普段あまり気にする事のない「視野」ですが、「いつも見えていたのに視野が急に狭くなった」「一部分が見えなくなった」という時は病気のサインなので注意が必要です。視野が欠けたり狭くなったりする病気にはどのような病気があるのか、みていきましょう。

目次

視野とは

「視野」とは、真っ直ぐに前を向いた時に見えている範囲のことをいいます。人間は正常な状態であれば、片目で上方向は60度、下方向は75度、耳方向は100度、鼻方向は60という視野をもっています。ちなみに草食動物は天敵となる肉食動物が周りにいないか確認するため目が横についており、広い視野をもっているといわれています。

人間の視野についてわかりやすくいえば、今目に見えている範囲が視野ということになります。視野は目を動かさない状態で見えている範囲のことですので、目をキョロキョロ動かしていて見える範囲までは視野とはいえません。

視野異常の種類

広い視野をもっている私達ですが、何らかの原因によってこの視野が狭くなったり欠けてしまったりする場合があります。この視野の異常は次のようなものがあります。

  • 暗点-視野の中に見えない部分がある
  • 狭窄-視野の範囲が狭くなる
  • 半盲-視野の半分(右半分や左半分)或いは1/4が見えなくなる

どの視野異常が起きているのかによって病気の診断にも繋がるため、視野異常の種類はとても重要です。

視野異常の原因

視野が狭くなったり欠けたりする視野異常の原因としては、次のような病気が考えられます。

緑内障

視野異常を引き起こす代表的な病気です。眼圧(眼内圧)が高い状態が続くことで視神経が障害を受け、視野が周りから少しずつ狭くなっていきます。

視神経症

外傷や腫瘍、循環障害、薬物などが原因となり視神経に障害を与える場合があり、これらを「視神経症」と呼んでいます。

視神経症には、原因が特定できない場合が多くあります。視神経症の場合、視野の真ん中が黒くなり見えない「中心暗点」や上か下のどちらか半分が見えなくなる「水平半盲」があらわれ、眼球運動痛や目の圧迫感を感じることもあります。

中心性漿液性脈絡網膜症

網膜の中でも、視力に関係する部分が網膜の中心にある黄斑部(おうはんぶ)です。この黄斑部に水が溜まってしまい、中心暗点などがあらわれてくる病気を「中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせいみゃくらくもうまくしょう)」といいます。

働き盛りの男性に多くみられ、過労やストレスが原因ともいわれています。

網膜色素変性症

遺伝的な病気で、暗い所で見えにくい夜盲と視野狭窄が特徴的な病気です。

脳梗塞脳出血

目から入ってきた情報が脳に伝わる道(視覚路)が脳梗塞脳出血などで障害を受けると視野や視力にも影響を及ぼし、右目・左目ともに片側の視野が見えなくなる「同名半盲」という視野異常をおこすことがあります。

脳腫瘍

腫瘍が視覚路を圧迫したりすることで視野にも影響を及ぼし、腫瘍の位置によって「同名半盲」や両目の耳側が見えなくなる「両耳側半盲」という視野異常があらわれることがあります。

このように、視野が狭くなったり欠けたりする原因は目の病気だけではありません。脳の病気なども考えられるため、視野の異常を感じた場合は放置せずに早急に病院を受診するようにしましょう。

まとめ

私達は普段両目でものを見ているため、片目の視野に異常があっても気付きにくいといわれています。また緑内障などのように少しずつ視野が狭くなってくる病気の場合は、視野障害がある程度進んだ段階で初めて気が付きます。視野が少し狭くなっても視力は変わらないため、発見が遅れることが多いのです。

視野異常は早期発見が重要なので、視野に対する知識を持っておくということはとても大切です。