寒い季節になると耳にすることが多くなるのが、「ヒートショック」による事故です。冬のお風呂で特に高齢の方が起こしやすい事故として、メディアなどで取り上げられる機会も増えてきました。今回はヒートショックの概要や予防方法についてご紹介いたします。

目次

ヒートショックとは?

「ヒートショック」は、急激な温度の変化で、血圧が上下に大きく変動することをきっかけとして起こる健康被害のことをいいます。

例えば、暖房が効いた暖かい部屋から寒い廊下やお風呂場などへ移動したときに、起こりやすいとされています。脳出血、不整脈や失神を起こす危険性があり、命に関わるものです。

特に注意するのは入浴時

暖房が効いている暖かい部屋と寒い脱衣所や浴室では寒い時期は温度差が大きく、特に入浴時は身体全体が露出するので温度の影響を受けやすくなります。

寒い脱衣所で衣服を脱ぐと身体の表面全体の温度が急激に下がり、このため血圧が上がり脈拍の変動が起こります。急上昇した血圧は浴室の暖かいお湯に浸かることによって、血管が拡がり今度は血圧が急激に低下してしまいます。この血圧の急激な変化が原因となって失神などを起こすと考えられています。

ヒートショックにかかりやすい人は?

高齢の方は血圧の変化が起こりやすく、体温を維持する身体の働きも低下しているので、ヒートショックにかかりやすいと言われています。また高血圧の方は急に血圧が上がったり下がったりすることによって低血圧を起こしやすく意識を失うこともあります。

その他、糖尿病や脂質異常症の方は動脈硬化が進んでいることがあり、血圧を正常に維持することが難しくなっているので、急激な血圧の変化には注意が必要です。

ヒートショックを防ぐための7つの工夫

バスタオルと風呂桶

住まいの温度差をできるだけ少なくすることでヒートショックを防ぎましょう。

1.住まいの断熱化

廊下は、夏に暑くなり冬に寒くなる場所です。例えば廊下に窓があれば、遮熱効果が高いカーテンをつける、断熱性能の高いサッシを利用するなどにして冷気の伝わりを少なくします。

また特にヒートショックが起こりやすい浴室をユニットバスにすると外気が伝わりにくく冷え込みが和らぎます。リフォームなどによって住まいの断熱性能を高めることで、住まいの温度差を少なくします。

2.脱衣所や浴室などへ暖房器具の設置

寒くなりやすい脱衣所、浴室やトイレは暖房器具を置くことで他の部屋との温度差をできるだけ少なくするようにします。

3.シャワーを利用したお湯はり

浴槽にお湯を溜めるときは、シャワーを使うようにします。高い位置に置いてあるシャワーから浴槽へお湯を張ることで浴室全体を暖めることができるからです。

また、ずっとシャワーでお湯を入れなくても、最後の5分、熱めのシャワーで給湯するだけでも効果があります。

4.日没前や夕食前の入浴

就寝前に入浴をする方は夕食を食べる前や日没前に入浴するように時間を早めます。日没前は外気がまだ高いので、脱衣所や浴室がそれほど冷え込みません。また、人間の生理機能がピークになる午後の時間に入浴をすることで、身体が温度差へ適応するからです。

5.湯温の設定

寒い脱衣所から熱いお湯に浸かることでヒートショックを起こすので、脱衣所を暖めて湯温をぬるく設定すれば、温度差が縮まります。お風呂に入れるお湯の温度は41℃以下にしておくことがお勧めです。

6.複数での入浴

一人で入浴をしていると、もしもの時の助けが遅くなることもあります。特に高齢の方で可能な場合には、家族に見守ってもらうようにしましょう。公衆浴場などを利用して一人で入浴を控えるように気を付けることもヒートショックを防ぐには効果的です。

7.食事の直後や飲酒をしたときは入浴を控える

食事をした後の1時間以内やアルコールを飲んだときは、血圧が下がりやすくなるので、入浴は控えましょう。

まとめ

ヒートショックは、特に冬に住まいの中で起こる事故です。温かい場所から寒い場所に移ったときに、温度の刺激によって血圧の急激な変動が起きます。ヒートショックを防ぐには、住まいの中で温度差をなくすことが大切。断熱化や湯温の設定などによって温度の刺激から身体を守りましょう。