人の体の中に電気が流れることを感電」と言います。感電した場合は、流れる電流の大きさや条件によって命に関わることがあります。今回は起こる仕組みや感電したときの症状や治療法、防ぐための対策などについて、詳しく説明していきます。

目次

なぜ起こる?感電のメカニズム

人体に電流が流れるのは以下のような場合で、感電のケースで一番多くみられるのは1です。

  1. 電気が通っている電線機器触れた時に、人の身体を通って電流が地面へと流れる場合
  2. 電気器具(洗濯機などの水回りで使用するもの、自動販売機などの屋外で使用するもの、お店や工場などで使用する高圧のタイプなど)から電気が漏れ出ているときに、電気器具に触ることで人の身体を通って地面へと電流が流れる場合
  3. 2本の電線に同時に触れ、人の身体でショートした場合 

鳥がむき出しの電線に止まっている姿を見たことがあるかと思います。感電しない理由は鳥の両足とも同じ電線上にあり、電気は抵抗が少ない電線にだけ流れて鳥を通過しないからです。鳥の体の一部が電線2本に触れていたり、片足が地面につくことがあれば電気の通り道ができるため感電します。

人が電線に引っかかったものを棒で取るとき、足は地面についています。その棒が電線に触れると、電流が人の身体から地面へと流れて感電してしまいます。

感電したときの症状

感電して倒れている人

感電した場合に人の身体に現れる症状は、流れる電流の大きさによって異なります。電流の大きさによって以下のような症状がみられます。

  • 1mA:電気が流れるのを感じる程度
  • 5mA:痛みを生じる
  • 10mA:我慢できないくらいにビリビリと衝撃を感じる
  • 20mA:身体が痙攣をおこし、呼吸困難となる。電気が流れ続けると死亡する
  • 50mA:わずかな時間でも命が危険に及ぶ
  • 100mA:致死的、死亡する

電気が体内を通過するため、身体の組織が熱傷のように損傷します。損傷の程度は表面的には軽く見えても身体の深い部分(筋肉など)に損傷が広がり、手足が動かせなくなることや感覚の障害がみられることもあります。不整脈も起こり、重症の場合は感電したその場で不整脈によって死に至ることもあります。

電流の大きさやどのような状況で感電したのか、どのくらいの時間だったのかなどさまざまな要因が症状に影響していきます。そのとき身に付けていた衣服や履物、地面の状態などによっても電流にかかる抵抗が変わります。

ちなみに電気に触れた部分が水に濡れていれば身体の抵抗は少なくなり、流れる電流は大きくなります。

電気を流すための圧力を電圧と言い、電圧の単位はV(ボルト)で表します。電圧が大きいほど危険も増します。家庭用の一般的なコンセントは100V、大きなエアコンや電気器具などは200Vのこともあります。100Vの電圧でも条件によっては感電による死亡事故が発生しているため、十分に注意が必要です。

感電した時の治療法

感電で起こった熱傷のような症状は、筋肉など組織の深い箇所が損傷を受けていたり、だんだん損傷が広がっていることがあります。早めに医療機関を受診しましょう。

医療機関では損傷の程度や範囲を調べるために、血液検査X線検査などが行われ、心電図不整脈の観察を行います。また点滴で補液しながら、全身状態を管理します。

皮膚表面の熱傷、血液の循環不全(血が巡らなくなる)が起きている場合は、組織の壊死神経の麻痺を防ぐために血管を圧迫する筋膜を切開して圧を逃がすことがあります。損傷が大きい場合は組織の移植など外科的手術が行われ、太い血管が損傷している場合は手足を切断するケースもあります。

感電を防ぐためにできること

洗濯機など水に濡れやすく、漏電する確率の高い家電はアースをつけましょう。もし漏電していてそれを知らずに手を触れたとしても、電流の多くはアースに流れるため人に流れる電流は少なくなります。

電線に凧や風船などが引っかかって取りたい場合は、自分で取らずに電気会社に連絡しましょう。また家庭では赤ちゃんがコンセントプラグにおもちゃを差し込んだり、なめたりして感電するケースもあります。コンセントカバーなどをつけて対策しましょう。

コンセントを挿すときは濡れていない手で行うことや、水に濡れるような場所で電気器具の操作を行わないようにしましょう。電気器具は使用した後はコンセントを抜いて電気が通らないようにし、壊れている箇所を見つけたら修理や交換を行いましょう。

まとめ

感電は身近なところで誰にでも起こり得ます。電圧がそこまで高くなくても、条件によっては死に至ることがあります。甘く考えずに電気器具の取り扱いには注意しましょう。万が一感電した場合は、たとえ軽い熱傷だったとしても奥の組織まで損傷している可能性を考え、早めに医療機関を受診しましょう。