初期症状が現れやすい膀胱がんは、がんの中でも比較的治療経過が良いとされています。ただし、進行すれば負担の大きな治療を選択する必要が生じ、膀胱を全て摘出しなければならないケースもあります。膀胱がんの特徴については、「膀胱がんってどんな病気?初期症状や、起こりやすい年齢とは」でまとめておりますのでこちらをご参照ください。ここでは膀胱がんの検査と治療について見てみましょう。

目次

膀胱がんの検査

膀胱がんの検査は、精度の高さと体への負担を考慮して適切な方法を選択します。代表的な検査には次のものがあります。

超音波検査

超音波を使って体の外側から膀胱の状態を確認できるので体への負担が小さくて済みます。1センチ以上の腫瘍であれば発見できるとされています。ただし、初期の小さな腫瘍を発見できないことがあります。

尿細胞診

尿を調べる検査です。体への負担はなく、何度でも行えるという利点があります。精度については、がんがある場合に約70%が陽性となり、約30%が陰性になるといわれています(がんに関する情報より)。決して感度の高い検査ではありませんが、定期的に受けることで見落としの可能性は低くなります。

膀胱鏡検査

膀胱鏡検査は、膀胱からファイバースコープを挿入して、内視鏡の画像によって膀胱内を観察することができます。特に男性では痛みを伴うことが多く、検査後しばらくの間、血尿が出ることもありますが自然に治まります。現在のところ最も確実性が高い検査と考えられています。

CTMRI

がんと診断された場合、腫瘍の深達度や周囲のリンパ節転移、他臓器転移をみるためにCTやMRIによる画像診断が行われます。

はじめから行うわけではありませんが、がんの状態を知るために欠かせない検査です。

膀胱がんの治療

医者

悪性度が低く、多発していない初期の膀胱がんに対しては経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-Btを選択します。内視鏡を使って腫瘍を削り取る治療で膀胱を温存できるのが特徴です。

膀胱がんの悪性度が高い場合、多発している場合には膀胱を取り除く膀胱全摘除手術を選択します。この場合、膀胱の機能が失われます。これを補うために、新たに尿の通り道を作る手術を行います。お腹に尿の出口を作る手術を回腸導管造設術といいます。この他、腸を使って膀胱の代わりになる袋を作り、尿道から排尿できるようにする回腸新膀胱手術があります。

BCG注入療法とは

膀胱がんは比較的予後の良いがんといわれていますが、再発率は高い傾向にあります。そのため、前述の経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-Bt)を行った後に、再発を防ぐためにBCG注入療法を追加することがあります。

BCGは一般的には結核の予防接種に用いられるもので、毒性を弱めた結核菌を使用します。このBCGは膀胱がんにも有効であることが知られており、膀胱内に注入するBCG注入療法が行われています。膀胱の温存を前提とした比較的初期のがんが対象です。ただし、次のような副作用が出るのが難点です。

特に高齢の患者の場合は副作用が強くなる傾向があるため注意が必要です。

まとめ

膀胱がんは早期発見・早期治療によって、膀胱を温存する治療が可能になります。膀胱がんの悪性度が高く、膀胱を摘出しなければならない場合でも、尿道から排尿するための手術を選択できることもあります。どのような治療が可能かは、がんの進行度や悪性度によって変わってきます。泌尿器科の医師とよく相談して治療法を選択することが大切です。