むずむず脚症候群は、脚の不快感とともに、脚を動かしたいという強い欲求が生じ、就寝中にその症状が強くなることから、睡眠障害を引き起こしてしまう病気です。

神経の病気であることと、遺伝鉄欠乏が関与していることなどが分かっていますが、いまだ原因不明の部分も多く、あまり知られていない病気のため、むずむず脚症候群と診断されていない潜在的な患者さんが多くいると推測されています。むずむず脚症候群の症状、診断基準については「脚の不快感は病気のせいかも…むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)を知っていますか」をごらんください。

もしかするとむずむず脚症候群かも?と思った場合にはどうすれば良いのでしょうか?
むずむず脚症候群の検査と治療、また予防について詳しく解説します。

目次

むずむず脚症候群かも?と思ったら

「脚の不快感によって眠れない」という症状はむずむず脚症候群によるものかもしれません。

むずむず脚症候群は、脚を動かすと症状が軽くなることから、そのまま様子を見てしまいがちですが、ほかの病気との鑑別や、別の病気が原因で起こる二次性のむずむず脚症候群など、専門的な診断を必要とします。

専門は睡眠専門医

睡眠(ぬいぐるみ)

むずむず脚症候群と思われる症状により、充分な睡眠がとれず、昼間の疲労感気分の落ち込みが見られたり、作業中に脚を動かさずじっとしていられなかったりすると、日常生活にも支障が出てきます。

こういった症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

むずむず脚症候群の専門は、睡眠外来睡眠障害クリニックなど睡眠障害を扱う神経内科や精神科となります。

また、慢性腎不全や鉄欠乏性貧血、パーキンソン病などに合併して起こることもあるため、こうした病気の治療を受けている人は、主治医に相談してみましょう。

むずむず脚症候群の検査

問診

むずむず脚症候群の検査は、専門医の問診により特徴的な症状のほか、家族歴による遺伝性の確認や既往歴によるほかの病気との鑑別や合併症の確認が行われます。

血液検査

むずむず脚症候群は鉄代謝と関与があるため、血液検査により血清鉄(Fe)、TIBC(総鉄結合能)、フェリチン(貯蔵鉄)などの血液検査を行い、鉄分の状態を検査します。

終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査

終夜睡眠ポリグラフ検査とは、睡眠中の脳波や眼球、筋肉の動きなどを計測し、睡眠の量や質を調べる検査です。

むずむず脚症候群の場合、就寝中に無意識に足関節が動く周期性四肢運動があることも多く、この検査によってその程度を判定します。

終夜睡眠ポリグラフ検査は、1泊入院し、睡眠中に検査を行います

その他

むずむず脚症候群とほかの病気(神経疾患、整形疾患、血管性疾患など)との鑑別のために、画像診断や神経伝達速度検査などが行われる場合があります。

治療法はどんなものがある?

非薬物療法(自分でできる日常生活の工夫)

むずむず脚症候群の症状が軽い場合には、日常生活の工夫によって悪化を防ぎ、症状を軽くすることができます

1.喫煙、アルコール、カフェインなどを控える

禁煙マーク

タバコに含まれるニコチンアルコールカフェインはむずむず脚症候群を悪化させる原因となります。
これらは睡眠の質を悪くするほか、カフェインは鉄分の吸収も阻害するため、できるだけ控えるようにしましょう。

2.貧血の治療と鉄分の補給(食事、サプリメント)

鉄欠乏を改善するために食事サプリメントなどで鉄分を補給しましょう。
特に女性の場合は、月経や妊娠により貧血を起こしやすくなっています。また、過度なダイエットや偏食により鉄分が不足することがあります。

貧血の治療と鉄分の補給については、こちらの記事「特に女性は要注意。貧血の原因と治療方法まとめ」もご参照ください。

3.適度な運動やマッサージを行う

軽いウォーキングマッサージは症状を軽くする効果があります。就寝前に短時間歩いたり、マッサージをしたりすると良いでしょう。
ただし、過度な運動は逆効果となるため注意が必要です。

運動だけでなく、シャワーを浴びることで症状が軽減される方もいらっしゃいますが、暖かいお風呂が良いのか、冷たいシャワーが良いのかは個人差があります。

4.睡眠環境を整える

むずむず脚症候群は睡眠障害を引き起こす病気です。生活の乱れによる睡眠不足や不規則な睡眠などでさらに症状を悪化させないようにしましょう
規則正しい生活のほか、寝室の環境(採光、温度、湿度)を整え、少しでもいい睡眠がとれるよう工夫してみましょう。

またむずむず脚症候群による睡眠障害には睡眠薬の効果はなく、症状を悪化させる場合もあります。自己判断での服用は控え、かならず医師に相談しましょう。

薬物療法

日常生活の工夫では症状が改善しない場合は、薬による治療が行われます。

1.ドパミン受容体刺激薬

ドパミンを受けとる神経細胞の働きを活発にしてドパミン伝達を促進する薬です。

プラミペキソール(商品名:ビ・シフロール)は内服薬ですが、ロチゴチン(商品名:ニュープロパッチ)は貼付剤で、長時間(24時間持続)の作用効果があります。

2.抗てんかん薬

ドパミン受容体刺激薬を服用しても症状が改善しない場合は、抗てんかん薬(クロナゼパム・ガバペンチン エナカルビルが使用されることがあります。

いずれも医師の処方のもとで正しく服用する必要があります。
また、ほかの薬の影響によってむずむず脚症候群が生じている場合は、その薬を減量・中断することがあります(ドパミン拮抗薬抗精神病薬抗うつ薬(SSRI)抗ヒスタミン薬など)。

しかし、これらはその病気の治療に影響するため、服用や中止に関しては、必ず医師と相談しましょう。

むずむず脚症候群の予防は?

原因が明らかでない特発性むずむず脚症候群の場合は、前述の日常生活の工夫が病気の予防につながります。

一方、病気の合併症としておこる二次性のむずむず脚症候群の場合、原因となっている病気の治療や安定がむずむず脚症候群の症状改善につながります。

まとめ

むずむず脚症候群は睡眠を専門とする神経内科、精神科で検査、治療を受けることができます
症状が軽い場合は、日常生活を整えることによって症状を改善することができ、さらに薬による治療も行われています。まだまだよく知られていない病気であり、症状を我慢して過ごしていらっしゃる方もいるかもしれませんが、気になる症状がある場合は、一度専門医を受診してみましょう。