我が国では2011年に、過去10年において最多の患者数を記録するなどしてマイコプラズマ肺炎が大流行し、学校などの集団生活の場では特に注意が呼び掛けられていたかと思います。2016年にも流行がみられました。

マイコプラズマ肺炎は、インフルエンザなどと同様飛沫感染・接触感染であるため家族間や集団生活の場では特に流行しやすい傾向にあります。このマイコプラズマ肺炎に関して、今から予防法を頭に入れておくことで感染の拡大を防ぐようにしていきましょう。

目次

マイコプラズマ肺炎とは?

小児・若い人に比較的多く、肺炎マイコプラズマという細菌によって引き起こされる肺炎のことです。詳しくは「マイコプラズマ肺炎とは。潜伏期間はどのくらい?うつるの?」の記事を参照してください。

1年を通してどの時期にもみられ、流行する季節は年により異なります。

治療法は?

抗菌薬による治療になります。

肺炎マイコプラズマという細菌は自己増殖可能な細菌であり、一般的な細菌と違い細胞壁を持たないとされています。そのため、細胞壁の合成を阻害するのに有効なペニシリンやセフェム系の抗菌薬が無効とされており、マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系の抗菌薬が使用されます。

マクロライド系(エリスロマイシンクラリスロマイシンアジスロマイシンなど)

グラム陽性菌に有効であり、ペニシリン耐性菌に使用されます。クラミジアなどの感染症治療でも使用します。中でもエリスロマイシンは肺組織への分布が良くマイコプラズマなどの肺炎治療に用いられます。

テトラサイクリン系(ミノマイシン)

グラム陽性菌・グラム陰性菌・クラミジア・マイコプラズマなど広範囲の感染症に有効とされています。しかし、肝障害・腎障害を起こしやすく、特に8歳未満では歯の黄染がみられるため、注意する必要があります。

ニューキノロン系(レボフロキサシンシプロフロキサシンスパルフロキサシンなど)

化学合成によって作られた抗菌薬です。旧来の抗菌薬に比べて抗菌力が強く、広範囲な抗菌作用を持ち呼吸器感染症・尿路感染症・腸内感染症などの治療に用いられます。

日本マイコプラズマ学会の肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針によると、小児ではマクロライド系薬が第一選択薬とされ、8歳未満ではテトラサイクリン系薬の使用は原則禁忌としています。また、成人ではマクロライド系薬を第一選択とし、続いてテトラサイクリン系、キノロン系薬の使用を推奨しています。

予防法は?

コップとマスク

マイコプラズマ肺炎は、飛沫感染・接触感染により感染します。

そのため、まずは感染している人との接触をなるべく避けるようにします。人ごみやをしている人がいるところへの外出を控える、また症状のある人には別室で過ごすなどしてもらいます。手洗い・うがいの励行やマスク着用などの基本的な行動も重要な予防法です。

学校には行ける?

マイコプラズマ肺炎は学校保健安全法の第三種の感染症として分類されており、この第三種の感染症による出席停止の期間については「病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めるまで」とされています。そのため、明確な出席停止期間は定められていません。解熱して2日程度して、咳で日常生活に支障がないレベルと考えられています。

元気がよく、医師からも出席の許可が出れば登校は問題ないでしょう。

まとめ

毎年冬になると風邪症状も目立つようになり、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎など感冒症状を呈する感染症も増加傾向になります。常日頃からの予防行動も大切ですが、特にこれからの季節は手洗いうがいの励行やマスク着用などを心掛け、体調管理をしっかり行っていくようにしましょう。