忙しくて部屋の換気や掃除をする時間がない。ペットを飼っている。衣替えなどでクローゼットの整理をしていたら、くしゃみや鼻水が出て悩まされた。これらに心当たりがある方は、室内にハウスダストがたまっているかもしれません。ハウスダストとは一体何なのでしょうか。今回は、ハウスダストによって起こるアレルギーのメカニズムと症状についてご紹介します。
ハウスダストって何のこと?
ハウスダストは、チリ、カビ、ダニ、ネコの毛など、家の中のホコリが混ざったもので、人の目では確認することができない小さなゴミのことを言います。このハウスダストを体内に取り込んだことによってアレルギー症状が起きる場合があります。
どうしてアレルギー症状が起こるの?
アレルギー反応とは
身体には、細菌、ウィルス、ダニなど自分とは違うものが体内に入ってきたときに、異物と認識して攻撃して排除する仕組みがあります。これを「免疫」と呼んでいます。
異物を排除するときに、自分の身体までも傷つけてしまう場合が「アレルギー反応」です。侵入してきた物質を「抗原」と呼び、アレルギーの原因となるものは、「アレルゲン」と呼ばれています。本来無害なものに対しても身体が過剰に反応したものが、アレルギーです。
ハウスダストアレルギーとは
皮膚や粘膜には、体内に異物が入らないように身体を守る「バリア機能」があります。何らかの原因でバリア機能が弱まると、身体の中にダニやほこりなどのアレルゲンが入りこみ、皮膚の細胞がそれらを異物だと認識します。そして異物に対してIgE抗体と呼ばれる異物を排除する分子を作り、血液中を流れて皮膚や粘膜の細胞の表面に待機します。
そして、再びアレルゲンが侵入すると、体内から「ヒスタミン」、「ロイコトリエン」と呼ばれる化学物質を放出して、気管支の筋肉を収縮させたり、鼻粘膜の炎症を引き起こしたりと、人によって様々なアレルギー症状を起こすのです。
どんな症状が出るの?

IgE抗体が待機している身体の様々な場所にアレルゲンが侵入することで、ハウスダストアレルギーが起こります。
アレルギー性鼻炎
アレルゲンが体内に侵入して、鼻の粘膜に炎症を起こします。
- 発作のようなくしゃみ
- 水のような鼻水
- 鼻づまり
ハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎は一年を通して起きますが、花粉などが原因のアレルギー性鼻炎は、花粉が飛ぶ季節だけ症状が起こります。
気管支ぜんそく(小児、成人)
- 激しい咳きこみ
- 息苦しさ
- 息をするたびに喉や胸から「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という音がなるぜいめい
- 粘り気のある痰
成人の場合は、風邪が長引いたと思っていたものがぜんそくである場合があります。ハウスダストによって気道が慢性的に炎症を起こしており、少しの刺激に対しても悪化することがあります。
アトピー性皮膚炎
ハウスダストや食べ物などのアレルゲンによってアレルギー症状が起こります。
- 顔、頭、耳などの皮膚の赤みと腫れ
- 皮膚の乾燥と硬化
- 皮膚の強いかゆみ
- 皮膚をかくことによる炎症と細菌感染
アレルギー性結膜炎
アレルゲンが結膜に入って炎症が起きます。
- 目の充血
- 目のかゆみ
- 結膜がむくむことによる白目の腫れ
ハウスダストが原因の通年性のものと花粉が原因の季節性のものがあります。
ハウスダストが原因で起きる症状の関係
アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎の病気に共通しているのは、アトピー素因(体質)です。これらの病気は、アレルゲンに対してアレルギー反応が起こる場所が違うだけと言うこともできるので合併することも少なくありません。
まとめ
ハウスダストアレルギーは、鼻、喉、皮膚、目と全身のあらゆる場所で発症します。家のなかにいるダニやチリなどがほこりと混ざったものがアレルゲンとなって、体内に入ったときに、排除しようとする身体の免疫反応によってアレルギー症状が起きているのです。アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎は、ハウスダストなどが原因の通年性のものと花粉などが原因の季節性のものに分けられます。
ハウスダストアレルギーの予防としては、こまめな掃除やダニ対策などが挙げられます。以下の記事では、簡単にできる対策法を紹介していますので、是非ご覧ください。