皆さんは、虫歯は必ず歯科医院で削らなければいけないものだと思っていませんか?

実は「削るべきか、削るのをやめるべきか」と判断に迷うような状態の虫歯であれば、削らなくてもよい場合が多いのです。歯みがきなどでしっかりと虫歯の予防をすれば、虫歯の進行を止めることができます。今回は、虫歯について解説します。

目次

虫歯治療の前に大事なこと

虫歯になって歯を削らないためのポイントのひとつは、歯の健康に対する意識の強さと生活習慣です。普段から歯みがき等に気を使い、口腔ケアがしっかりとできる方なら、もし軽度の虫歯が見つかっても歯を削る前に虫歯の進行を止められるでしょう。

反対に、歯の健康に関心がない方、さらには歯に悪影響を与える喫煙習慣や、間食が多い食習慣のある方は、直ちに歯の健康意識を改めないと虫歯が進行・増加してしまいます。

ポイントのふたつ目は唾液の質と量です。唾液の量が多い方が、口の中をPh(ペーハー)6~7程度の中性に保つことができます。また、カルシウムが多く含まれる唾液には、歯を丈夫にする力があるため、虫歯の進行を止められる可能性もあります。

ところが唾液の量が少ないと、どうしても口腔内が酸性に傾きます。酸は虫歯の元凶です。高血圧心臓病うつ病の薬を服用している方は、唾液の量が減ってしまうので、虫歯が進行する可能性が出てきます。

また、女性では生理や更年期、妊娠中はホルモンバランスが大きく変化します。すると唾液の成分構成が変化して、酸性に傾くことが珍しくありません。過度のダイエットや寝不足、不規則な生活習慣、ストレスにも注意が必要です。

歯医者4

食事と甘いお菓子、虫歯の危険性はどちらが上?

「甘いものを食べ過ぎると虫歯になる」と思っている方が多いようです。

それでは、食事をたくさん食べたらどうなのでしょうか。実はどちらも歯に与える影響はあまり変わらず、虫歯の発症リスクもほぼ同じです。

人間の口のなかには多くの細菌が棲んでおり、そのなかで虫歯の原因になるのが「ミュータンス菌」と言われる細菌です。この菌は、口のなかの食べカスなどに含まれる糖質を栄養として繁殖し、歯の表面にネバネバした固まりを作りだします。このネバネバしたものが「歯垢」です。

糖質は、炭水化物とも言い換えられ、甘いものと普段の食事も大差ありません。したがって、食事をすると、虫歯菌が歯間になどに残った食べカスを分解し、酸を出します。このため、食後30分ほどは、歯のエナメル質が溶けやすい状態です。ところが30分を過ぎる頃から唾液が優勢になり、口内環境を中和し、カルシウムが歯の修復にかかります。

つまり、食事を摂ってもおかしを食べても「溶かすと修復する」の関係は変わりません。食物の種類や、甘さもあまり関係ありません。それより問題は、食べる回数です。食事や間食の回数が多ければ多い程、「溶かす」回数が増えるため、「修復する」時間が少なくなってしまいます。

まとめ

初期の虫歯ならば、無理に削ることはありません。歯科医と相談し、今後の治療計画や生活習慣などについて、アドバイスを受けることをお勧めします。虫歯を予防するためには、ダラダラと何度も食べ続けるのをやめたほうがよいでしょう。間食をするなら、まとめて食べたほうが歯を「溶かす」回数を減らせるので、歯のためにはいいのです。