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急な発熱や腹痛は、胆嚢炎が原因かもしれません。胆嚢炎は胆石と密接に結びついた病気で、緊急手術が必要になることもあります。胆嚢炎の原因や症状については、「長引く腹痛…もしかして胆嚢炎かも?その原因と症状とは」でまとめているので心配な方はご参照ください。ここでは、胆嚢炎の治療法や予防法について見てみましょう。

胆嚢炎を防ぐ食生活

食生活

胆嚢炎を防ぐポイントは、胆石の原因になる胆汁の濃度を濃くしないことです。朝食を抜く・夜遅い時間に食事をするなど、不規則な食生活では胆汁が濃縮されて発作が起きやすいといわれています。

胆嚢炎で特に注意しなければならないのは、脂肪分の多い食事を摂りすぎないことです。脂肪の分解には胆汁が必要になるので、脂肪分の多い食事を摂ると大量の胆汁が分泌されます。このとき、胆嚢が強く収縮して激痛を伴う発作が起きます。

一方、積極的に摂った方がよい栄養素としては、タンパク質タウリンがあります。タンパク質が不足すると胆石が成長しやすくなります。また、魚介類に含まれるタウリンは胆石の成長を抑えてくれると考えられています。

開腹手術以外の治療法

点滴

胆嚢炎の治療では、胆嚢に生じた炎症を抑え、炎症の原因となっている余分な胆汁を取り除く処置を行います。手術以外の方法には、点滴と胆道ドレナージがあります。

抗生剤投与

絶食の状態で、点滴によって抗生剤を投与し、細菌感染による症状の悪化を防ぎます。同時に、水分を補います。

胆道ドレナージ

滞った胆汁を体外に排出するための処置です。医療用のチューブを鼻から入れて胆管の中に送り込み、胆汁を排出します。

内視鏡を用いて行うENGBD内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージと、腹壁から肝臓を通過して胆嚢に針を刺すPTGBD経皮経肝胆嚢ドレナージの2種類があります。これらの治療を行うかどうかは、医師とよく相談してから決めると良いでしょう。

胆嚢を取り除く手術

胆嚢炎で手術が必要になった場合、胆嚢を取り除く胆嚢摘出術が行われます。この手術を行うと胆嚢の機能が失われ、胆汁を溜めておくことができなくなります。

胆嚢を摘出すると、下痢の症状がみられることがあります。全ての人に生じるわけではなく、慣れれば問題ないという人もいますが、中には通常の下痢止めでは治らないほどひどい下痢に苦しむ人もいます。その場合は、コレスチラミンという薬がとても効くことがあります。

現在主流となっているのは、腹腔鏡を使って、小さな傷口で手術を行う腹腔鏡下胆嚢摘出術です。全身麻酔のもと、腹部に3~4か所の小さな穴を開け、そこからカメラや医療機器を入れて手術を行います。体のダメージを最小限に抑えられるので、入院期間も4~7日程度と短く、早期回復を期待できます

まとめ

胆嚢炎は胆石を原因とする病気です。まずは胆石を作らない食生活が重要です。また、食事に気を配ることで、たとえ胆石があったとしても発作を起きにくくすることができます。

胆嚢炎の治療においては、手術を行わなくても済む場合と、手術によって胆嚢を摘出する場合とがあります。現在では、腹腔鏡を用いた負担の少ない手術法が主流となっており、適切に手術を行うことでQOL(生活の質)の向上を期待できます。心配な症状が現れたら早めに消化器科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。