腎盂腎炎という病気は、あまり耳に覚えがないかと思います。症状としては膀胱炎に似ていることもある病気です。最近尿が出づらかったり、少しどろっとしているけれども他の人にはちょっと相談しづらい…なんてことはありませんか?

腎盂腎炎は放置しておくと、腎不全になってしまうかもしれない病気です。そのまま放っておくのではなく、少しこちらで確認してみてはいかがでしょうか。ここでは腎盂腎炎の検査法や治療・予防について、医師・吉田 啓先生による監修記事で解説します。

目次

腎盂腎炎の症状と原因

腎臓に細菌が感染することが原因で炎症が起こっている状態を指し、主な症状としては発熱頻尿血尿・白濁尿といった膀胱炎の症状悪寒ふるえわき腹・背中の痛みがあります。症状の出方には差があり、ほとんど症状が出ないという場合もあります。
更に詳しい原因・症状については「腎盂腎炎の原因と症状とは?膀胱炎との違いは何だろう」をご参照ください。

何科にかかればいいの?

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まずは泌尿器科腎臓内科、または内科にご相談ください。
なかには腎盂腎炎が発症して治療を行っても、何度も再発したり、なかなか治りにくかったりといったことがあります。その場合は、尿道や膀胱に問題があることが多いので、泌尿器科へ受診するとよいでしょう。

少し様子がおかしいけれどあまり日常生活に問題ないからいいだろう、と放っておくと慢性腎不全に移行する場合もあるので油断は大敵です。

どんな検査をするの?

問診・触診を行った後、血液検査尿検査超音波検査などを行います。

  • 尿検査…尿中の白血球と細菌の種類・数を確認します。ここでどの薬剤を使用するかを決定します。
  • 血液検査…炎症や腎機能障害がどの程度かを調べます。
  • 超音波検査…尿の通過障害があるかどうかを調べます。

腎盂腎炎を繰り返す・治りにくい場合には、他の疾患を疑って検査を行うこともあります。

どうやって治療するの?

急性腎盂腎炎の場合は安静にしつつ、患者さんの症状・原因に合わせた抗生物質抗菌薬を使用して治療を行います。
症状が軽ければ自宅療養も可能で、安静にして水分を取り7~14日程服薬すると症状が軽快するとされています。しかし症状が重い場合は入院が必要なことがあり点滴抗生剤が主な治療法です。

慢性腎盂腎炎の場合も、急性と同じく抗生物質を使用しますが、まず慢性的に腎臓へ炎症を引き起こしている原因疾患の治療を行うことが重要です。

かかりたくない!予防するには?

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大切なのは陰部の清潔を保つことです。そのためシャワー・入浴は効果的です。他にも細菌が入ってこないよう尿道の菌を尿で流すことも重要なので、水分を多めにとり、尿を膀胱に溜め過ぎないことも有効な方法です。

他には規則正しい生活十分な睡眠体を冷やさないといった、免疫を高めることも予防に効果的です。

まとめ

一つ一つは何気ないことですが、気を付けていれば予防できる腎盂腎炎。可能な範囲で規則正しい生活を心がけて、腎盂腎炎を予防してみてはいかがでしょうか。
検査も採血や尿検査と、それほど体に負担がかかるものでもありません。尿などに違和感があった場合、ためらわずお近くの医療機関へ受診してみてください。