食欲があり、いつも通りに食事をしているのになぜか痩せる、体重が減るという場合には、病気が隠れていることもあります。

原因として考えられる病気を紹介します。

目次

1.吸収不良症候群

腸管からの栄養吸収不良によって引き起こされる症状の総称です。消化吸収の機能が低下していることで、食べても食べても痩せてしまう場合があります。

胃・腸の切除手術によるものや、炭水化物不耐症といった消化吸収を助ける因子の障害によるもの、慢性膵炎や肝硬変による消化液の分泌機能障害によるものなど、様々な種類があります。

クローン病やウィップル病、アミロイドーシス、慢性膵炎など、原因となる病気も様々です。

2.蛋白漏出性胃腸症

消化管の粘膜からアルブミンというタンパク質が漏れ出ることによって、低タンパク血症などを引き起こす病態です。上述の吸収不良症候群と同時に起こることが多く、初期症状としてはむくみがみられることがあります。

3.糖尿病

糖尿病によってインスリンの働きが悪くなると、食事から摂取したブドウ糖を分解してエネルギーとして利用できなくなります。そこで、からだに蓄えられている脂肪やたんぱく質が分解され、エネルギーとして利用されます。

こうして、食事から摂取された栄養が使われないために、しっかりと食べていても体重が減少してしまいます。

 

4.甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺ホルモン(新陳代謝を活性化させるホルモン)が過剰に分泌されることによって代謝が亢進します。また、自律神経系の交感神経が常に緊張状態となります。そのため、食事をたくさん食べていても体重が減少したり、中性脂肪、コレステロール値が著しく低下します。

5.褐色細胞腫

副腎髄質や交換神経節に発生する腫瘍で、カテコールアミンという血圧や血糖を上昇させるホルモンが過剰に分泌されてしまいます。これにより、動機、頭痛といった症状のほか、合併症として高血圧や糖尿病を発症することがあります。

6.膠原病

自己免疫反応により、全身のあらゆる組織が障害される病気の総称です。障害される場所によりさまざまな症状があらわれますが、症状のひとつとして体重が減少することがあります。

7.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

慢性気管支炎や肺気腫などを総称してCOPDと呼びます。喫煙などによって有害物質を長期間吸入し続けることで、肺が炎症を起こし、呼吸が苦しくなる病気です。慢性的に咳が出るため、食事を取っていてもエネルギーを消費し、痩せてしまう場合があります。

まとめ

食欲があるにもかかわらず体重減少を来す病気のうち、一部をご紹介しました。これらの病気の多くは、難病指定されていて原因不明あるいは完治が難しかったり、症状が悪化することで生命へも危険を及ぼすものもあります。

もちろん、知らず知らずのうちにエネルギー消費量が増える生活を送っていたり、きちんと栄養が摂れていない場合もありますが、心当たりもなく体重が減少していく場合には、医療機関の受診を検討しましょう。