないダイエットをしている方が多いです。

食事量を減らしたり、バランスの取れていない食事を続けることで、食物繊維や水分、脂肪分などを減らすことに繋がり、便秘の原因となります。

便意を我慢してしまう

女性は恥ずかしさなどから、排便を我慢しがちです。排便を我慢することで、排便のリズムがつきにくくなり便秘になりやすい体質となってしまいます。

あるアンケートでは、女子学生が最も恥ずかしいと思う場面として排便が挙げられ、便意を知られたくないために排便を我慢しがちであるという結果が出ています。

便秘を改善する習慣6つ!

便秘の原因は生活習慣によるものが大半と考えられます。下記の便秘改善法を参考に、今の生活を見直してみましょう。

  • 食事は1日3食摂り、特に朝食をきちんと摂るようにする
  • 食物繊維の多いものや水分をしっかり摂る
  • 温水洗浄便座を使用する場合、水の勢いを強くして肛門内部まで水を入れることはしない(便秘が悪化します)。
  • ウォーキングやラジオ体操など、適度な運動を習慣にする
  • 市販薬は刺激性下剤の成分のものが多いため、使いすぎに注意する。
  • 乳酸菌をとり、腸内環境を整える。

まとめ

女性は体質や精神的な面も含め、便秘になりやすいことがわかっています。

便秘の状態を放置すると、肌荒れや痔、大腸の病気などのトラブルに発展していく場合があります。生活習慣を改善することで改善が期待できますので、上記の改善方法を試してみてはいかがでしょうか。

ただし、便に血や粘液が混ざる場合や激しい腹痛・嘔吐・発熱を伴う場合、腹部にしこりがある場合には、医師の診察が必要になりますので病院を受診するようにしましょう。また、なにをやっても改善しない重度な便秘の場合にも、医師に相談することをおすすめします。