自閉症、ADHD、アスペルガー症候群…一度は聞いたことがあるキーワードかもしれませんが、これらは「発達障害」と総称されています。しかし、発達障害とは具体的にどういった状態なのか、どういった特徴が見られるのかを知っている方は少ないのではないでしょうか。

目次

発達障害って何?

発達障害は生まれつき脳の一部の発達が通常と違っているための「特性」です。ひとことに発達障害といってもその特性は個人差が大きく、同じ診断を受けていても全く似ていないようなことがあります。

発達障害を抱えたお子さんは通常の子育てだと上手く行かなかったり、成長するとご本人が自分の不得意な部分につまずき、生きづらいように感じてしまうことがあります。そのため、発達障害を抱えた人にとっては周囲の理解が重要になってくるといえます。

発達障害の主な種類を知っておこう

発達障害には、自閉症・アスペルガー症候群・注意欠陥多動障害(ADHD)・学習障害・チック障害などが含まれます。これらの障害を単独で持つ場合と、複数が混在するケースがあります。

自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)

自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disorder)は対人関係の障害、コミュニケーションの障害、興味や行動の偏り(こだわり)の3つの特徴を持った障害の総称です。いわゆる「自閉症」の、症状の軽い人も含めた概念と考えると分かりやすいかもしれません。国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders)とほぼ同じ群を指し、自閉症・アスペルガー症候群・そのほか特定不能の広汎性発達障害がこれに含まれます。100人に1~2人の方がこの障害を抱えているといわれています。

自閉症

自閉症は「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害、」「パターン化した興味や活動」といった特徴が3歳以前から見られます。行動パターンには個人差がありますが、言葉の遅れなど知的障害が伴います

アスペルガー症候群(高機能自閉症)

アスペルガー症候群の方は対人関係が苦手で、コミュニケーションのとり方が不自然であったり、ある分野で強いこだわりを示すなどの特徴があります。上記の自閉症と似ていますが、知的障害を伴わず、言葉の発達の遅れがない点で厳密には異なります。また、高機能自閉症という呼び方もあるのですが、アスペルガー症候群と高機能自閉症が全く同じものであるかは専門家の間でも意見が分かれている状態です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHDはじっと座っていることが難しく学習に集中できない、忘れ物が多いなど、不注意・多動・衝動性を特徴とする発達障害です。学童期の子供の3~7%に発症し、多くは成長するにつれ症状が緩和しますが、大人になっても症状が残る場合があります。

学習障害(LD)

数を数える少女-写真
LDの方は知能発達の遅れはないのですが、読み・書き・計算・聞く・話すことのどれかがとても苦手です。本人の努力不足ではなく、情報の処理や出力がもともと難しいのです。勉強の仕方を他の人とは変えてみることで、苦手を克服することができるといわれています。

発達障害の診断は難しい!

上に書いたような発達障害の診断は難しく、どちらとも診断がつかない所謂グレーゾーンがあります。例えばアスペルガー症候群の定義や診断は専門家の間でも意見が分かれますし、自閉症スペクトラム障害と広汎性発達障害の違いも明確ではありません。発達障害は、児童精神科医や小児神経科医など専門家による診断が不可欠です。

成長ごとの発達障害の特徴

発達障害で現れる特徴は、成長に応じて少しづつ変化します。発達障害に共通するのは、①社会性・②コミュニケーション・こだわりの3つに問題があることです。親が発達障害児の傾向に目ざとくあることは、早期に適切な診断と援助を受ける上で大きな助けになります。

乳幼児期

1歳児でも、社会性やコミュニケーション能力に問題ないかをある程度見分けることができます。ポイントは、アイコンタクト(親の顔をのぞく)をしない・名前を呼んだ時に反応しない・親の動作を真似る、指さし、親の注意を引こうとする行為が見られない場合には注意が必要かもしれません。

3歳くらいの時期になると、名前や年齢、簡単な質問に対する応答がスムーズにできるかどうかや、発達障害に特有の特定のものへの強いこだわりを示す傾向があるかなどが判断のポイントになります。

学童期

就学した後には、友達との関係から社会性が分かります。発達障害の子どもの場合、一人遊びが多い・おとなしすぎる・同級生を避ける・話し方が一方的・人の話を理解できていない/聞いていない・思ったことをすぐに口にする・集団行動が苦手・集中力がない・忘れ物が多い・興奮しやすい・偏食がある・大きな音を怖がる・作文が苦手などの特徴を示します。

大人になってから

発達障害に気付かず成人し、社会に出てから自分で障害に気が付く方もいますが、自覚のない場合もあります。発達障害のある大人の特徴には、落ち着きがない・人の目を見ない・職を転々とする・浪費傾向・字が汚い/整然と書けない・人の話を理解しにくい・説明がうまくできないなどがあります。

大人の発達障害については「自覚症状のない、大人の発達障害とは」の記事でも詳しく説明していますので参考にしてみてください。

まとめ

発達障害は、生まれつきの脳の障害です。成長段階ごとに特徴的なサインが現れますから、保護者の方は気づいたら早めに専門家に相談しましょう。早期に正しい対処をすることで、知的障害の方は困難を乗り越えることができます。