「ファモチジン」は聞きなれない名前ですよね?けれども「ガスター」といわれると、聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?
ファモチジンはお薬の一般名で、ガスターは製薬会社がつけたファモチジンの商品名です。ファモチジン=ガスターと考えてもらっても良いでしょう。また、ファモチジンの商品名としては他にニチブロック10やブロスターMなどもあります。今日はそんなファモチジンについて、詳しくお伝えしていきます。
「ファモチジン」ってどんなお薬?
ファモチジンは「胃薬」です。ガスターのCMでも良く流れていましたよね。
胃薬にも色々なタイプがあり、ファモチジンは過剰に分泌された胃酸を抑えて、胃の痛み等を和らげるものです。市販のお薬として、また医療用医薬品(医師が処方するお薬)としても幅広く使われています。市販薬としては第一類医薬品と分類されているため、薬剤師の説明がないと購入することができません。
胃酸はその名前からもわかる通り酸性の液体で、胃の中に入ってきた病原菌をやっつけたり、消化を助けたりするために必要不可欠なものです。
通常の胃の中は、胃粘液という胃を守るバリアーのようなものが分泌されています。そのため、胃酸という強い酸性の液体が胃の中に存在していても、胃そのものが痛みや炎症を引き起こすことはありません。
けれども胃を守る胃粘液が分泌されていない、または少ない状態であると胃酸は胃自体をも攻撃してしまい、その結果炎症を起こし痛みを感じることがあるのです。
そこでファモチジンが炎症や痛みのもととなる胃酸の分泌をおさえ、症状を和らげる役割をするのです。
「ファモチジン」の効き目は?
ファモチジンは上述したように、胃酸の分泌を抑える効果がありますので、その結果以下のような症状を和らげる効果があります。
- 胃痛
- 胸やけ
- もたれ
- むかつき
また、医療用医薬品(医師が処方する薬)では以下のような病気に使われています。
等
市販の薬と医療用医薬品では使い方が異なるため、注意しましょう。
「ファモチジン」はどうやって胃酸の分泌を抑えるのか?
なぜファモチジンは胃酸の分泌を抑えることができるのでしょうか?それは胃の壁に存在するヒスタミンH2受容体と関係しています。
ヒスタミンという神経伝達物質が、ヒスタミンH2受容体とくっつくと胃酸が分泌されます。ヒスタミン(神経伝達物質)を鍵、ヒスタミンH2受容体を鍵穴といったイメージを持っていただくと、わかりやすいかと思います。鍵を鍵穴に差し込んだら胃酸が胃の中に分泌されるといった仕組みを持っているのです。
そこでファモチジンがヒスタミンH2受容体(鍵穴)にヒスタミン(鍵)がくっつかないようにブロックすることで、胃酸の分泌を抑えることができるのです。そのため、ファモチジンはH2ブロッカーともいわれています。
「ファモチジン」の副作用
良く聞かれるのが、便秘や口の渇きなどです。
症状がひどくなったり、続いたりするようなら使用をやめて、医師・薬剤師に相談してください。
また皮膚のかゆみや脈のみだれ、けいれん、発熱してのどが痛いなど体調異常があらわれる場合があります。このような症状があらわれたら、使用をやめて医師に相談してください。
まれに以下のような重大な副作用が生じる可能性があります。以下のような症状があらわれた際には、使用をやめて病院に行ってください。
- アナフィラキシーショック:薬が体に合わず、アレルギー反応をおこして服用後すぐに皮膚のかゆみやじんましんなどが発現し、最悪の場合は意識の混濁などがあらわれる。
- 皮膚粘膜眼症候群:スティーブンス・ジョンソン症候群。高熱や目の充血、目やに、唇のただれ、皮膚の広範囲の発疹などが持続・悪化する。
- 中毒性表皮壊死症:スティーブンス・ジョンソン症候群と似たような症状。
- 横紋筋融解症:手足・肩・腰等の筋肉が痛んだり、手足がしびれる、力が入らない、こわばる、全身がだるい、赤っぽいおしっこなどがあらわれる。
- 肝機能障害:発熱、発疹、皮膚や白目が黄色くなったり、全身疲労感、褐色尿等があらわれる。
- 腎障害:発熱、発疹や尿量の減少、全身のむくみ、全身のだるさなどがあらわれる。
- 間質性肺炎:少し運動しただけで息切れがする・息苦しくなる、空せき・発熱などがあらわれる。
- 血液障害:のどの痛み・発熱、全身のだるさなどがあらわれたり、歯茎の出血や鼻血が出やすくなる、青あざができやすいなど。
「ファモチジン」を服用してはいけない人
市販のファモチジン製剤では以下のような人は服用できません。
また、医療用医薬品の場合はその限りではありません。
- H2ブロッカーでアレルギー反応を起こしたことがある人
- 医療機関で次の病気の治療や医薬品の投与を受けている人
- 血液の病気
- 腎臓・肝臓の病気・心臓の病気
- 胃・十二指腸の病気
- ぜんそく
- リウマチ等の免疫系の病気
- ステロイド剤・抗生物質・抗がん剤・アゾール系抗真菌剤を服用している人
- 医師から貧血などの血液異常を指摘されたことがある人
- 妊婦又は妊娠していると思われる人(授乳中は服用しないか、服用中は授乳を休む)
- 小児(15歳未満)及び高齢者(80歳以上)
「ファモチジン」を服用する際に注意すること

市販のファモチジン製剤は、市販の胃薬の中では効き目も強いため、重宝されている方も多いかと思います。けれども使い方を間違えると、治すはずのものが悪化してしまったといったことにもなりうるため、服用方法は厳重に守ってください。
また、医療用医薬品は服用方法が異なりますので、医師の指示通り服用しましょう。
その他、以下の点に注意してください。
- 胃痛などの症状があらわれた時に1錠服用してください。
- 服用後8時間以上たっても症状が治まらない時はもう1錠服用してください。
(1日最大2錠まで) - 症状が治まった場合は服用を止めてください(予防などといって服用を続けないでください)。
3日間服用しても症状が良くならなければ、服用を止めて医師又は薬剤師に相談してください(何か病気にかかっている恐れがあります)。 - 2週間を超えて続けて服用しないでください(胃潰瘍などの病気が隠れている恐れがあります、2週間を超えても症状が続く場合は病院に行ってください)。
まとめ
市販薬の中では効き目のよい胃薬とされているファモチジンですが、効き目が良い分飲み方には注意が必要です。
市販薬のファモチジンを購入する際は、薬剤師の話をしっかり聞き、症状も伝えて、自身の症状に本当に合っているか、また服用しても大丈夫か確認してから購入してください。