おしっこをするときに痛みを感じたことはありませんか?その原因、実は尿路感染症かもしれません。放っておくとわき腹や腰痛、発熱するとだるさを感じたりするなど悪化してしまう可能性があります。今回は尿路感染症について紹介していきます。

目次

尿路感染症の原因は?

尿路感染症とは、尿を作る腎臓から尿が出る尿道までの間(尿路)が細菌感染してしまった状態のことをいいます。膀胱や前立腺も尿路の一つです。

尿の出口から細菌が逆行して侵入していきます。感染症を引き起こす菌として最も多いのは大腸菌です。このほかアデノウイルスやクラミジアといった細菌で引き起こされることもあります。

基本的に尿路は尿が流れることによって清潔に保たれていますが、免疫力の低下などで菌が付着しやすくなってしまいます。また大腸菌は尿路の表面にくっつきやすい構造をしているのも特徴です。そうして尿路で細菌が増殖してしまいます。

尿路感染症の種類は2つ

尿路感染症には単純性尿路感染症複雑性尿路感染症の2種類があります。

単純性尿路感染症は、感染症を引き起こしやすい基礎疾患や他の病気(合併症)がない状態で尿路感染を起こしたものです。単純性尿路感染症は急性かつ女性に多いとされています。

逆に感染症を引き起こしやすい基礎疾患や合併症があって、それらが尿路感染症を引き起こした状態を複雑性尿路感染症と呼びます。子供や高齢者によくみられます。

例えば膀胱結石、尿路にできたがん、前立腺肥大症糖尿病などの疾患があったりする場合が当てはまります。子供では生まれつき尿路奇形がみられる場合などです。複雑性尿路感染症は慢性の経過をたどることが多いとされています。

 尿路感染症の代表的な疾患4選

背中を痛めた裸の男性-写真

尿路感染症の代表的な4種類の疾患について、詳しく紹介します。それぞれの病気の症状や特徴をしっかりと把握し、当てはまるか確認しましょう。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

尿を作る腎臓の中で尿を溜める腎盂が細菌に感染し、炎症を起こしてしまう病気です。男性より女性に多いとされています。悪寒発熱全身の倦怠感といった症状が出ます。また腎臓は体の左右に1つずつあるため、炎症が生じている側の背中や腰、横腹に痛みを感じることがあります。

また、吐き気や嘔吐といった症状もみられることがあります。腎盂腎炎の3分の1程度で膀胱炎のような症状が見られる場合もあります。

放置してしまうと細菌が全身に行き渡ってしまうため、敗血症となり命の危険もあります。

膀胱炎

尿を溜め込む器官の膀胱が細菌に感染することで炎症を起こします。男性より女性に多くみられます。これは膀胱から出ている尿の通り道(尿道)が、男性と比べて女性の方が短く、細菌が入り込みやすいためといわれています。

急性膀胱炎の主な症状としてはおしっこをするときの痛み、おしっこが近い(頻尿、排尿痛、血尿など排尿に関するものです。若い女性に多く、膀胱の尿が腎臓に逆流してしまうと腰や下腹に痛みが出る場合もあります。

慢性膀胱炎では急性よりも症状は軽いのですが、経過が長く治療に時間がかかります。閉経後の女性に多い特徴があります。

前立腺炎

男性にだけ存在する前立腺が細菌に感染して炎症を生じます。主な症状は、会陰部(性器と肛門の間)の痛み、下腹部痛、睾丸痛がみられます。細菌が原因となる急性型では、高熱が出るため、風邪やインフルエンザと間違われることがあります。また排尿に関する症状もみられおしっこが近くなったり、排尿後も尿が残っていたりするように感じます残尿感

前立腺肥大症は高齢者しかかりませんが、前立腺炎は若年者もかかり、年齢に無関係で、抵抗力が落ちることで発症します。

尿道炎

尿を排出する際に通る尿道が細菌に感染することで炎症を起こします。感染の原因は性行為が多いとされています。クラミジアや淋菌などがよくみられます。大腸菌などの雑菌性もあります。

主な症状はおしっこが出るときに痛みを感じたり尿道から膿が出てきたりします。

まとめ

尿路感染症は感染している可能性のある部位が複数あります。そのため症状をしっかりと把握することが重要です。腎盂腎炎は重症化すると命にかかわる病気なので早めの治療が必要です。

まずは気になったら早めに近くの泌尿器科を受診しましょう