ニュースなどでよく目にする「多臓器不全」。具体的にどういう状態なのでしょうか。また多臓器不全になってしまうきっかけ、原因は何があるのでしょうか。今回は多臓器不全について紹介します。

目次

「不全」とは役割が果たせなくなったこと

そもそも臓器の不全って何でしょうか。それは生命を維持していく上で必要な臓器の機能が低下し、役割が果たせなくなった状態のことを表しています。心不全であれば心臓が、呼吸不全であれば肺がそれぞれ当てはまります。

臓器には心臓や肺の他、肝臓に腎臓、脳などがあります。心臓や肺など重要な臓器は一つでも機能が低下すると、命を落とす危険性を生みます。多臓器不全はその名の通り複数の臓器が不全に陥るので、それだけ危険な状態です。

出血、敗血症などがきっかけに起こる多臓器不全

多臓器不全が起こるきっかけには、以下のことなどが考えられます。

  • 出血やショック、大量輸血
  • 手術中、手術後の合併症
  • 敗血症

これらのことが起こると、侵入してくる細菌と戦うためにサイトカインと呼ばれるタンパク質が体内に産まれます。戦う中でサイトカインは体に炎症を起こし、臓器にまで及ぶと不全を招いてしまいます。

特に危険な敗血症

特に敗血症を伴って起きる多臓器不全は、死亡率が高くなります。敗血症と多臓器不全に対する治療を同時に行う必要があるため、早期発見・早期治療が重要となります。

敗血症とは、血液の中に侵入した細菌が増殖し、菌が全身にまわって感染症を引き起こしている状態です。

症状は以下の通りです。

  • 高熱
  • 悪寒戦慄
  • 血圧低下
  • 意識の混濁(もうろうとした状態や、意味不明なことを言う)
  • 呼吸が速い など

敗血症になる原因は、大腸菌などの身近な菌が多いです。普段は体内に入り込んでもそれほど悪さをしません。ただ手術後大量出血、抵抗力が低下している時がんや糖尿病を患っていて免疫力が落ちている場合は、敗血症を発症しやすくなります。

また敗血症の症状の一つに、敗血症性ショックがあります。サイトカインや細菌から出される毒素が血管を拡張させると、血圧低下を招きます。血圧低下が進行した場合は血流量が減ってしまいます。すると栄養と酸素を運べず、多くの臓器に機能不全が起きます。

まとめ

多臓器不全は敗血症などをきっかけに起こり、命を落とす危険があります。基礎疾患を抱えているなど体が弱っている方、抵抗力や免疫システムがまだ構築されていない小さな子供や高齢者は、普段であれば命に影響を及ぼさない菌が血液に入ると発症する場合があります。

まずは日ごろから生活習慣を見直したり、手洗いやマスクを着用したりして疾患の予防に努めましょう。