今や60歳以上の半数以上が高血圧であるといわれており、高血圧の薬はよく処方されています。
高血圧の薬にも色々とあり、患者さんの持病や血圧の下がり具合によって医師は使い分けています。

その中でも、よく使われている薬としてARBというものがあります。

そこで今回はARBについて詳しく見ていきます。

目次

「ARB」ってどんな薬?

ARBとはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のことであり、高血圧症の第一選択薬としてよく使われています。

具体的な薬としては

  • オルメテック錠(一般名:オルメサルタン メドキソミル)
  • ミカルディス錠(一般名:テルミサルタン)
  • ディオバン錠(一般名:バルサルタン)
  • アジルバ錠(一般名:アジルサルタン)
  • ニューロタン錠(一般名:ロサルタンカリウム)

等があげられます。

若く、軽症の高血圧患者さんに用いられやすいです。

ARBの効果の発現は1~4週間と比較的緩やかな薬剤ですが、腎臓や心臓などの臓器保護効果もあるといわれ、中には糖尿病の改善効果があるといわれている薬もあります

例えばニューロタンにおいては尿酸低下作用が報告されているため、高尿酸血症をもつ高血圧患者に出されることもあります。

また、カルシウム拮抗薬や利尿薬と併用される場合も多く、最近では2種類の薬が最初から一つになった配合錠なども出てきています(ミカムロ配合錠、プレミネント配合錠な)。

「ARB」はなぜ血圧を下げるのか?

次にARBの作用機序(どうやって薬が効くのか)について詳しく説明します。

腎臓ではRAAS系(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)といわれるホルモン分泌機能が存在し、血圧の調節などを行っております。
このRASS系のうちの1つにアンジオテンシンⅡというホルモンが存在し、これがアンジオテンシン受容体と結合することで血管を収縮させ、血圧の上昇が起こります。

ARBはこのアンジオテンシンⅡとアンジオテンシン受容体が結合するのを防いで、血圧の上昇を抑えます。

「ARB」の副作用は?

副作用は薬によって様々ですが、ARBは比較的副作用が少なく使いやすいとされています。

以下に一般的なARBの副作用を記します。

めまい

過度の血圧降下によるもので、特に服用初期には注意が必要です。

空咳

ARBと似た高血圧の薬としてACE阻害薬というものがあり、こちらは副作用として空咳が高頻度に出現します。
ARBはACE阻害薬と似た作用機序を持っているため、少ないですが空咳の副作用が報告されています。

低血糖

糖尿病患者において、インスリン製剤、経口糖降下薬との併用時に低血糖の副作用が生じる可能性があります。
ARBは糖尿病患者にも処方されることが多いため、低血糖の副作用には注意が必要とされています。

「ARB」を服用する際に注意すること

青汁-写真

服用時点を同じにする

ARBは食後食前などの指定なく1日1回服用すればよいとされています。

そのため飲み忘れを防ぐためにも、毎日決まった時間、服用時点に薬を飲む習慣をつけましょう。
なお、ミカルディス(一般名:テルミサルタン)には空腹時に服用すると食後に服用した場合より作用が増強される可能性があるので、注意が必要です。

カリウムを多く含む薬、食品を避ける

カリウムを含むOTC薬(L-アスパラギン酸カリウム・マグネシウムなど)やサプリメント(青汁クロレラなど)を一緒に服用すると高カリウム血症になる恐れがあるため、避ける方がよいとされています。

高カリウム血症になると、感覚異常、筋力低下、動悸不整脈)といった症状が出現するおそれがあります。

「血圧が高めの方」のための特定保健用食品を避ける

一緒に服用することで血圧降下作用が強く現れたり、ARBの副作用が出やすくなったりする可能性があるため併用は避けましょう。

痛み止めの薬との併用を避ける

アスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド性鎮痛薬を服用するとARBの効果が弱くなる恐れがあります。

まとめ

ARBは副作用も少なく使用しやすい高血圧の薬とされています。そのため処方頻度も高く、聞いたことのある薬の名前も多いのではないかと思います。

高血圧は症状が見られにくい病気なので、ついつい薬の服用を忘れがちになってしまいますが、毎日の服用で血圧を下げるよう意識して過ごしましょう。