蓄膿症は鼻の粘膜の炎症が長引いたり繰り返したりして慢性化している病気です。治療をせずに長時間放置をしていると、副鼻腔内に真菌(カビの一種)が発生して周りの骨に悪影響を及ぼす可能性があります。痛みがないからといって放置せず、早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。

今回は耳鼻科で行う蓄膿症の治療法についてご説明します。

目次

耳鼻科ではどんな検査をするの?

医師の診察

1.鼻腔ファイバースコピー

鼻の中にカメラを入れて検査をします。

副鼻腔の異常やポリープの有無などをその場で調べます。

2.レントゲン検査やCT検査などの画像検査

副鼻腔内にたまった分泌物をみるためにエックス線検査をします。

CT検査は、炎症の程度や範囲をみるために行われ、エックス線検査よりも精密に検査をすることができます。

治療はどのように行われるの?

症状の重症度患者の年齢鼻ポリープの有無などから総合的に判断して治療法を選択します。

蓄膿症の治療には、保存療法と手術療法があります。

1.保存療法

マクロライド療法

マクロライド療法と呼ばれる薬物療法が一般的に行われています。

抗生物質を少しずつ長い間投与する治療法で、粘液線毛機能改善薬、消炎酵素薬、漢方薬などを組み合わせて治療します。

マクロライド系の抗生物質は、殺菌作用というよりは細菌の増殖を抑えて、鼻水を抑えたり、炎症を起こす物質の分泌を抑制する効果が期待されています。

ネブライザー治療

薬を霧状にして鼻や口から吸い込める機械を使って、ステロイド薬や構成物質を鼻腔から副鼻腔に送り込みます。霧状にすることで細かい粒子になり副鼻腔まで届きやすくなります

噴霧、吸入であれば薬の量が少なくすむので、粘膜で代謝分解されて体内にはほとんど入ってきません。副作用が少ない治療法です。

鼻腔内清掃、副鼻腔洗浄

鼻腔の清掃は、鼻腔内にたまった鼻水や膿を吸引して中をきれいに清掃し、ふさがった孔を開きやすくします。

副鼻腔の洗浄は、鼻腔を麻酔してから副鼻腔に針を刺して、抗生物質を混ぜた生理食塩水を注入しながら溜まった膿を吸い出します

これらの治療をしても症状が治まらない場合は、手術治療を考えます。

2.手術療法

外科手術

顔や歯にメスを入れて副鼻腔を外から開けて、炎症した部分の粘膜を取り除きます。

腫れた粘膜と膿を取り除いて鼻腔からの空気の流れをよくするために行われます。

術後に顔が腫れたり唇がしびれたりする後遺症が起こることもあります。

内視鏡手術

鼻の中に内視鏡を入れてカメラの映像を見ながら手術を行います。炎症を起こしている粘膜を取り除いて副鼻腔の換気を良くし、溜まった膿が外に出やすいようにします

手術後も副鼻腔が正常な状態に戻るまで治療は続きます。顔を切開しないので、身体への負担も少なくすみます。

自宅でできることは?

1.鼻を正しくかむ

鼻水は出たらすするのではなく、かむようにしましょう。

風邪をひいているときなどは、鼻水にはウィルスや細菌が含まれています。

鼻と耳とのどは繋がっているので、すすった鼻が耳に行くと中耳炎を引き起こす可能性もあります。

こんなかみ方はNG

  • 力任せにかむ
  • 両方の鼻を一度にかむ
  • 中途半端にかむ
  • 鼻を無理にほじる

鼻をかむときは、左右別々に片方ずつ、優しく力をこめないようにしましょう

2.鼻洗浄

用意するもの

塩水(ぬるま湯500CCに対して塩4.5グラムを溶かしたもの)

手順

  1. 塩水をコップに入れる。片方の鼻を指でふさいで、もう片方の鼻で塩水を吸い上げる。
  2. 上を向き、鼻の奥まで塩水が届いたら口の中に塩水を入れる。このときに耳に塩水が入らないように注意しましょう。
  3. 塩水を口から吐き出す。
  4. ティッシュで鼻をかむ。

この動作を2~3回繰り返してください。

塩水を鼻から口に入れるときと、鼻をかむときに耳に塩水が入らないよう注意してください。中耳炎の原因になります。

まとめ

蓄膿症は風邪などが原因でおきますが、放っておくと長引いてしまい慢性化します。炎症の悪循環を断ち切るために、症状の程度から判断して保存療法、手術療法のいずれかの治療法を選択します。

治療には時間がかかるので、鼻の調子が悪いときは早めに耳鼻咽頭科を受診して長引かないようにしましょう。また、正しい鼻のかみ方や自宅でできる鼻の洗浄の方法も覚えて予防に努めましょう。