毎日、うだるような暑さが続いています。気温が高くなると、熱中症になる可能性が高くなりますが、きちんと対策は行っているでしょうか?熱中症は、命を落とすこともある恐ろしい病気です。しかし、水分補給をしたり、無理をせずに冷房を活用したりすることが予防につながります。どんな状況で熱中症の危険が高まるのかを知った上で、熱中症予防のための正しい冷房の使い方を見ていきましょう。図版は、クリックまたはタップすると拡大できます。

目次

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今年の8月は熱中症患者が増える予感?!

熱中症による救急搬送者数とその月の平均気温-図解
上の表は、2012年から2015年の6~8月の間に熱中症で救急搬送された人の数と、その月ごとの平均気温(東京都)を示しています。

この4年間で搬送者数が最も多かったのは、2013年の8月。この月の平均気温は29.2度と、4年間で最も高くなっています。このデータからも、気温が高いと熱中症の危険性が高まることが分かりますね。

さらに、2015年は6月・7月の搬送者数は昨年よりも少なくなっていますが、7月末から急激に暑くなってきているのは皆さんも体感していると思います。8月4日現在、東京都の平均気温はなんと30.2度。これからも暑い日が続くと、熱中症患者はどんどん増えていくことが予想されます。

自宅にいる時こそ油断禁物

年齢階級別にみた熱中症の死亡数の発生場所別構成割合-図解
「そうは言っても、私は外で運動したりしないから大丈夫」と思っている方も少なくないことでしょう。しかし、実は熱中症の発生が多いのは室内にいる時なのです

上の図をご覧ください。熱中症の死亡者数のうち、発生場所が分かっているものを見てみると、なんと全体の46.9%を住居(家や居住施設)が占めています。また、年齢別に見ると圧倒的に高齢者が多いのも特徴的です。

つまり、熱中症に気をつけなければいけないのは外で運動しているときだけではありません。むしろ、「家の中にいるから大丈夫」という油断こそが熱中症になる危険性を高めるのです。

熱中症の「危険度」をチェックしよう

気温が高ければ高いほど熱中症の危険性が高まること、また室内にいても熱中症には注意を配る必要があることが分かっていただけたかと思います。

では、どのくらい気温が高くなったら熱中症に対する警戒を強めなければならないのでしょうか?

「暑さ指数」をご存知ですか?

熱中症の危険度をはかる目安の一つとして、「暑さ指数(WBGT::Wet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度))」があります。

これは、人体と外気のやりとり(熱収支)に着目した指標です。気温と同じ単位(℃)で表されますが、その値は気温とは異なります。

  1. 湿度
  2. 日射・放射など周辺の熱環境
  3. 気温

の3つの要素を取り入れた指標で、環境省の熱中症予防情報サイトで随時確認することができます。
日常生活に関する指針-図解
上記は、日常生活における「暑さ指数」の指針です。この値が25℃未満の場合は一般的にそれほど危険性が高くないとされますが、25℃を越えたあたりから警戒する必要が出てきます。また31℃を超えると、特に高齢者の場合は安静状態でも熱中症になる危険性が出てきます。周囲の方が注意を配ってあげてください。

無理せず冷房を活用しよう!

熱中症死亡者(屋内)クーラーの使用状況-図解
暑さ指数が高い時は、水分補給などによる予防に加え、室内の気温を下げるための工夫が必要です。

油断大敵!室内での熱中症を防ぐには」でもいくつかの方法を紹介していますが、ここで強調したいのは冷房を使うのをためらわないでほしいということです。

「電気代がもったいないから」「この程度の気温なら大丈夫」と思う方もいるでしょう。ですが東京都福祉保健局のデータによると、東京都内で2013年に熱中症で亡くなった方のうち、86.5%もの人が冷房を使用していなかったというのです。暑い時には無理をせずに冷房を使用することが、あなたの命を救うことに繋がるということを忘れないでください。

以下に、熱中症予防のための冷房の使い方のポイントを3つご紹介します。参考にしてください。

1.室温は28度を目安に、湿度にも注意

熱中症で死亡する率が高くなるのは、30度を超えた頃からだといわれています。冷房を付ける際の設定温度は、28度を目安にすると良いでしょう。

また、気温が低くても湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。体温は汗の蒸発によって下がるため、湿度が高いと熱中症になりやすくなってしまいます。エアコンの除湿機能もうまく使うようにしましょう。

2.冷房を使う部屋に一工夫して節電しよう

「エアコンを使うと電気代が心配…」という人は、家の中でエアコンを使う部屋を一部屋に決めてしまいましょう。一部屋に家族が集まり、その部屋だけで冷房を使用すれば節電に繋がります。広い部屋を家具の配置などによって仕切り、冷気の届く範囲を狭くすることも節電に繋がります。

3.扇風機と冷房をあわせて使おう

体感温度を下げるために欠かせないのが、扇風機うちわです。扇風機を使って冷気を部屋全体に行き渡らせると、節電にも繋がります。冷たい空気は下の方に溜まる傾向があるので、扇風機を部屋の上方に向けて風を送ると良いでしょう。

風通しを良くすることで、除湿にも繋がります

まとめ

熱中症になりやすい環境と、熱中症を防ぐための冷房の活用方法について分かっていただけたでしょうか?節電も大切ですが、あまり節電を意識しすぎると、熱中症で命を落としてしまう恐れがあります。今回ご紹介したような工夫を行うことで、うまく部屋の中の温度を下げて熱中症からご自分の身を守ってくださいね。