2,3日便がでてなくておなかが張って痛い、便秘で肌の調子が悪いなど、便秘による悩みは尽きません。食物繊維の入ったものをよくとる、おなかのマッサージをしてみる、など対策してみてもどうしても改善されない場合、市販の便秘薬を使う方も多いでしょう。そこで今回は、便秘のときに使われる漢方について詳しく見ていきたいと思います。
どうして便秘になるの?
漢方では、便秘は生活習慣の変化などによるストレスや緊張が常に続いている、胃腸に熱を持ったために便の水分が足りなくなる、また老化や栄養状態の悪化により腸の潤いがなくなり排泄しづらくなるなどの状態が起きることで便秘になると考えられています。
この原因を理解し、ストレスなどを軽減させたり、水分を補給する、また栄養状態を見直すなどの対策を取ることで便秘を改善させます。
今回ご紹介する漢方は数多くある漢方の便秘薬の一部ですが、便秘を改善する手助けをしてくれます。
どのような漢方があるのか?
それでは具体的に使われる漢方についてみていきましょう。
体力がある場合
大柴胡湯(だいさいことう)
がっしりした体格でストレスが多く、おなかの張りや苦しさなどがある場合に用います。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
がっしりした体格でお腹を中心に出っ張るいわゆる太鼓腹の方が適応になります。最近ダイエット用の漢方としていろいろなメーカーから販売されています(商品名:ナイシトール、コッコアポA錠など)。便秘も肥満の原因の一つですので、水太りではなく固太り型肥満の方が便秘を改善する際に用いられます。
体力がふつうの場合
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
強烈でない代わりに身体への負担が少ないので使いやすく、いろいろなメーカーから便秘薬として販売されています。胃腸虚弱な方の場合は頓服で使用可能です。タケダ漢方便秘薬や大正漢方便秘薬の主成分もこの「大黄甘草湯」です。常習性便秘に広く使われています。
体力がない場合
便秘に効果があるとされている漢方には「大黄」が多く含まれています。しかし体力がある場合は強めの下剤である「大黄」を含んだものが使われますが、体力がない場合は「大黄」を服用すると腹痛を生じることがあるため、からだの弱い方は「大黄」を含まない便秘薬を使用するか、薬を減量したり頓服にしたりします。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
虚弱な小児に用いることが多いです。時々お腹が張ったり痛んだりすることがある方で、便秘を生じる場合に効果があります。小建中湯の中には「膠飴(こうい)」という生薬が含まれており、甘く飲みやすいため小児でも使いやすいとされています。またこの「膠飴(こうい)」は小児用の市販便秘薬である「マルツエキス」に主成分として60%以上含まれております。大人の場合は桂枝加芍薬湯や中建中湯を使用します。
麻子仁丸(ましにんがん)
コロコロした便や、皮膚・唇の乾燥を伴うとき、またおなかの痛みをあまり感じないときに用います。麻子仁は便に潤いを与えるため、水分が少なくて便が固くなる場合などに用いられます。この処方は大黄が含まれますが、効果は緩やかで老人にも使用可能な処方です。
漢方の便秘薬を使用する際の注意点
「漢方の便秘薬だから毎日使っても大丈夫でしょう」と考えられている方は意外に多いのではないかと思います。しかし漢方だからといって副作用がなく、くせになりにくいといったわけではありません。
上記でも紹介しました強めの成分である「大黄」を毎日継続して長期間服用することで、次第に量を増やさなければ効きにくくなることがあります。
便秘の改善が見られたら薬の量を減らしたり、服用間隔をあけたりします。また薬を飲むと同時に生活習慣の見直しなどを行い、薬だけに頼らずに便秘を改善する意識が必要です。
薬以外の便秘改善法

薬だけに頼らずに便秘を改善するよう、以下のようなことに注意してみましょう。
食事
- 毎日朝食をとる:大腸を刺激し排便の習慣を身につけさせます。
- こまめに水分補給する:腸内の水分を不足させないため。
- 食物繊維を含んだ食品をとる(コロコロした便秘の場合は逆に避けてください)
- ヨーグルトなどを積極的に摂取する:腸内の善玉菌を増やします。(冷え性の方はヨーグルトよりも他の乳酸発酵食品(ぬか漬け等)をお勧めします)
生活習慣
- 定期的な排便を習慣化する:便意がなくても朝食後にトイレに行ってみる。
- ストレスをため込まない
- 冷えを改善する
運動
- 毎日軽い運動を取り入れる
- おなかのマッサージを行う
- 腹筋運動や腹式呼吸を行う
まとめ
いかがでしたでしょうか?特に女性などは便秘で悩まれている方も多いと思います。便秘薬が手放せないといった方も多いでしょう。今回ご紹介した漢方はごく一部ですが、用途に応じて様々な種類のものがありますので、ご自身にあった便秘薬を見つけてみてください。
しかし薬だけに頼ってしまうと、自分の体が薬に慣れてしまって、自分の力で便を出すことを忘れていってしまいます。そのため薬は最小限にとどめて、改善したら服用をやめたり、服用量を減らしたり、また生活習慣の見直しを行うようにしましょう。