※本記事では、昨シーズン以前のインフルエンザ流行状況について解説しています。最新の流行状況は、本記事とは異なる場合があります。

今シーズンのインフルエンザ発生状況について、9月から厚生労働省の情報提供が始まりました。2016/17シーズンの流行状況を振り返りながら、本格的な流行シーズン到来を前に対策をおさらいしましょう。

目次

昨シーズンの流行開始は11月中旬から

インフルエンザの主な感染経路は、くしゃみなどによる飛沫感染です。職場や学校のように、同じ空間に一緒にいる時間が長い場合だと、誰かが発症すればあっという間に周りの人にも広がり、流行を引き起こします。

厚生労働省のまとめによると、昨シーズンの流行開始は11月中旬で、平年より1カ月ほど早くなりました。流行のピークは1月下旬から2月上旬と、過去3シーズンとほぼ同時期で、こちらは平年並み。国内の感染者(累積推計受診患者数)は約1,672万人(4月30日時点)で平年並みでしたが、過去2シーズンよりは多くなっています。

流行はA型から、2月下旬からはB型が増加傾向に

インフルエンザの原因となるウイルスは、A型、B型、C型に分類されますが、大流行となるのはA型とB型です。A型は、ソ連型、香港型などと呼ばれているので、ピンとくる方も多いかもしれません。

1918年から1920年にかけて世界的に大流行(パンデミック)した「スペインかぜ」もA型で、全世界で2,000万~4,000万人、国内でも38万人が犠牲になったといいます(東京都健康安全研究センターより)。

最近の主流は、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)とB型の3種類で、毎年流行を繰り返しています。昨シーズンは、2シーズンぶりにAH3型が流行しましたが、2月下旬からはB型の流行も始まっています。A型とB型ではウイルスの種類が違うため、1シーズンで2種類のインフルエンザにかかったという方もいたかもしれません。

インフルエンザ脳症の原因は約8割がA型ウイルス

インフルエンザの症状以外にも注意が必要となるのが合併症です。主なものとして、下記があります。

  • 中耳炎
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • インフルエンザ脳症

小児はインフルエンザ脳症高齢者は肺炎を発症する可能性が高いとされ、重症なケースでは命に関わる危険もあります。

このうち、インフルエンザ脳症について厚生労働省のまとめを見ると、昨シーズンの報告数(5月15日時点)は117例で、2015/16シーズンよりは少なく、2014/15シーズンとほぼ同数という数字でした。原因となったインフルエンザウイルスはA型が約8割と大半を占めており、B型は7%と少数でした。年齢は、10歳未満が6割と多い一方、60歳以上も16%おり、小児だけではないことがわかります。

今シーズンの流行に備えよう!ワクチン接種や、その他の予防法

マスク姿の子供

インフルエンザにかからないでシーズンを乗り切るためには、予防をしておくことが重要です。ここでは、主な予防法を3つご紹介します。

ワクチン接種

ワクチンには、感染しても発症する可能性を下げる効果と、発症した際の重症化防止にそれぞれ有効という報告があります。接種してから、効果が現れるまでに2週間ほどかかるため、流行のピークに間に合うように、12月中旬までに接種するとよいでしょう。効果は5カ月程度続くと考えられています。

適度な湿度を保つ

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下するため、感染しやすくなります。冬場は、暖房で室内が特に乾燥しやすいので、加湿器などで50~60%の湿度を保ちましょう。

人混みや繁華街をさける

流行時には、不特定多数の人が集まる場所への外出は控えましょう。特に、高齢者や妊婦、疲労や睡眠不足などで免疫力が低下している人は注意しましょう。どうしても外出しなければならないときは、必ずマスクをして出かけましょう。マスクは、不織布製がおすすめです。

まとめ

インフルエンザの流行は毎年繰り返していますが、どのようなタイプが流行るのかは分かりません。季節性だけではなく、新型インフルエンザも出現しています。本格的な流行シーズンを前に、ワクチン接種などの対策をしておきましょう。