夏から秋にかけては、アレルギー疾患の原因となるハウスダストが増えやすい時期です。ハウスダストの一つであるダニは、梅雨の蒸し暑い時に増えるからです。この時期にくしゃみ、鼻水などが増えたらダニをアレルゲンとしたアレルギー症状が出ているのかもしれません。今回は、ハウスダストによるアレルギー疾患の治療や日常生活の対策法についてご紹介します。

目次

ハウスダストが原因で起きるアレルギー疾患は?

など

それぞれの治療方法は?

ワクチン

疾患ごとに、医療機関で行われる治療方法をご紹介します。

アレルギー性鼻炎

ハウスダストが鼻から入ることによって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が起こるのが、アレルギー性鼻炎です。

1.薬物治療

飲み薬として抗ヒスタミン薬、外用薬として点鼻薬が使われ、くしゃみ、鼻水や鼻づまりの症状を抑えます。

2.吸入治療(ネブライザー)

鼻水や鼻づまりをなくすために、鼻の中を吸引して薬を噴霧したり、薬を吸入したりします。

3.減感作療法

アレルゲン(アレルギーの原因となるもの)を少量注射して、徐々に量を増やしてアレルゲンに慣れさせ、身体の免疫力を高めながら、アレルギー症状を起こしにくくします。

気管支ぜんそく(小児成人)

気管支に炎症が起きて、様々な刺激に敏感になり空気の通りみちが狭くなる病気です。ぜんそくの炎症は、ハウスダストや花粉などに対してアレルギー反応が起こると考えられています。

1.吸入治療

気管支の炎症を抑えるために予防薬としてやステロイドを使います。吸入でステロイドを使う場合は、副作用も少なく安全と考えられています。

2.薬物治療

狭くなった気管支を広げるために、気管支拡張薬が使われます。ぜんそくの重症度に応じて、気管支の炎症を抑える内服薬も追加します。

アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹ができて、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら長期間続く皮膚炎です。原因の詳細は分かっていませんが、体質的なものとハウスダストなどの環境的なものによると考えられています。

1.外用療法

皮膚の炎症にステロイド外用薬、非ステロイド消炎薬が使われます。ドライスキンを改善するために、尿素軟膏、白色ワセリン、亜鉛華軟膏などの保湿性外用剤も処方されます。

2.内服療法

かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬、アレルギー症状を抑えるために抗アレルギー薬が処方されます。

アレルギー性結膜炎

アレルゲンが目に入ることで起きるアレルギー疾患です。目のかゆみ、異物感が主な症状です。

1.薬物治療

抗アレルギー薬を目薬として使い、アレルギー症状を抑えます。症状が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬が処方されます。

2.減感作療法

原因となる抗原が分かっていれば、その抗原を低い濃度から高い濃度まで徐々に注射をして、身体が反応しないように慣らしていく方法をとります。

ハウスダストを減らすための方法は?

子猫

ハウスダストによるアレルギー症状を抑えるためには、アレルギーの原因物質を避けることが大切です。日常生活からハウスダストを取り除くための方法をご紹介します。

こまめに掃除をする

ハウスダストを減らすために、掃除を頻繁に行いましょう。掃除機は排気でほこりをまき散らしてしまうので、十分に換気をしたり、掃除機をかける前に雑巾がけをするなどの工夫をしましょう。

吸い込んだハウスダストを再びまき散らさないように、排気カット式や水フィルターを使用した掃除機もあります。

空気清浄機を使う

できれば掃除を毎日行うのが理想的ですが、忙しい毎日の中では負担になります。また、掃除で全てのハウスダストを取り除くのは不可能なので、掃除と併せてハウスダストを吸引する効果がある空気清浄機を使うのも良いでしょう。

空気清浄機のフィルターが汚れていれば効果も半減するので、汚れていないか確認することも大切です。

ダニを予防する

ダニは、高温多湿の環境で増殖します。たんすや押し入れなど湿気がたまりやすい場所は、風通しを良くするために、除湿剤を使ったり、すのこを敷いたりして換気に努めましょう。

畳の下にダニ用の防虫紙を敷いたり、殺虫剤を注入する方法もあります。

布団からダニを取り除く

布団は湿気がこもるので、ダニが繁殖しやすい場所です。ダニは50度以上で死滅するので、天日干しをしたり布団乾燥機をかけて、ダニを退治しましょう。

布団を乾かした後は、掃除機でダニの死がいやフンなどを吸い取ることも重要です。シーツもできれば、一週間に一度の割合で洗濯をすると、清潔に保つことができます。

室内でペットを飼うときは清潔を心掛ける

ペットはなるべく屋外で飼い、寝室に入れないようにしましょう。家の中のほこりには、ペットの抜け毛も含まれます。ペットを室内で飼うときは、抜け毛や汚れがペットの体に溜まらないように定期的にシャンプーをするなどして清潔な状態を保ちましょう。

ペット用のダニ予防薬や駆除薬もハウスダストを防ぐには効果的です。

まとめ

ダニやほこりなどのハウスダストによって、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が起きたときは、医療機関を受診して治療を行いましょう。同時に部屋のハウスダストを取り除くことでアレルギー症状の緩和に努めましょう。こまめな掃除と洗濯で高温多湿の環境を好むダニを寄せ付けないようにしましょう。完璧に行おうと思うと負担になるので、自分のできる範囲で続けていくことが大切です。