風邪をひくと様々な症状がみられます。高い熱が出たり、がひどかったり、鼻水が多くて苦しそうだったり、なかなか水分が摂れなかったり。心配になることも多いと思いますが、ここではその心配を少しでも緩和できるような看病のポイントについてお話したいと思います。対処法が分かれば少し気が楽になりませんか? そのお手伝いができればと思います。

目次

熱がある時は

子供の風邪、受診すべき?しなくて大丈夫?注意したい症状とは」でも述べましたが、発熱以外の症状がない場合、大きな心配は必要ありません。

熱がある、熱が高い時の看病のポイントは、下記の3つです。

1.体温の変動に合わせて、衣服や掛物を調節する

熱が出る時には、大人でもそうですが寒気悪寒があります。お子さんはなかなか寒気や悪寒をうまく訴えられませんが、手足が冷たくなることがあります手足が冷たかったり、「寒い」と言ったりする時には暖かくしてあげましょう。

ただし、その後は熱が上がってきます。手足が温かくなってきたら、掛物を調節して涼しくしてあげましょう。

2.こまめに水分摂取を促す

熱が出ると汗をかいたり、皮膚からの蒸発が増えたりして、体からの水分の消失がすすみます。子供は大人に比べて体の水分の割合が多く、水分量の変化に弱いです。したがって、水分摂取ができないと脱水になっていきます。

また、発熱時には水分以外にも糖分やミネラルをしっかり補充することも必要です。発熱時には「水分・糖分・ミネラル」をバランスよく摂取できるよう、食欲やお子さんの好みに応じて経口イオン水やあめ玉、ゼリー等を摂取するように促すことが、脱水を避けるためには重要です。

3.他の症状がないかどうか観察する

発熱や一般的な風邪の症状だけであればいいのですが、そうではないことがあります。けいれんを起こしている、呼びかけても反応が鈍いあるいは反応がないなど、他の症状を認めないかどうかには注意が必要です。

なお、熱がある時の入浴については、体力を使うので長風呂は避けましょう。シャワーでさっと汗を流す程度は問題ありません。

以上、発熱時に注意すべき一般的なことを述べました。次に、発熱以外の症状に対して、ご家庭で出来るケアや注意点等を症状毎に見ていこうと思います。

咳が強い時鼻水が多い時

マスクをした少年

咳を止めること、咳を減らすことは難しいです。

咳と一緒に声のかすれ(嗄声/させい)を認める場合や、風邪に引き続いて起こるクループに特徴的なケンケンあるいはオットセイの鳴き声のような高い咳を認める場合には、加湿器やお風呂の湯気などで加湿すると症状が軽くなることがあります。

ただし、これはあくまで一時的な対応なので、症状が良くならなかったり続いたりする場合には医療機関を受診する必要があります。

鼻水が多い場合ですが、特に自分で鼻をかむことができない乳幼児に対しては、適宜拭き取ってあげたりスポイトなどで吸引してあげたりするしかありません。ただ、鼻水の場合も加湿してあげた方が拭き取りやすくなります。それでも、特に小さいお子さんでは鼻をかむことが難しかったり、鼻の外へ出てこずに喉の方へ流れてしまったりすることもあります。

鼻水が多い場合や咳や喘鳴が強い時にはRSウイルスに感染している可能性を考えておく必要があります。RSウイルスは、大人や幼児期のお子さんが罹っても通常の鼻風邪程度で済む、非常にありふれた風邪のウイルスです。しかし、心臓や肺に産まれつき病気を持ったお子さんや生後1歳頃までのお子さんがRSウイルスに感染すると、症状が悪くなりやすいので注意が必要です。そのため、そういったお子さんが風邪症状を示している場合には、RSウイルスの可能性も疑い一度検査をしておくと良いでしょう。

喉が痛い場合

喉が痛い場合にも加湿をすると症状が和らぐことがあります。水分で喉を潤すと症状が軽くなります。また後述する解熱剤は、痛み止めとして使用しても効果があります。熱がない場合でも、喉の痛みでご飯や水分摂取を拒む様子がある時には、積極的に使用してあげるようにしましょう。

喉が痛い場合に注意すべきこととしては、A群溶連菌という細菌の感染と急性喉頭蓋炎という病気です。

A群溶連菌による感染は発熱、喉の痛みを起こします。それだけであれば大きな問題とはならないのですが、肺炎や皮膚の症状、また後遺症として心臓や腎臓の障害などを引き起こすことがあります。A群溶連菌は細菌ですので、抗生物質による治療が効果的です。A群溶連菌の急性期症状(扁桃炎、肺炎など)を抗生物質で緩和させるだけでなく、合併症の有無(腎臓や心臓)を判断するためにも、医療機関を受診して検査を受けることも検討しましょう。

急性喉頭蓋炎も細菌による感染症です。いわゆる発熱や喉の痛みなどの風邪症状から始まりますが、こもった声(熱いジャガイモを口にくわえたような声「hot potato voice」と形容されます)、つばを飲み込むことも出来ないほど喉が痛くよだれが出る(嚥下痛/流涎(りゅうぜん))などの症状が急激に出現する場合には注意が必要です。

急性喉頭蓋炎は症状出現後、数時間のうちに急速に症状がすすみ、呼吸困難に至り最悪の場合亡くなられることもあるとても怖い病気です。疑いを持った場合には早期に医療機関を受診してください。

熱さまし(解熱薬)っていつ使ったらいいの?

解熱薬は症状を和らげるための大切な薬です。熱を目安にするのではなく、お子さんの様子・状態に合わせて使ってあげましょう。

以下のような場合には、38℃台になっていなくても解熱薬を使用して、体を楽にしてあげてください。

解熱薬を使用しても平熱までは下がりません。1℃下がれば十分です。

  • なかなか水分が摂れない
  • なかなか寝つけない
  • 途中で何回も起きてしまう

まとめ

子どもはよく風邪をひくので、家庭でできる看病のポイントを知っていれば少し安心して看病ができるのはないでしょうか。

ただ、注意しなければならない症状が隠れていることもあるので、その症状を見逃さないようにしましょう。