漢方の一つである「黄連解毒湯」は一般的にはあまり知られていませんが、イライラや不眠症、また肌荒れや鼻血、二日酔いなどにも使うことができ、病院でもよく処方されます。
そこで今回はこの「黄連解毒湯」について詳しく見ていきたいと思います。
「黄連解毒湯」ってどんな薬?
黄連解毒湯は「おうれんげどくとう」と読み、身体の中の熱や炎症を取り除き、皮膚炎やイライラ、また不眠などを改善させる作用を持っています。
ただし漢方の中では比較的副作用が出やすい薬のため、使用には注意が必要です。
比較的体力があり、のぼせ気味で顔色が赤く、いらいらする傾向のある方、舌が真っ赤で、舌につく苔が黄色のタイプの方に用いられます。
黄連解毒湯に含まれている生薬は以下の通りです。
- 黄連(オウレン)
- 黄芩(オウゴン)
- 黄柏(オウバク)
- 山梔子(サンシシ)
黄連解毒湯は非常に苦い薬であり、山梔子がはいっているので下痢にも注意が必要です。
「黄連解毒湯」の効き目は?
黄連解毒湯には多くの効能効果が存在します。
胸中の熱を冷やして取り除くことで、イライラや興奮などを抑え精神的な症状に用いられる場合もありますが、炎症などを取り除く効果から、にきびや口内炎など皮膚炎にも用いられます。
以下に黄連解毒湯の効能効果を記します。
- 高血圧
- ノイローゼ
- 胃炎
- 不眠症、神経症
- 皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎
- 鼻出血
- 二日酔い
- めまい、動悸
- 更年期障害
精神を落ち着かせ不眠症や神経症にももちいられるため、統合失調症の第一選択薬としても用いられています。
皮膚炎などにも用いられる「黄連解毒湯」

皮膚炎といえばビタミン剤を服用する方も多いと思いますが、実は漢方でも肌荒れや口内炎に効果があるのです。
肌荒れは化粧や雑菌などによって肌がふさがれ、体内の熱と水(すい)が正常に排出できない場合に起こるといわれています。
黄連解毒湯はこの余分な熱を冷まし、炎症を抑えることで肌荒れや口内炎に効果があるとされています。
「黄連解毒湯」に副作用はあるの?
発疹、胃部不快感、腹痛、下痢など生じることがあります。
また重大な副作用として
- 間質性肺炎:肺に炎症がおきうまく呼吸できなくなる。安静時にも苦しくなることがある。
- 肝障害:肝機能障害がおこり、疲れやすくなったり、黄疸、白目が黄色くなったりする。
- 腸間膜静脈硬化症:長期間服用することでおこることがある。腹痛、便秘、下痢、腹部膨満感が繰り返しあらわれる。
などがあらわれることがあります。
上記のような症状があらわれたら医師に相談してください。
「黄連解毒湯」の服用を避けた方がいい人
黄連解毒湯は比較的体力があり、のぼせ気味で顔色が赤く、いらいらする傾向のある方に用いられることで、効果が出やすいとされています。
そのため体力が衰えている方などは他の漢方を服用した方が良いです。
お腹の弱い方、すぐ下痢をしてしまう方は使用を避けましょう。
それでも試してみたい方は、漢方の専門家に相談してみてください。
また、舌がぼてっと大きくて歯型がついている、苔は白いタイプの方は服用する際、注意が必要です。
精神的な症状を抑えたい場合、体力が普通の方は「抑肝散(よくかんさん)」、また体力がない方は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などがありますので、どれが自分の体力に合うかなども考慮して漢方は選ぶ必要があります。
医師または薬剤師に相談した方が良いでしょう。
まとめ
不眠や肌荒れなどよくある症状にも用いることができる黄連解毒湯は今の現代に必要な漢方の一つといえるでしょう。
しかし苦いためどうしても服用できない…といった方は漢方を服用する補助ゼリーなども販売されていますので、試してみてください。
一般的には漢方薬は白湯で飲んでいただくことが多いのですが、黄連解毒湯に関しては冷たくして飲んだほうが効果が高い場合もあります。
また、飲んで2,3日で効果が出なかったからとすぐに服用を辞めてしまうのはもったいないです。漢方は2~4週間かけて効果があらわれていくものが多いため、1ヶ月くらいは服用を続けて様子見をしましょう。
不眠やイライラ、皮膚炎などは普段の生活から改善されることも多いです。睡眠をしっかりとって、3食しっかり栄養バランスを考えて食べる。また規則正しい生活を送り、身体を動かすことでストレスが軽減されることもあります。
薬を服用する前、または服用と並行して、生活習慣の見直しも行いましょう。