男性器に異変が生じると、何の病気か気になることかと思います。これらの症状が出た場合、性行為による感染症や原因不明の疾患が隠れているかもしれません。

性感染症だった場合は、放っておくと自分だけでなくパートナーの健康をも害する恐れがあります。

今回は、男性器に水ぶくれや潰瘍(ただれがひどくなったもの)があるときに考えられる病気について紹介していきます。

目次

考えられる5つの性感染症

ただれが酷くなるとは医学的には潰瘍といい、粘膜や皮膚の表面に炎症が起こり、傷が深くえぐれたような状態になることを指します。

男性器の水ぶくれや潰瘍が症状としてみられる性感染症には、下記のようなものがあります。病気によって性器以外に現れる症状が異なるので、確認してみてください。

性器ヘルペス

性交渉を通じて、ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスに接触することで生じます。

性器に水ぶくれが生じるほか、かゆみ痛みがあります。水ぶくれが破けると、潰瘍となります。

また、性器ヘルペスに感染すると男性器だけでなく、足の付け根の痛みを生じることもあります。

ヘルペスウイルスは、きちんと治療を行っても体内に潜伏し、身体の抵抗力が落ちたときなどに再び活性化することが知られています。再発では軽い症状で済むことが多いようですが、繰り返す症状は患者さんにとって大きなストレスとなりかねません。コンドームで予防できないこともありますが、コンドームを使用するとリスクを下げることができます

梅毒

性交渉によりトレポネーマパリダムと呼ぶ菌に感染することで発症します。

はじめは性器に小豆くらいの大きさのしこりができ、その後に潰瘍が出てきます。このとき痛みはないのが特徴です。また、性器だけでなく太ももの付け根にしこりが生じることもあります。これらの症状は、感染から3週間程度で見られます。

梅毒は、治療を行わなくても症状が一時的に改善する場合があります。しかし、そのまま放っておくと全身に発疹ができたり、ゴムのような腫瘍ができたりします。ひどい場合は心臓や脳の障害が生じることもあるため、早期の治療が重要です。

鼠径リンパ肉芽腫

性交渉を通じて、クラミジアの一種であるクラミジア・トラコマチスに感染することで発症します。

発症初期は、接触した部位に痛みを伴わない小さな水ぶくれや潰瘍が見られる程度ですが、その後、足の付け根が腫れて、痛みを伴うようになります。膿や出血が見られることもあります。

男性同士による性行為で感染した場合、直腸炎を発症する場合もあります。

軟性下疳(なんせいげかん)

性交渉で軟性下疳菌に感染することで発症します。痛みを伴う水ぶくれができ、すぐに破れて浅い潰瘍となります。これらの潰瘍は縁がギザギザしており、触ると痛むのが特徴です。

また、足の付け根の腫れや痛みを伴います。日本での感染は少なく、患者数の多い東南アシア、アフリカなどで性交渉して感染する恐れがあります。

尖圭コンジローマ

ウイルス性の性感染症で、その原因はヒトパピローマウイルスす。

男性器や陰嚢、肛門の周囲などに鶏のトサカのようなブツブツした突起が生じます。突起の色は淡いピンク色や褐色など様々です。

潜伏期間(感染してから症状が出るまで)は平均2.8ヶ月と長く、自覚症状はほとんどありません。

性感染症以外で考えられる疾患は?

シャボン玉

ベーチェット病パジェット病といった原因不明の疾患やがんでも、男性器の水ぶくれや潰瘍が見られる場合があります。それぞれの病気の特徴を紹介します。

ベーチェット病

原因不明の病気です。口内炎や目の痛み・充血などがしばしばみられます。

男性器に潰瘍が生じて痛む場合があります。このほか皮膚の発疹や目の炎症、関節炎などの症状も見られます。

パジェット病

皮膚にできるがんの一種です。乳頭や乳輪に生じる場合は乳房パジェット病と呼ばれます。その他の部位にできるものは乳房外パジェット病と呼ばれ、陰茎のほか、陰嚢、腋(わき)にも生じます。

60歳以上の高齢者によく見られ、赤や白、褐色のまだらの斑点が見られます。

陰茎がん

発症する割合は10万人に0.2人と報告されている稀な疾患です(がん研有明病院|陰茎がんより)。発症する部位の半数は亀頭で、イボ状のできものや潰瘍が見られます。痛みを生じることは少ないとされています。進行すると全身の倦怠感や体重の減少がみられます。

まとめ

男性器の水ぶくれや潰瘍は、性行為による感染症が多く、感染しないこと・感染させないことが重要です。コンドームを使用することで予防に努めてください。

また、性感染症以外の病気の場合もあるため、見つけたら早めに性感染症科や泌尿器科を受診し、早期診断・早期治療を受けてください。