神経痛や関節痛、筋肉痛など様々な痛みに対して一般的によく使われているのは解熱鎮痛剤だと思います。しかし解熱鎮痛剤の多くは頻繁に使いすぎると胃に負担を与えてしまい、最悪の場合胃潰瘍などの副作用を引き起こす恐れがあります。そこで今回は胃腸障害などの副作用が比較的少なめである漢方の中から、痛みに使われているものをいくつかご紹介します。解熱鎮痛剤を使いたくない方などはぜひ試してみていただきたいです。

目次

痛みの種類

痛みといっても様々な種類があり、それぞれによって対応する漢方が違ってくる場合もあります。そこで痛みの種類について詳しく見ていきたいと思います。

神経痛

神経痛とは「ビリっと電気が走ったような痛み」「しびれが伴う痛み」などと表現されており、神経が何らかの要因によって刺激を受け、神経に沿って生じる痛みのことをいいます。ヘルニアなどが神経を圧迫しているような場合や、帯状疱疹後遺症としても現れます。また原因不明のものも多く、その場合は冷えやストレスが要因ともいわれています。

関節痛

加齢や肥満、運動不足などにより関節の間に存在するクッション材関節軟骨)がすり減ったり、変形したりすることで関節痛は生じます。またスポーツなどで特定の部分の関節を酷使した場合も、炎症や変形を起こし、痛みを引き起こします。関節痛を伴う疾患としては、関節リウマチ四十肩・五十肩変形性膝関節症などがあげられます。

筋肉痛

急に運動した後や激しいスポーツの後など、筋肉痛は現れます。運動した翌日、筋肉痛で歩くのもままならないといった経験をした方も多いのではないでしょうか。これは運動することにより、筋肉・関節などが傷つき、その部位を修復するために炎症が生じていることが原因であると考えられています。

腰痛

長時間同じ姿勢をしていたりすることで、筋肉が疲労して血流が悪くなり腰痛が引き起こされます。また運動不足や加齢による筋力の低下などにより正しい姿勢を保つことが困難になると腰に負担が発生し、こちらも腰痛の原因となります。

それぞれの痛みに対応した漢方の種類

漢方薬-写真

疎経活血湯(そけいかっけつとう)

  • 体力が普通の方向け
  • 神経痛・関節痛・筋肉痛・腰痛に用いられる(特に左側の痛み)
  • 痛みが慢性的、もしくは雨の日や夜に特に痛む方などに効果的
  • 冷えている部位を温め、血のめぐりを良くすることで、痛みを和らげる

桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)

  • 体力がない方向け
  • 神経痛・関節痛に用いられる
  • 特に手足が冷えたり、寒いときに痛みを感じたりする方、お風呂に入ると痛みが和らぐ方で浮腫やめまい、動悸など水毒症状がある場合に効果的
  • 気の流れをスムーズにし、体を温め水はけを良くすることで痛みを緩和する

五積散(ごしゃくさん)

  • 体力がない~普通の方向け
  • 神経痛・関節痛に用いられる
  • 寒くなると身体の表面が痛み、足が冷えて手足の痛みが悪化する方に効果的で、体を温めて痛みを緩和する。夏にクーラーで冷えて体が痛くなるような方にオススメです。

薏苡仁湯(よくいにんとう)

  • 体力が普通の方向け
  • 筋肉痛・関節痛に用いられる
  • 関節リウマチ等に用いられ関節が熱を持って腫れたり重くてだるい痛みが続いたり、むくみやしびれがある方に効果的
  • 余計な水分を外に出し、熱をとることで痛みを緩和する

まとめ

痛み止めといえば西洋薬といったイメージが強いですが、じつは漢方にも痛みに対応したものがたくさん存在します(上に挙げた4つ以外にも防已黄耆湯・桂芍知母湯・麻杏薏甘湯・二朮湯などが有名です)。西洋薬は痛みをとってくれますが、慢性的な痛みに対しては飲み続けることで副作用が心配になってきます。しかし漢方は体質改善から痛みを緩和させるため、慢性的な痛みにも効果的です。西洋薬の解熱鎮痛剤による副作用が心配な方も、試してみてはいかがでしょうか。

ただし、漢方が副作用が少ないとはいえ、存在しないわけではありません。自身に合った漢方を使用しなかった場合は、副作用が生じる恐れもあります。詳しくは「知っておきたい、漢方と副作用のはなし」に記述されているため、こちらも参考にして自身に合った漢方を選んでください。

また痛みの原因となっている肥満運動不足などは生活習慣の見直しなどで改善できます。漢方を服用しつつ、運動を無理しない程度で始めるなど対策をとることで、痛みの原因を取り除き、不自由のない生活を手に入れることもできます。痛みがなかなか治まらない方は、痛みの原因を考えて漢方を選んだり、生活を見直してみましょう。