鼻づまりや頭痛などを引き起こす副鼻腔炎(ふくびくうえん)。そのうちの一つに難病に指定されている好酸球性副鼻腔炎があります。鼻の中の粘膜が膨らんで垂れ下がる鼻茸(はなたけ)が多くでき、手術で切除してもまた再発する治りにくい疾患です。今回は好酸球性副鼻腔炎について詳しく説明していきます。

目次

好酸球性副鼻腔炎とは

副鼻腔炎は細菌やウイルスによる感染によって、副鼻腔(鼻の周囲と目頭辺りの顔の骨にある4つの空洞)に炎症が起こります。炎症や症状が長期間続くと、鼻の粘膜に鼻茸ができる場合があります。好酸球性副鼻腔炎では鼻茸が両方の鼻にたくさんできます。

副鼻腔炎は慢性化していても、抗生物質での治療や鼻茸を除去する手術などで治ることも多いです。一方で好酸球性副鼻腔炎は多くの場合、抗生物質が効かず、手術で鼻茸を除去しても再発がみられる治りにくい副鼻腔炎です。

はっきりとした原因は分かっていませんが、鼻の粘膜には好酸球が多く存在していることが確認できます。また気管支喘息の人や、アスピリンの入った薬を飲むと喘息発作を起こすアスピリン喘息を持つ人薬物アレルギーを持つ人は合併しやすい傾向があります。

また感染時に症状が悪化しやすいことから、細菌・ウイルス感染時に好酸球を増やす物質を過剰に分泌する体質の遺伝の関与も考えられています。日本では1990年代後半より発症が増えてきている病気で、成人、特に男性に多くみられています。

好酸球性副鼻腔炎の症状

額を押さえる女性

膿のような黄色や緑色のドロッとした鼻水に顔の痛み、頭痛においが分かりにくいなどの症状が出ます。鼻づまりによってにおいが分かりにくくなる嗅覚障害の症状が最初に現れやすいです。

このほか味覚障害鼻水気管支喘息の症状(喘鳴、、呼吸困難など)、中耳炎の症状(難聴、耳だれ)が出ることもあります。

鼻茸ができて空気の通り道を塞いでしまうと、副鼻腔に空気が通りにくい状態となります。空気が通らないと副鼻腔の環境が悪化し、炎症症状が改善しにくくなって鼻茸が大きくなる数が増えるなどの悪循環が生じます。

好酸球性副鼻腔炎の治療

黄や緑の色のついた鼻水が出ている場合は、細菌を殺す抗生物質で治療して鼻水を透明にしていきます。透明になっても嗅覚障害や鼻づまりが続いたり、鼻茸が両側の鼻に多数確認できたりする場合はステロイドでの治療が行われます。

ステロイド治療

好酸球性副鼻腔炎ではステロイドの吸入治療や内服治療が有効とされています。ステロイド治療を行うことで、鼻の粘膜の腫れや喘息症状が和らぎます。鼻茸も小さくなって嗅覚障害の改善が認められます。

ステロイドの吸入治療や内服治療は3カ月間、薬の量を徐々に減らしながら続け、症状の改善が見られたら中止します。ステロイドの内服治療を中止した場合、ウイルスや細菌による感染を起こしたり体調不良になったりすると鼻茸が再び大きくなり、症状が悪化することがみられます。

内視鏡手術

大きくなった鼻茸は、内視鏡手術で鼻茸を取る手術を行います。鼻茸を取った後は一時的に鼻づまりが解消されます。ただすぐにまた鼻茸ができて症状を繰り返します。

好酸球性副鼻腔炎は薬の使用や手術で一旦は症状の改善が見られるものの、再発して症状を繰り返す治りにくい副鼻腔炎です。

まとめ

風邪をひいた後に鼻づまりや色のついた鼻水が続いて見られる副鼻腔炎は、珍しくありません。一方で好酸球性副鼻腔炎は鼻だけではなく、呼吸器の症状が合併することも多いです。原因について研究が続けられています。

好酸球性副鼻腔炎はウイルスや細菌に感染すると症状が悪化しやすくなります。まずは感染症を予防することが大切です。外出後の手洗いやうがいをしっかりし、バランスのとれた食事を取って規則正しい生活を送りましょう。