全身のさまざまな部分に起こる神経痛。ピリピリとした痛みが突然起こったり、頑固に持続したり不快なものです。神経痛の詳しい症状やメカニズムについては、こちらの記事「神経痛ってどんな症状?メカニズムを徹底解説」にまとめていますのでご参照ください。
では、神経痛にはどのように治療法や予防法があるのでしょうか?
神経痛が気になるときは何科を受診するの?
まずはその痛みが神経痛なのか、炎症などの別の痛みなのか区別する必要があります。
自覚症状として、ピリピリと電気が走るような特徴的な痛みがあれば神経痛の可能性は高いと思われますが、明らかでない場合は、まずは総合的に検査や診療が受けられる一般内科の受診をお勧めします。
顔面の片側に突然起こる激痛といった自覚症状があり、三叉神経痛が疑われる場合は、神経内科もしくは脳神経外科の受診が適切です。また、腰痛や下肢の痺れ、または手の痺れを伴う場合は、腰部や手腕の整形疾患の疑われるため整形外科を受診しましょう。
また原因が分からない痛みやなかなか良くならない痛みなど、痛みを専門で診療するペインクリニックもあります。
*ペインクリニックとは
ペインクリニックは、神経ブロックや薬物療法などによって、身体のあらゆる痛みの緩和を行う専門医です。ペインクリニック単科の医院、病院のほか、総合病院などに外来部門として設置されているところもあります。
病院で行われる神経痛の治療法

病院では症状に応じて、以下のような治療が行われます。
内服治療
非ステロイド性鎮痛薬
商品名:バファリン、ロキソニンなど
一般的な痛み止めとして医療機関での処方のほか、市販薬としても販売されています。
神経障害性疼痛治療薬プレガバリン
商品名:リリカ
神経が関わる痛みに特異的に作用する薬です。この薬は処方薬ですので、医師の診察の上、医療機関で処方されます。
ビタミン製剤
商品名:メチコバール(ビタミンB12)、ユベラ(ビタミンE)
どちらの薬も末梢神経障害に頻用されます。ビタミンB12は末梢神経の修復に作用し、ビタミンEは末梢の血流を改善することで症状改善が期待できます。
抗てんかん薬
商品名:テグレトール、トリプタノール、ガバペン等
ある種の抗てんかん薬が神経痛の治療に使われます。これは神経細胞の異常な興奮を抑えることで、痛みの症状が緩和すると考えられています。
※これらの薬が使われると、自分の病気はてんかんではないかと心配される方もいるかも知れませんが、主にてんかん治療に使われる薬が神経痛の治療にも効果があるということを理解しておいて下さい。
神経ブロック
痛みがある部分の神経付近に局所麻酔薬を注射し、神経の興奮を鎮めることで痛みを和らげる治療法です。痛みの部分によって様々な種類があり、ペインクリニックや整形外科で行われています。
理学療法
電気刺激療法
低周波の電気刺激により、痛みを伝達する神経の働きを抑え、痛みを緩和します。電気刺激療法には多くの種類があり、痛みの部位や症状に応じて、治療法が選択されます。
温熱療法
体表から身体を温めることで、血流を良くし筋肉や神経の痛みを和らげる治療法です。
神経痛にはセルフケアも大切
神経痛は、病気に起因するものだけでなく、仕事や趣味などの生活上の身体の使い癖によって起こるものもあり、予防や症状の緩和にはセルフケアも大切です。神経痛を悪化させる以下の因子を改善しましょう。
ストレスや緊張を最小限に
神経痛には自律神経が関与しており、過度のストレスや緊張は自律神経の興奮から神経痛を悪化させます。
仕事や家事の合間にも、深呼吸やストレッチなどで気分転換を図りながら、心身ともにリラックスする時間を設けましょう。
コーヒーやアルコール、タバコなどの刺激物を控える
コーヒーやアルコールなどの刺激物は交感神経を興奮させ、痛みに対する感受性が高くなります。タバコは血行を悪化させるほか、神経の修復に不可欠なビタミンを破壊することから、神経痛の症状を悪化させる原因になります。
身体を冷やさない
身体の冷えは、血流の低下により筋肉を硬くし、神経痛の悪化に繋がります。神経痛の緩和、悪化予防には身体を冷やさないことが基本です。身体の冷えを改善する方法については、記事「寒くもないのに寒気がする。どんな対策をとればいいの?」に詳しくまとめていますので、ご参照ください。
また身体を温める方法のひとつとして、神経痛の治療にも取り入れられているのが温泉です。
温泉は身体を温める効果のほか、ナトリウムやイオンなどの温泉成分による神経痛の緩和やリラックス効果もあります。ただし泉質によっては禁忌となる病気、病状があります。感染症などの急性疾患のほか、心臓病や腎臓病、高血圧、貧血などの治療を受けている方は、医師への相談が必要です。

姿勢、動作に気をつける
神経痛の中には、特定の姿勢や動作によって痛み生じたり悪化するものがあります。
坐骨神経痛は腰に負担がかかる長時間の座位や、腰を反る動作で悪化するため、日常生活の中ではこうした姿勢や動作を最小限にするよう工夫しましょう。
また、パソコンやピアノなど手先を酷使することで起こる手根管(しゅこんかん)症候群や、野球の投球動作など肘への負担がかかるスポーツによって起こる肘部管(ちゅうぶかん)症候群による神経痛の緩和や悪化防止には、その原因となる動作を控えることも必要です。
まとめ
神経痛には様々な原因があり、日常生活の中にもその要因があります。病院での治療法も多種ありますが、神経痛の根治には時間がかかります。神経痛を悪化させないためには日常生活の中で上手にセルフケアを行うことが必要です。