「バセドウ病」という病気の名前を聞いたことがある方は多いかと思います。
しかし、どのような病気なのか皆さんはご存知ですか?
実は良く知られている目の症状はそれほど多いものではなく、他の症状の方がわかりやすい場合があります。
今回は、バセドウ病について解説していきます。

目次

バセドウ病とは?

喉仏の下方と胸骨の上端の間、首の前面部分に存在する甲状腺という部分の働きが活発になり、甲状腺ホルモンが通常より過剰に分泌され、様々な症状を引き起こす自己免疫疾患のことです。

甲状腺疾患の中でも特に多く、20~30代の若い女性に多いとされています。

自己免疫疾患とは?

人間には本来外から侵入してくるウイルスや細菌などから身を守るための免疫機能が備わっており、その外敵を排除するために抗体を作ります。しかし、何らかの原因により自分自身の身体を攻撃する抗体を作ってしまう病気があります。これを自己免疫疾患といいます。

バセドウ病はこの自己免疫疾患のひとつです。甲状腺を刺激する抗体が作られてしまうことで甲状腺が異常に刺激され働きが活発になり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌してしまう病気です。

症状は?

びまん性甲状腺腫大

抗体による持続的な刺激により、甲状腺の細胞増殖・血管拡張・血流増加などから甲状腺が腫れてしまうことです。甲状腺のある首の前面部分が膨らみ、首が太ったように見えます。

眼球突出

眼球突出は、バセドウ病の中でも有名な症状ですが、日本人では程度が軽いことも多く実際にはそれほど多い症状ではありません。

甲状腺中毒症状

体重計

甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発にする働きがあります。そのため、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって以下のような症状が現れます。

発汗過多 疲れやすい 息切れ 動悸頻脈

全身の代謝が亢進することにより、エネルギーの消費が増えこのような症状となってあらわれます。

体重減少

代謝が亢進しており、食欲はあるのに食べても太りにくく体重が減ることもあります。

軟便下痢

腸管運動が亢進することによって起こります。

手の震え

筋肉や神経系の亢進により起こります

怒りっぽくなる イライラする

中枢神経系も亢進するため精神状態にも影響を与えます。

この他にも皮膚の痒み・暑がり・筋力の低下などがあります。

高齢者では、眼症状や甲状腺腫大などの症状よりも心房細動(心房からの不規則な刺激による頻脈傾向の強い不整脈)などの循環器の症状が強く出ることもあるので、注意が必要です。

また、症状の現れ方には個人差があります。そのため、バセドウ病であっても自覚症状に乏しいこともあります。

まとめ

バセドウ病は自己免疫疾患であるため、精神的負担はもちろんですが、代謝の亢進によりエネルギーを消費し身体も疲れやすい状態にあります。そのため心身共に負担も大きく、日常生活にも大きく影響を与える病気です。適切な診断・治療を受けることで症状は軽減・改善されるため、少しでも上記のような症状があれば病院へ受診してみましょう。