人の身体の中に病原体が入ることによって起こる病気を「感染症」と呼んでいます。インフルエンザウィルスもこの病原体の一つで、学校など人がたくさん集まる場所での感染を予防するために、「鳥インフルエンザ(H5N1)」は「治るまで学校に行ってはいけない感染症」に、「インフルエンザ」は「病気によって学校にいけない日数が決まっている感染症」に指定されています(2015年3月現在)。学校、会社、施設などで、インフルエンザの集団感染を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?今回はインフルエンザの感染と予防についてご紹介します。

目次

家庭内での感染

家族写真

家族の誰かによってインフルエンザウィルスが外から家庭に持ち込まれると、その人からウィルスがなくなるまで家族の人がインフルエンザに感染する可能性があります。

家族内感染で特に多いのが、乳幼児からの感染です。乳幼児同士が最も多く、次に乳幼児から母親への感染が続きます。母親は乳幼児だけでなく、すべての家族から感染を受ける立場にいます。家族内で接触があれば免疫があってもインフルエンザは感染する可能性が高いからです。

予防するには?

  • 乳幼児は免疫力が低いのでワクチンを接種する
  • 流行期は外出を控える
  • インフルエンザにかかったら家庭内でも接触を避ける

学校での感染

球技

小学校などのクラスでインフルエンザにかかった児童が一人いると、あっという間にクラスの中に広がって欠席者が数人でます。初めに発症した人と接触して感染し、広がっていくからです。同時に発症することもあれば、潜伏期間を経て発症することもあります。出席停止期間を終えてから登校した児童から感染が広がる可能性は低いことが分かってきました。

予防するには?

  • インフルエンザにかかったと思ったら早めに医療機関を受診する
  • もしインフルエンザにかかったときは、出席停止期間を守る。

学校保健安全法施行規則に定められている出席停止期間は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」です。

病院や施設での感染

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病院の入院患者や高齢者施設の入居者などは、インフルエンザにかかると重症化する恐れがあります。

飛沫感染

インフルエンザウィルスは、発症者のくしゃみなどによって周りに飛散します。大きい粒子の場合は、1~1.5メートルの距離は飛び、周りの人の呼吸器に侵入してウィルスの感染が起こります。

接触感染

インフルエンザにかかっている人が、ウィルスが付いた手でドアノブやスイッチなどに触れます。そのあとに別の人が触り、その手で自分の目、鼻や口に触れると、ウィルスが感染します。

飛沫核感染

インフルエンザにかかっている人から細かいウィルスの粒子が排出されて空気中に浮遊します。同じ空間にいる人がウィルスを吸入することによって、インフルエンザに感染することもあります。

予防するには?

インフルエンザウィルスは、感染力がとても強いので施設内にウィルスを持ち込まないようにします。

  • 手を洗う
  • マスクをする
  • 咳エチケットを徹底させる
  • インフルエンザの流行期には、不要不急な面会や外出を制限する
  • 職員へワクチンを接種する

集団感染を予防するには

早期治療が大切です。治療の遅れが感染率に影響するので、インフルエンザの治療は、発症してから48時間以内に行うように推奨されています。治療が遅れると、症状が長引いたり家族内感染の確率も高まるからです。

日常生活の注意事項は

普段からインフルエンザの予防行動をとり、習慣づけることが大切です。

  • 咳やくしゃみをするときは、ティッシュなどで口と鼻をおさえる
  • 咳やくしゃみをするときは、他人から顔をそむけて1メートル以上離れる
  • 鼻水をかんだティッシュは蓋つきのごみ箱に捨てる
  • マスクをつける
  • 手洗いの習慣をつける

まとめ

インフルエンザウィルスは、感染力が強いので流行期は乳幼児やお年寄りの集団感染が心配されます。発症者が出ると、周囲の人に移る恐れがあるので、接触を避けるようにしましょう。マスク、咳エチケットなど普段から習慣をつけておくことが大切です。流行期には私たち一人一人が対策を考えて予防し、集団感染を防ぐようにしましょう。