マラソンや水泳など有酸素運動や、ボクシングのインターバルトレーニングのような数分間継続する激しい運動のあと、過呼吸と呼ばれる状態を経験したことはありませんか?

いつもならば少しずつ落ち着いていく呼吸が元に戻らず、手の痺れ意識が遠のく感じがし、実際に気を失ってしまったという方もいるかもしれません。

こうした症状は何をきっかけにして起こるのでしょうか、運動や普段の生活に支障はないのでしょうか。その原因やメカニズムについて解説します。

目次

呼吸の乱れは「血液のバランス」を崩す

呼吸は、体内に酸素を取り込み、体外へ二酸化炭素を排出する仕組みです。普段は一定のリズム・深さが保たれていますが、運動・緊張・病気など体の状態に応じて変化することがあります。そして、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す換気活動が必要以上に活発になることで、空気を吸い込みすぎてしまうのが「過呼吸」あるいは「過換気症候群」と呼ばれる状態です。

過呼吸になると、体に酸素が増えて、血液中の二酸化炭素の濃度が極端に低下します。すると、もともと弱アルカリ性の血液が、大きくアルカリ性に傾きます。これを「呼吸性アルカローシス」といいます。

この状態を引き起こしてしまうと、主に次のような症状が現れます。

  • 手足や唇の痺れ、けいれん
  • 突然の呼吸困難
  • 激しい耳鳴り
  • 頭のふらつき、めまい
  • 意識混濁(意識が遠のいた状態)、失神

酸素は十分なのにパニック状態!?

顎に手を当てる女性-写真

過呼吸は、空気の吸いすぎによって、血液中の二酸化炭素が不足している状態です。

血液中の二酸化炭素が減ると、苦しく感じます。しかし人間の身体は苦しいと感じると「酸素が足りないからだ」と判断し、「酸素を取り入れるために一生懸命呼吸をしなければ」と考えます。そうして、さらに息を吸って吐いてを繰り返してしまうのです。呼吸をしているのに空気が吸い込めていないように感じて、「このまま死んでしまうのではないか」と恐怖に駆られる方もいるようです。

発作は、一時的で約30分~1時間で治まるのが特徴です。過呼吸が落ち着けば、血中の二酸化炭素濃度も正常に戻り、発作は鎮まります。直接的に命に関わることはないので、落ち着いて慌てないことが大事です。

過呼吸の原因って?

過呼吸の原因には様々な事柄が考えられますが、一般的に不安や不満、葛藤など、心の問題が原因となることが多いです。加えて、過労や運動不足、激しい運動などの身体のストレスも大きく関係しています。ストレスを感じやすいような特定の場所や人、匂いなどが過呼吸の症状を誘発することもあります。

また、過呼吸は若い女性に多い症状です。

まとめ

過呼吸は、有酸素運動による酸素の吸い過ぎが原因で、めまい・痺れ・耳鳴り・失神などの発作が起る状態です。血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、呼吸困難を引き起こします。

思うように呼吸ができなくなってしまうため、「このまま死ぬんじゃないか」などと恐怖を覚えることもあるかもしれません。しかし、過呼吸は命に関わる症状ではありません。本記事が、過呼吸という症状を理解するための一助となれば幸いです。