みなさんはバセドウ病という病気の名前を聞いたことがあるでしょうか。著名人がかかったのを、ニュースで聞いたことがある、という方もいるかもしれません。

主に若い女性に多く、かかると様々な症状に悩まされるバセドウ病ですが、今回はそんなバセドウ病と、バセドウ病と共に起こる様々な病気(合併症)について、少し詳しく見ていこうと思います。

目次

バセドウ病って何?

バセドウ病の合併症について見る前に、簡単にバセドウ病の原因について見ていきましょう。

バセドウ病は、主に20代から30代の女性に起こることが多く、男女比は1対4ほどです。

主に自分の体を守る機能(免疫機能)が、誤って甲状腺という体のエネルギー利用を司る器官を攻撃し、刺激してしまうことによって起こるとされています。刺激された甲状腺は甲状腺ホルモンというコントロール物質を大量に出し、体のエネルギーをどんどんと使ってしまうようになるため、結果として様々な症状が現れてくるのです。

代表的な症状としては、甲状腺の腫れ、早い脈、眼球の突出などがあり、他にも動悸、息切れ、体重減少、疲労感などが現れます。

代表的な4つの合併症

女性の後姿-写真

バセドウ病は甲状腺と呼ばれる、首の部分にある器官の病気です。

この器官はホルモンを放出することで全身に影響力を及ぼすことのできる臓器であるため、様々な症状や合併症が引き起こされます。

今回はその中でも、心臓の異常である心房細動(しんぼうさいどう)、目の異常であるバセドウ病眼症、手足の異常である周期性四肢麻痺(しゅうきせいししまひ)、バセドウ病が重症化したものである甲状腺クリーゼについて、見ていこうと思います。

心房細動

バセドウ病では動悸が起こることがあります。

この時心臓は、長い間必要以上に働いている状態となっているため、強い負担がかかっています。

これが長い間続くと心臓が正常に動くことができなくなり、心房細動と呼ばれる一種の不整脈が引き起こされてしまうのです。

心房細動では、心臓の一部が一定のペースでリズムを打つことができなくなり、心臓の中に血が溜まりやすくなってしまいます。

すると、溜まった血が心臓の中で固まってしまい、血栓となることで、全身の血管を詰まらせてしまう原因となります。

もし、血栓が脳などに飛んだ場合は、最悪の場合、死に至ることもあります。

バセドウ病眼症

代表的な症状でも紹介した通り、バセドウ病では目に関連した症状が出ることがあります。

免疫反応が、甲状腺だけでなくまぶたや目玉の後ろの部分まで刺激してしまうために起こった炎症が原因です。

目の周囲の腫れによって目が押し出され飛び出て見えたり、筋肉が腫れた場合は目の動きが鈍り、ものが二重に見えたりします。

また、腫れた部分が視神経を圧迫した場合では、物がゆがんで見えたり、視力自体が低下したり、といったこともおこります。

周期性四肢麻痺

周期性四肢麻痺とは、特に男性のバセドウ病患者でみられることの多い合併症です。

朝起きたときなどに手足を動かすことができず、数時間経てば回復するものの、くり返し同じ症状があらわれることが特徴とされます。

この合併症は、バセドウ病によって血液中のカリウムという物質が減ってしまうことによって引き起こされるとされています。

カリウムは筋肉などに命令を伝える電気信号を作るのに必要であるため、これが少なくなると命令がうまく伝達されなくなり、手足の麻痺が起こってしまうのです。

甲状腺クリーゼ

甲状腺クリーゼとは、バセドウ病が悪化してしまった状況のことで、素早い治療を行わなければ死に至る可能性もある非常に恐ろしい合併症です。

主に十分な治療を受けていない場合や、大きな手術を受けたり、重い感染症になったりなどの大きなストレスを受けた場合に起きやすいとされ、40℃を超える高熱、頻脈、意識混濁などの状態に陥ってしまいます。

現在では治療を受けずにいるバセドウ病患者さんはほとんどいないため、それほどひどい状態に陥る患者さんは少ないですが、甲状腺クリーゼを引き起こしてしまうと非常に危険であるという事実に変わりはありません。

まとめ

若い女性に多いとされるバセドウ病ですが、甲状腺の腫れ、早い脈、眼球の突出や動悸、息切れ、体重減少などの典型的な症状の他にも、様々な合併症を引き起こすことが知られています。

代表的なものとして心房細動、バセドウ病眼症、周期性四肢麻痺、甲状腺クリーゼの四つがあげられ、特に心房細動と甲状腺クリーゼは命に関わるため、注意が必要とされています。

しかし、いずれの合併症も、バセドウ病の早期発見、早期治療によって、リスクを最小限に留めることができますので、異常を感じたらしっかりと病院にかかるようにしましょう。