手をつなぐ紙人形

HIV感染症(エイズ)かもと思ったら、どんな検査を受ければいいの?

「HIV感染症(エイズ)かも?」と思ったら、どのように行動すべきなのでしょうか。よく「HIV感染症(エイズ)が疑われるときに行われる検査」と書かれているサイトがありますが、日本人は「疑われる」と聞くと、「どのような症状があればエイズ?」「こんな症状があるからHIV感染症?」と考え、結果的には検査を受けない理由を探します。「HIV感染症(エイズ)かも?」と思ったら、何よりまずは検査を受けることが大切なのです。ここではHIV感染症(エイズ)の検査を中心に解説します。

なお、「HIVに感染?~HIV/AIDSの基礎知識~」でHIV/AIDSの基礎知識を紹介しています。まだお読みではない方は、まずはぜひそれを丁寧に読んでください。

感染を確かめる方法は「検査を受ける」ことだけ

全国の保健所をはじめHIV/AIDSに関する相談を受けているところには、最も多い男性から男性への感染ではなく、ほとんど感染することのない女性から男性へ感染に関する相談が実は多くなっています。

それもフェラチオではなく、女性の性器に指で触れただけで「感染しますか?」といった内容です。もちろん感染する確率は「ゼロ」ではないので、どのような相談であっても、「念のためエイズ検査を受けてくださいね」と答えるしかありません。

そうなのです。HIVに感染しているか否かを確認する唯一の方法は「検査を受ける」こと以外にはないのです。

相談してきた人が、想像も心配もしていないときに感染していたかもしれませんから、どのような相談であっても、相談を受ける側は、もちろんそれが私であっても「検査を受けてください」とアドバイスをすることになってしまいます。

HIVに感染しているか否かを確認するための検査

ここでも敢えて「HIV感染症(エイズ)が疑われるときに行われる検査」と書いていません。繰り返しになりますが、そう書くと「では、どういうときに、どういう症状があるときにエイズ検査を勧めるのですか」と、HIVへの感染が心配になっている人は聞きたくなります。

「男性の私は男性とコンドームなしのアナルセックスをし、射精された精液を肛門内に受け入れてしまいました」という方であれば、症状があるかないかではなく、その方が行った行為が、セックスがHIV感染の可能性があるということで検査をお勧めします。その方がどのような症状があるからとか、ないからといったことは全く関係ありません。

相談する方は、「検査を受けなくてもいい」、すなわち「あなたは感染している可能性がありません」と言って欲しいようですが、残念ながら相談者の状況をどんなに詳細にお聞きしても「大丈夫ですよ」と言える場合はほぼ皆無です。

こう書くと「その「ほぼ」ではない場合は???」と突っ込まれますので、それは「誰とも接触したことがないのですが、HIVに感染している可能性はありますか」と聞いてきた人には、「大丈夫ですよ」と申し上げたいと思います。

解説!HIV検査のポイント特徴

ハートのパズル

では、HIVに感染しているか否かを確認する際にどのような検査があるのかを紹介します。

HIV検査相談マップはHIV検査に関してもっとも信頼できるサイトです。ここに詳しく書いてありますが、専門的な知識がないと少し難しいところもありますので、ここでは大事なポイントをわかりやすく解説します。

HIV抗体検査

HIV感染を確認するときにまず行われる一番簡単、かつ基本的な検査(スクリーニング検査)です。

HIVに感染すると、血管の中に入ったHIVが、本来なら体内にはいない異物として認識されます。その際にHIVに対する抗体が作られます。一般的にエイズ検査と呼ばれているのはこのHIV抗体検査です。

HIV抗体検査は、HIVに対抗して作られ血液中に存在する抗体を確認するための検査です。血液を5㏄ほど採取してこの抗体の存在を確認します。検査の結果、抗体が確認されたものを陽性、確認されなかったものを陰性と判定します。

様々な検査方法が開発され、検査の精度も年々向上していますが、抗体検査で陽性と判定されたものの、実際にはHIVに感染していない偽陽性というのが約300人に1人(0.3%)の割合で存在します。

それなら後で説明する確実なNAT検査(ウイルス検査)をやって欲しいと思うでしょうが、検査が面倒、時間がかかる、費用も何倍もする、ということでこれからもHIV抗体検査がスクリーニング検査の中心的な検査となります。

妊婦さんのHIV抗体検査

実はこの偽陽性感染していないのにHIV陽性と言われる場合)で一番びっくりされるのが、そもそもHIV抗体検査を受けているつもりもない、出産を希望される妊婦さんたちでHIV陽性と言われた人たちです。

HIVに感染しているお母さんが、自分がHIVに感染していることを知らないで子どもを膣から普通に出産・分娩した場合、HIVが母子感染(お母さんのHIVがお子さんに感染)する確率は20~30%です。

HIVに感染した状態で生まれてくる子たちは長く生きられなかったり、様々な障がいを抱えたり、生まれた直後からずっと治療をしなければならなかったりと多くの困難に直面することになります。

しかし、お母さんが感染していることを妊娠初期に確認し、お母さんにHIVを抑える薬を飲んでもらい、さらに帝王切開で出産すると、母子感染率はほぼゼロ%になります。そのため、日本の産科の先生たち、助産師さんたちは出産を希望される妊婦さんにはHIV抗体検査をお勧めしています。

実際、年間約100万人の妊婦さんがHIV抗体検査を行い、約3,000人の妊婦さんが陽性となりますが、実際にHIV感染が判明する人は30~40人ほどです。

HIV抗体即日検査

検査を受けたいと希望される方の「少しでも早く検査結果を知りたい」という気持ちに応え、20~30分程度で結果が判明する即日検査というのが開発され、いろんなところで導入されています。

しかし、時間がかかる抗体検査が300人に1人が偽陽性になるのに対して、迅速検査だと100人に1人が偽陽性になります。すなわち、どのようなHIV抗体検査であっても、陽性と判定された場合は、検査方法を変えて確認検査を受け、本当にHIVに感染しているか否かを判定する必要があります。

確認検査

HIV抗体検査で陽性(感染の疑いあり)となると、確認検査を実施します。保健所で行われる確認検査はウェスタンブロット(Western Blot:WB)法、または次に説明するNAT検査を行います。最近のHIV抗体検査は精度が高まっているため、HIV抗体検査で陽性、WB法陰性というウインドウ期(ウインドウ・ピリオド)の場合がありますので、専門的な知識を持った人による複数の検査の組み立てで正確な判断をしてもらうことが不可欠です。

NAT検査

NATとはNucleic acid Amplification Test(核酸増幅検査)の略です。言葉は難しいのですが、要はエイズウイルス(HIV)が血液の中にいるかいないかを調べる検査です。HIV抗体検査より早い時期に(通常感染後2~3週間後から検出される)感染が確認できる検査です。

しかし、即日検査やHIV抗体検査よりも時間がかかるだけではなく、手間がかかり、お金もかかるため、行政が保健所等で行う無料検査には導入されていません。しかし、医療機関が、健康保険が効かない自費で行っているところもありますので、どうしても早く結果を知りたいという方はそのようなところで検査を受けることをお勧めします。

ウインドウ期(ウインドウピリオド)とは?

実際にHIVに感染しているにもかかわらず検査で感染が確認できない時期をウインドウ期といいます。HIV抗体にせよ、NAT検査にせよ、HIVに感染してから、検査でHIVに感染していることが証明できるまで一定の期間が必要です。

NAT検査で約10日間、精度のいいHIV抗体検査で約2~3週間で感染がわかります。ただ、最初に感染したウイルスの量や、そのウイルスの増殖力等が関係するため、このように「約」を付けたあいまいな表現になります。

さらに「HIVに感染していることが証明できるまで」としていることにご注目ください。検査を受ける人たちは「HIVに感染していないこと」を確認したいと思っています。

しかし、ウイルスが増殖するスピードが遅かったり、抗体を作成する力が弱かったりする場合もあり、いろんな要因から「HIVに感染していない」と言い切れるようになるまでには3か月は必要です。

だから、「HIVに感染していない」という証明が欲しい方は、心配なときから3か月以上の間隔を空けて、検査を受けるようにしてください。

まとめ

このように、HIV検査は「HIV感染を確認するための方法や期間」と、「HIVに感染していないと言い切るための方法と期間」が異なります。感染しているか否かは「ゼロ」か「百」かのどちらかです。

とにかく気になったら検査を受ける。検査しか、HIV感染の有無を判断する方法はありません。