性行為によって感染する病気のことを、「性感染症」と呼んでいます。最近では性感染症にかかる人が増えてきています。その理由に、若い人の間の性行為が開放的になったこと、病気に対しての認識が薄いことが関係していると考えられています。尖圭コンジローマも少なくなった性感染症ではありません。正確な知識を持つこと、もしも感染していたら、パートナーと一緒に早急に検査と治療を受けて感染の拡大を防ぐことが重要です。今回は、尖圭コンジローマについてご説明いたします。

目次

尖圭コンジローマとは?

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス6、11型などが原因となるウイルス性の性感染症です。性行為やその類似行為によって感染する病気で、世界中に分布しています。性行動の活発な年代に多く見られますが、まれに医療従事者や両親の手や指を介して幼児に感染して発症することもあります。日本では、他の性感染症と同様に患者の数が増えてきており、中でも女性が占める割合が多くなっています。

症状

潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、8週間から2年程度(3ヶ月ぐらいが多い)です。女性の場合は、外陰部に乳頭のような、ニワトリのとさかのような淡いピンク色から褐色をした腫瘍ができます。

男性の場合は、亀頭の先端部などに同様の腫瘍ができます。放っておくと、数が増えたり、大きくなったりします。

診察

かゆみや痛みなどの自覚症状を感じることが少ないため、感染していることに気がつかないことも少なくありません。性器にいぼのようなものができているときは、すぐに性病科、泌尿器科や婦人科を受診しましょう。典型的な尖圭コンジローマはギザギザに尖った特徴的な形をしているので、視診で診断がつくことが多いです。

予防

コンドーム-写真

尖圭コンジローマは、20代から30代の若い人に広がりを見せ始めて問題となっています。性器同士の接触だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスによる性的な接触によっても感染します。性感染症を予防するために、正しい知識を身につけましょう。

1.性行為の相手を限定する

性的な接触をする相手が増えれば増えるほど、性感染症に感染する確率は上がります。不特定多数の人と性行為を行うことで感染リスクが高まるのです。性行為の相手は特定のパートナーだけに限ることが賢明です。

2.コンドームを使う

コンドームは最初から最後まで正しく装着して使うことで、全てではありませんが、性感染症を防ぐ高い効果が期待できます。オーラルセックスやアナルセックスの場合も同じように使います。

3.診察を受ける

尖圭コンジローマは、感染しても自覚症状が少ない病気です。症状を自覚していないと、知らないうちに感染を広めている可能性もあります。パートナーがコンジローマになっていたり、思い当たる不安なことがあったりするときには診察を受けるようにしましょう。不安があるときは、恥ずかしがらずに早めに診察を受けることが大切です。

治療

腫瘍を切除するために液体窒素で凍結したり、電気で焼灼(しょうしゃく)したり、レーザーで蒸散したりする外科的療法がとられます。また、抗ウイルス作用を及ぼす「イミキモド」を含む塗り薬は、再発を抑制し、患者自身が使える治療薬として推奨されています。疑われる症状が出たときには、パートナーに感染させないためにすぐに診察を受けることが大切です。

まとめ

尖圭コンジローマは、性行為によってヒトパピローマウイルス6、11型などに感染して発症する性感染症です。性器にいぼができますが、痛みやかゆみなどの症状は少ないです。尖圭コンジローマの治療は、腫瘍をとるための外科的療法や、塗り薬が処方されます。性行為のパートナーを限定する、コンドームを正しく使う、診察を受けるなどの方法で予防します。