自己免疫疾患のひとつにバセドウ病があります。バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、様々な症状を引き起こす病気のことです。

バセドウ病が疑われたら何科を受診すればよいでしょうか?また、バセドウ病にはどのような検査や治療があるのでしょうか。

目次

何科の病気?

バセドウ病とは自己免疫疾患のひとつで、甲状腺の病気です(詳しくは「バセドウ病ってどんな病気?初期症状やメカニズムとは」の記事でも説明しています)。甲状腺ホルモンの分泌異常による疾患のため、バセドウ病のような症状がある場合、自分がバセドウ病ではないかと思う場合は、内科内分泌科に受診するのがいいでしょう。

検査方法は?

血液検査

採血にて血液中の甲状腺ホルモンの量やバセドウ病特有のTSH受容体抗体(甲状腺を刺激する抗体)の有無を測定します。

超音波検査

甲状腺の大きさや血流、しこりの有無などについて調べます。

アイソトープ検査

甲状腺は食物などからヨウ素を取り込むという性質がありますが、バセドウ病の場合このヨウ素が甲状腺に非常に多く集まります。そのため、アイソトープ(放射線ヨウ素)を服用し、甲状腺にどのくらいの量が集まるかを検査します。

上記の検査方法や症状などを総合し、バセドウ病かどうかを診断します。

治療は?

薬物療法

メルカゾール、チウラジール、プロパジールなどの抗甲状腺薬(甲状腺ホルモンの合成を抑える働きの薬)を、甲状腺ホルモンの量を見ながら内服していきます。しかし、内服により甲状腺機能が正常化したからとすぐに内服を中断してしまうと、再度甲状腺機能亢進状態となることが報告されています。そのため、最低でも2年間は内服を継続しているケースが大半を占めています。

アイソトープ療法

検査方法でも述べた通り、甲状腺にはヨウ素を取り込むという性質があります。そのためこの性質を利用し、放射性ヨウ素(小さなカプセル)を内服することで甲状腺を内部から直接治療するという方法です。ヨウ素は甲状腺に集まる特徴があるので、働きすぎている甲状腺の細胞を減少させます。体内の他の臓器に影響はなく、副作用や合併症もほとんどないといわれています。

手術療法

甲状腺を摘出し甲状腺ホルモン産生を直接的に減らそうとする治療法です。

副作用は?

薬物療法

蕁麻疹:内服薬の変更やかゆみ止めとの併用で継続できることもありますが、症状がひどければ薬物療法を中止することもあります。

肝機能障害:肝機能障害は、甲状腺機能亢進症の場合でもみられる症状ですが、この場合は薬の内服で甲状腺機能が正常になると肝機能障害の症状も落ち着きます。薬による副作用の場合は、状態によっては薬物療法を中止しなくてはならない場合もあります。

顆粒球減少:白血球の中に多く存在する細菌などを殺す働きのある顆粒球が減少してしまうことです。これらの顆粒球が減少してしまうと、感染症にかかりやすく重症化しやすくなります。薬物療法の中でも重篤な副作用であり、対応や発見が遅れると致命的となることもあり、突然の高熱が出た場合などは注意が必要です。

アイソトープ療法

甲状腺の細胞が減りすぎることで、数年~数十年後に甲状腺機能低下症になる可能性があります。

手術療法

再発の可能性は低くなる一方、甲状腺機能低下症になりやすいです。また、甲状腺のすぐ後ろに反回神経と呼ばれる神経が走っているため、少しでも傷ついたりしてしまうと反回神経麻痺といって声がかすれたり息切れがするなどの症状が出ることがあります。

日常生活の注意点

眠る女性

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、新陳代謝が活発になり常に全力疾走をしているような感じになります。そのため、過度な運動や体力を消耗するような行動は控えるほうがいいでしょう。

まとめ

バセドウ病は自己免疫疾患と呼ばれます。難病や怖い病気とのイメージも強くありますが、適切な治療を行うことで症状も十分軽減・緩和でき、通常の日常生活を送ることも可能です。それより怖いのは、治療を行わずに症状が重篤化した場合です。そのため、バセドウ病の疑いがある場合やそれらしい症状で気になっている場合は、怖がらずに病院へ受診し医師による適切な診断・治療を受けましょう。