お腹の調子に関連して起こるおなら。おならは生理現象のひとつですが、人前で不意に出てしまうと非常に気まずいものです。
おならが多くて気になるときには、どのような対策があるのでしょうか。今回はおならの改善と治療についてご紹介します。
おならは胃腸の不調のサイン?
おならは、体内で過剰にたまった空気が腸を経て排出される生理現象です。腸内細菌の働きにより、食べ物を消化吸収する過程で腸内にガスが発生し、臭いを発生します。
便秘や下痢などの便通の異常に伴っておならが増加することも多く、おならは胃腸の不調と密接な関係があります。
おならと病気との関連については、「おならが多い。これってもしかして、胃腸の不調のサインかも?」をご参照ください。
おならの改善策
おならで病院に行くのは…、と思いますが、おならが急に増えたり、便秘や下痢などの症状があったりする場合は、治療が必要な病気の場合があります。このような症状がある場合は、まずは消化器内科を受診しましょう。
病院では、胃や腸に炎症や腫瘍などの器質的な異常がないかを検査によって確認します。器質的な異常があれば、その病気に対する治療を行い、異常がない場合も症状に応じて服薬などの対症的な治療が行われます。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、胃や腸に器質的な異常がないのに、便秘や下痢、腹痛や腹部膨満感などの症状が慢性的に持続する病気で、ストレスと強い関連があるとされています。
通勤や通学時の電車の中や、会議や試験などのストレスが加わる環境で症状が現れたり、不安や不眠などの症状を引き起こしたりすることもあり、日常生活にも影響が出てしまいます。
過敏性腸症候群(下痢型)の治療薬
セロトニン3受容体拮抗薬は、ストレスにより腸から過剰に分泌されるセロトニンが、腸の運動に異常を及ぼすことを抑える働きを持つ薬です。
このほか、症状に応じて、腸内環境を整える乳酸菌製剤や下剤などが処方されます。
過敏性腸症候群には心理療法も有効
不安や緊張を感じやすく、ストレスをためやすいといった心理傾向に対し、カウンセリングなどの心理療法が行われることがあります。
おならが気になるときのセルフケア

おならは胃腸の病気だけでなく、ストレスや生活習慣によっても変化が見られます。
ストレスや生活習慣を見直すことによって、おならの増加や臭気を抑える工夫をしてみましょう。
1.食生活
注意が必要な食品と摂りたい食品
肉類などの動物性たんぱく質は、消化の過程でガスを発生させやすい食品です。また、ニンニクや玉ねぎはおならの臭いを強めます。
また便秘の解消に有効とされる食物繊維は、腸内で活発に消化分解されるため、おならが発生しやすくなります。飲み物でも炭酸飲料やビールに含まれる炭酸は、体内で空気と混じりやすく、腸内ガスの原因となります。
これらの食品の過剰摂取を控え、腸内環境を整える乳酸菌を含むヨーグルトや、オリゴ糖を含むバナナなどの食品を適度に摂取するのがよいと考えられています。
食べ方やにも注意が必要
大食いや早食いは、食べ物と一緒に多くの空気を飲み込んでしまいます。これらの過剰な空気が消化不良を来し、腸内でガスを発生させる原因となります。
食事はしっかり噛んでゆっくり摂取しましょう。
2.ストレス解消
ストレスを抱え込むと自律神経のバランスが乱れ、便通に異常を来しやすくなります。
ストレスを感じやすい性格を簡単に変えることはできませんが、意識的に気分転換を図る習慣をつけましょう。
また規則正しい生活を送ることは、自律神経のバランスを整えることにつながります。
夜更かしや朝寝坊、二度寝などの睡眠習慣も見直しが必要です。
3.適度な運動
適度に身体を動かすことは自律神経のバランスを整え、便通や腸内環境を良好にします。
ウォーキングやストレッチなど軽い運動でも効果はありますので、楽しみながらできる運動を生活の中に取り入れましょう。
4.市販薬の服用
お腹にたまったガスを排出しやすくする薬(消化管内ガス駆除薬)として、医療機関ではジメチルポリシロキサン(ガスコンⓇ)を処方されることがあります。市販薬にもこの薬と同じ作用を持つもの(ガスピタンⓇ・ガードコーワⓇ・イノセアプラス錠Ⓡなど)もあり、これらの薬は、腸内に泡状にある余分なガスを吸収し、おならやげっぷとして体外に排出しやすくする効果があります。
あくまでもガスを排出しやすくする薬なので、おならを止める効果はありませんが、お腹にガスがたまって苦しいといった不快な症状を緩和することができます。
まとめ
胃腸の働きは食事だけでなく、睡眠や運動などの多くの生活習慣とも関連があり、不安や緊張などのストレスも大きく関与しています。
おならが多くて気になるときは、身体が示す何らかのサインかもしれません。
おならの増加や胃腸の不調を引き起す原因がないか、まずは生活習慣を見直してみましょう。