「痩せたい!」「体重を減らしたい!」という話題はたくさんありますが、反面「痩せすぎ」の問題があります。特に20代女性の21.5%が「やせ」の状態にあり(2013年の国民健康・栄養調査による)、本当は怖い痩せすぎの問題としてなかには深刻な病気が潜むケースもあります。

目次

「体重減少」以外の症状によって分かる病気とは?

体重が減少した場合で原因が炎症性疾患のケースでは、体重減少以外にも、倦怠感や発熱とともに以下のような症状がみられます。
悪化すると体力も消耗し、食欲低下により体重減少を来たすのです。

また、各種のがんは、初期は無症状で食欲や体重に変化も見られませんが、進行してくると体重も減少していきます。

これらの症状がある場合は、症状の基なる病気の治療を必要としますので、医療機関を受診しましょう。

「体重減少」以外の症状がはっきりしなくても病気の可能性が

食欲はあり普通に食事を食べているのに体重が減ってくる場合は、内分泌疾患の可能性があります。

内分泌疾患とは?

私たちの身体の諸機能を調節する働きのひとつに「ホルモン」があります。

ヒトのホルモンは100種類以上にもおよび、血糖値を調節するインスリンや女性の生理に関係するエストロゲンなどもこのホルモンの一種です。
血圧の調整や骨の成長、栄養素の消化吸収にもホルモンは関与しています。

内分泌疾患とはこれらのホルモンの働きが上手くいかなくなることで生じる病気の総称です。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

なかでもバセドウ病と呼ばれる甲状腺ホルモンが過剰に分泌する病気は、体重減少が顕著に現れます。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌することによって新陳代謝が異常に亢進し、体重減少とともに動悸や手の震え、眼球の突出、首の前面が腫れる症状が出現します。

バセドウ病の治療は甲状腺の働きを抑える薬の服用、または手術も行われます。

ストレスや心の病も「体重減少」に

パンを片手に持った女性

神経性食欲不振症(拒食症)

標準的な体系なのに「太っている」と思い込み過剰なダイエットをしたり、ダイエットが成功し周囲から褒められたり羨ましがられることに強い満足感を覚え、次第に「食べないこと」がエスカレートしていきます。

神経性食欲不振症には、完璧を求める一方で「自分に自信がない」「プレッシャーを感じやすい」といった心理的な問題と、家庭や学校などの社会環境も関与しています。
本来は別のことで得られる満足感を「痩せること」で補ってしまうのです。

過度の体重減少の身体は栄養失調の状態に陥り、腎臓や心臓の働きを阻害し、やがては全身的な機能不全を引き起こします。

こうした心の病による体重減少は、食べることを勧めるだけでは解決しないことが多く、精神科医による専門的な治療を必要とすることもあります。

適正な体重と身体づくりのために知っておきたい適正体重とBMI

 心身ともに健康な状態を維持するために適正な体重は

適正体重=身長(m)×身長(m)×22 

で算出されます。

またどのくらい痩せているか、または太っているかの判断基準としてBMIを用います。

BMI指数
指標 判定
18.5未満 低体重(痩せ型)
18.5~25 普通体重
25~30 肥満(1度)
30~35 肥満(2度)
35~40 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)

◎身長160cmの場合、

「適正体重」は 1.6×1.6×22 = 56.32kg

「普通体重」は 47.36kg~64kg  となります。

フランスでファッションモデルの痩せすぎが問題となり、BMI=18以下のモデルは起用しないというニュースが話題となりましたが、国内外問わず、若い女性(最近は男性も)の行き過ぎた「痩せ志向」は問題視されています。

体重減少の注意の目安とは?

もともとの体重にもよりますが、「肥満体重」の減量は-2kg/月を目安に行います。

特に食事制限や「痩せるため」の行為をしていないのに、これ以上のペースで体重が減っていく場合は、前述のような病気が潜んでいる可能性がありますので医療機関に相談してみましょう。

まとめ

「体重減少」には身体の病気だけでなく、「痩せること」への志向が強い心や社会の病が影響しています。

人によっては10kg以上減ったところでようやく「痩せたね」と周囲の人に気づかれることもあったり、ダイエットの効果と思われたり、本人も周りも病気が潜んでいることに気づかないこともあります。
健康を維持するためには「適正体重」を目安にし、適度な運動を取り入れながら「体重」だけでなく健康な身体づくりを心掛けましょう。