手のひらや指に小さな水ぶくれが沢山できる、かゆみも続いている…気温が高い夏や季節の変わり目などに、汗疱(かんぽう)の症状に悩む方も多いのではないでしょうか。他の病気とも間違われやすい汗疱ですが、一体どのような病気なのでしょうか。症状や治療法などをご紹介します。

目次

汗疱とは

汗疱は、汗疱状湿疹、異汗性湿疹などともいわれている皮膚の病気です。夏や季節の変わり目などの毎年決まった時期に、手や足に汗をかきやすい人の手のひらや足の裏に小さい水疱がたくさんできるのが特徴です。

小児から思春期にはじまることが多いですが、小児は成長とともに改善することが多いです。皮膚のほかの部位や他の人に感染することはありません。

どのような症状が起こる?

手のひらや足の裏に小さい水疱がたくさんでき、一週間くらい経つと水疱が破れ、皮がむけて治っていきます。治るまでにはだいたい1ヶ月程度かかります。

かゆみは人によって異なり、自覚症状がない場合もあれば、水疱が現れるときに痛がゆくなることもあります。水疱が現れて消えるまで赤みを伴い、ずっと強いかゆみを感じたり、小さな水疱が集まって大きな水疱になり、その水疱が破れて痛みを伴うこともあります。

汗疱の痛みやかゆみ、赤みが強く、湿疹になった状態を汗疱状湿疹、異汗性湿疹と呼びます。

汗疱の原因は?

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汗疱を発症する原因はまだ明らかにはなっていませんが、季節の変化、多汗症、アレルギー(金属や薬物)などが考えられます。

手や足に汗をかきやすい多汗症の人に多いため、汗が原因と考えられ、「汗疱」と名前がつけられました。しかしながら、水疱の中身は汗ではなく、汗との関係ははっきりと分かっていません。

強いかゆみがあったり、症状が強い場合は、金属アレルギーが関係している可能性があります。

金属の中でもニッケルにアレルギーのある人は注意が必要です。歯の詰め物や食べ物に含まれる金属が原因となっている場合があります。

身体に摂取された金属は汗を通して排出されています。手や足に汗を多くかくと汗の中の金属濃度が高くなり、皮膚ににじみ出ることで炎症を起こすのが金属アレルギーです。

汗疱と似た病気は?

水虫

汗疱と水虫の症状は非常によく似ています。夏場などの足の皮むけ、かゆみの原因としてよく知られている病気です。カビの一種である白癬菌に感染して発症します。

適切な治療を行わないと薬にかぶれたり症状が悪化することもあるので、自分で判断しないで専門医を受診して正しい診断のもとに的確な治療を受けるようにしましょう。

接触性皮膚炎(かぶれ)

接触性皮膚炎の場合は、衣服、ゴム製品や金属などが皮膚と触れることによってアレルギー症状を起こします。自己判断で塗った市販のかゆみ止めなどでかぶれることもあるので、注意が必要です。

汗疱の治療は?

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汗疱の治療は皮膚科で行われます。

症状が軽ければ、市販の尿素入り保湿クリームを一日に数回塗るだけで症状が改善する場合もあります。痛がゆいタイプの水疱にはステロイド外用薬が処方され、皮がむけてきたら尿素軟膏やヘパリン類似物質などが処方されて治療します。

その他、かゆみを抑えるために抗アレルギー剤を服用することもあります。

汗疱は原因がはっきり分からない場合が多いので、かゆみがあるときには抑える治療を、皮膚のかさつきがあるときは角質をやわらかくして保湿する治療を行うなどの対症療法が中心となって行われます。

汗疱は季節的なもので症状が繰り返し起こることが多い病気ですが、通常は一定期間で治ると考えられています。

しかし、症状が悪化している場合は早めに皮膚科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

まとめ

汗疱を発症するメカニズムはまだ明らかにはなっていませんが、多汗症や金属アレルギーなどが原因となって皮膚に水疱、湿疹やかゆみなどの症状が起こる病気と考えられています。汗疱の治療は、尿素軟膏やステロイド外用薬などが処方され対症療法が行われます。水虫、接触性皮膚炎などと症状が似ているので、決して自己判断せずに医療機関で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。