2013年に厚生労働省が出した資料によると、認知症の患者さんは全国で462万人にもなるようです。また認知症予備軍といわれるMCIの人は約400万人もいます。これからも増え続けるといわれる認知症。家族の負担も大きくなり、悩みも出ておられるかもしれません。今回は認知症と向き合い方などについて説明します。参考にしてください。

目次

認知症には4つのタイプがあり症状も違います

認知症には大きくアルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭葉型と4つのタイプに分かれます。タイプによって症状は変わってくるので、認知症=物忘れではありません。またそれぞれのタイプを良く理解することで、介護をしやすくなり負担も減ります。

認知症の間違った理解は余計に心の負担を大きくしてしまう場合があります。簡単にタイプ別の症状などの特徴を見てみましょう。

アルツハイマー型認知症

女性に多いとされています。物忘れから始まることが多く、どんどん進行し家族の顔も分からなくなる場合もあります。物を失くしても、盗られたという「物盗られ妄想」が出やすいといえます。徘徊が見られ家にいてもここは違うと、家から出ていってしまう場合があります。

沢山の人といる方が安心するため、グループホームなどが利用しやすくなります。

レビー小体型認知症

初期に物忘れより幻覚が見えます。虫がいる・知らない人が部屋にいるなどリアルな幻覚を訴えます。認知症の人には本当に見えているので、嘘つき呼ばわりなどはしないように注意が必要です。

手の震え、動作が遅い、筋肉が固くなる、身体のバランスが悪くなるなどパーキンソン病と似た症状が出ますので、歩行時に転倒しないように注意が必要になります。

脳血管性認知症

脳血管性の病気をしたことが原因となり、男性に多く見られます。物忘れもありますが、脳のどの部分が障害されているかで、症状は違ってきます。朝はボーっとして何もできなくても、お昼頃には急にできるようになったり、逆にできていたことが急にできなくなる「まだら認知症」と呼ばれる症状が出ます。

できるのにしないのではなく、脳の血流などの加減で起きるものなので、理解が必要です。介護サービスを受けても沢山の人と同じことをするのは苦手で、個別対応が望ましくなります。

前頭側頭葉型認知症

ピック病と呼ばれるものが主になります。やや若めの人にみられ、人格が変わってしまったといわれることが多いタイプです。おとなしかった人でも、良く喋り騒がしくなったり、逆に良く喋っていた人が静かになったりします。また店頭に並んでいる物を勝手に盗ってしまっても全く平然としているような常識外れの行動を取り始めます。

このタイプは、物忘れはあまり目立ちません

認知症に出やすいBPSD(行動・心理症状)に対して

徘徊

認知症にはBPSDと呼ばれる症状があります。BPSDは「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の頭文字で、日本語では「認知症患者の行動と心理症状(行動・心理症状)」などと訳されます。これまで、認知症患者さんの好ましくない行動として「問題行動」あるいは「周辺症状」と呼ばれていました。

いわゆる徘徊や暴言などはこのBPSDのひとつで、介護を行う側としては大きな負担となります。しかし、患者さん本人はBPSDを起こそうと思っている訳ではありません

わざと困らせようとしていると思えるような行動もありますが、そうではないことを理解して、介護者の方は自分を追い込まないようにしましょう。

主なBPSD

徘徊

家の中を歩き回る場合はトイレを探している場合が多く、トイレがわかるようにすると治まることがあります。

家の外へ出てしまう場合は、家の中の環境が変わった為であったりします。迷子にならないように玄関のカギを変えたり、近所の人などに徘徊があることを伝えて予防しましょう。

弄便

便が出ると、オムツから出してその辺りになすり付けたり、食べてしまうことです。便が出て気持ち悪いという感覚はあっても、どう対処すればわからないので、起きることです。

また、食べる場合は嗅覚や味覚が低下していることが多く、見た目がおはぎなどにているからといわれています。

暴力や暴言

言葉が上手く出てこなくなったために、思いを伝えられなくて暴力などになる場合があります。「アホ」「ボケ」などの暴言も、他の言葉が浮かんでこず、イライラした気持ちを伝える手段がアホになっていることもあります。

また、脳の機能の低下で感情を抑えることが難しくなっているということを理解し、暴言や暴力があったらしばらく離れて、静観しているのが良いです。

1人で抱え込まず、介護サービスを利用しましょう

認知症の方をサポートするには、介護者も元気でなかったらできません。ご主人の親を、嫁の立場の人だけが介護を行っている場合が多くみられますが、認知症の方のサポートは身体的にも精神的にもハードです。1人で背負わず介護サービスを利用して負担を減らしましょう。そうすることで、また介護をする元気が出てきます。

  • デイサービスデイケアなどを利用して、自分の時間が持てるようにしましょう
  • ヘルパー利用をして、家での介護も手伝ってもらいましょう
  • BPSDが多い時はショートステイ利用をして、時々は介護から解放される日を作りましょう
  • BPSDがあっても、事故に繋がらない場合は諦める気持ちも必要です
  • 症状が安定するように、薬などを相談できる良い医師を探しましょう
  • 困ったことがあればケアマネージャーや公共機関の相談窓口に相談しましょう
  • ネットや「認知症の人と家族の会」などで同じ状況の人達とコミュニケーションを取ってみましょう

まとめ

いかがでしたか?認知症を理解することで、家族も、ご本人にも良い方向に向かうはずです。また介護は先の見えないものである為に、不安も大きくなりますが、気を張り過ぎていたら途中で切れてしまいます。上手に介護サービスを使って、介護者の負担を減らして下さい。誰もあなたを責めたりできません。