生活に支障が出てしまうぐらい生理痛がひどいと、毎月憂鬱になります。特に周りにそういう症状で悩む人がいない場合ですと、自分が痛みに弱いだけなのかと勘違いして我慢してしまい、婦人科に受診することも思いつかないまま過ごしてしまうかもしれません。

ですが、もしひどい生理痛で悩む方がいたらすぐに婦人科を受診するようにしましょう。痛みが100%消えるわけではありませんが、痛みが軽くなる可能性が高いですし、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因の場合は早期発見・早期治療ができます。この記事では治療方法や自分でできる生理痛対策方法についてお話ししたいと思います。

目次

月経困難症の治療法

病院を受診した場合、どんな治療が行われるのでしょうか?月経困難症の治療法として下記の5つが挙げられます。患者さんの状態に合わせて、治療法が選択されます。

1.鎮痛剤の処方

ひどい生理痛や腰痛は我慢する必要はありません。生理の開始とともに激しい痛みが毎周期出現する場合には、生理開始と同時か生理開始の予兆が出てきた段階ですぐに鎮痛剤を使用するほうが、痛みの元となる物質が作られるのを抑制する効果が高いため、痛みが出にくくなるといわれています。

市販の鎮痛剤よりも、病院で処方される薬のほうが有効成分が多く含まれているため効きがよくなりますし、本人が希望すれば胃薬の処方も併せてしてもらえます。

2.原因となっている病気の治療

生理痛で苦しむ女性-写真

病気が原因でひどい生理痛や腰痛になっている場合(器質性月経困難症)には、その原因を特定して治療をする必要があります。原因となる疾患は下記のようなものがあります。

子宮内膜症

本来、子宮の中にしか作られない子宮内膜が卵巣や腸、膀胱などにも発生し、生理周期に合わせて剥がれて出血を起こす病気です。子宮の場合は剥がれた内膜や出血が膣を通って外に出ますが、子宮以外の場所では出口がないので、その場所に溜まったり、周りの組織と癒着を起こしたりして痛みを引き起こします。

子宮内膜症の治療法については「子宮内膜症の治療法とは。妊娠・出産への影響は?」の記事をご覧ください。

子宮の形態異常

子宮の形がハート型になっている弓状子宮や双角子宮など子宮の形が通常と違う場合をいいます。月経量が増えたり、生理時の出血が外に出にくくなるため、月経困難症となる場合があります。

子宮筋腫

子宮にできる腫瘍です。良性なので直接命をおびやかすようなことはありませんが、できた場所によっては月経困難症や過多月経などを引き起こし、手術や薬物による治療が必要になることがあります

子宮筋腫の治療法について詳しくは「子宮筋腫の治療法とは。手術や、妊娠への影響は」をご覧ください。

子宮腺筋症

子宮内膜症と似ていますが、子宮内膜が子宮の筋肉の中にできる病気です。月経痛と合わせて過多月経を引き起こすことが多く、進行すると月経期以外にも腹痛や排便痛などの症状が出現します。

3.低用量または超低用量ピルの処方

ホルモン療法は鎮痛剤が効かない場合や過多月経も伴う場合などに行います。使用されるホルモン剤は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤でピルと呼ばれているものです。避妊目的で発売されている低用量ピルと成分的にはほぼ同じですので、避妊も兼ねたい場合は避妊用のピルを月経困難症治療の目的でも使用することがあります。月経困難症の治療薬として発売されているピルには、低用量と超低用量のものがあり、いずれも月経痛の緩和だけでなく、月経量が減ったり内膜症の進行を抑えたりする作用があります。保険適応のため、先発薬品だと1か月分が2400~2500円、後発薬品だと1500円くらいの自己負担になります。

4.漢方薬の処方

漢方の効き目は緩やかですが副作用もほぼなく、血液循環や冷え性の改善などの効果が期待できます。

5.カウンセリング

心理的要因が原因の月経困難症にはカウンセリングが有効です。生理をネガティブに考えないような指導やカウンセリングが行われます。

生理痛のセルフケア方法

生理痛は子宮や骨盤内の血流を良くすることで痛みが軽くなることが知られています。血流を良くしたり、体を温めるために以下のような点に注意してみるといいでしょう。

  • 腰や下腹部を温める
  • 定期的なストレッチや軽い運動を行う
  • 禁煙
  • 早寝早起き
  • 甘い物を控えてたんぱく質やミネラルをしっかり摂る

基本的なことのようですが、非常に重要です。忙しいと疎かになりがちなことばかりですので、これを機会に生活を改善するのもいいかもしれません。

まとめ

月経困難症の治療の第一歩は、婦人科を受診することです。病院にはあなたに合わせた治療法を考えてくれる医師や医療スタッフがいますので、自分だけで抱え込まずに病院に足を運んでみて下さい。毎月付き合わなければいけない痛みが少しでも楽になるなら行ってみる価値は十分にありますので、早めに受診してみましょう。